清掃工場、セメント・石油化学工場向けにレーザー塩化水素分析計の受注開始

|   ニュースリリース

メンテナンスコストを年間約半分にしたレーザー分析計を開発

当社は、ゴミ焼却場などで発生する塩化水素をレーザーで測定する、直挿式レーザー塩化水素計「TX-100」を8月より受注を開始しました。
現在、ゴミ焼却場等における計測は、従来の水で溶かし電極で測定する湿式法(*1)と比較し、ランニングコストの安いレーザー分析計が注目されつつあります。当社は、更にメンテナンスコストを削減するために、国内初のレーザー投光部とセンサー受光部を一体化したレーザー分析計を開発しました。
清掃工場、セメント・石油化学工場などで発生する塩化水素は強い刺激臭であり、人体にも影響を及ぼす排ガスであることから、新興国を中心に環境問題の一つとなっています。当社は、これからも計測・分析技術でこのような問題を解決し、環境保全体制の構築に貢献していきます。
(*1)湿式法:サンプルを水に溶かし、イオン電極法で計測する方法

開発の背景

現在、新興国でのごみ焼却市場において、急速にプラントの新設や整備が進みつつあります。一方で、ごみ焼却場で発生する排ガス問題は依然として課題となっています。廃棄物には様々な物質が含まれるため、焼却によるダイオキシン類ばかりでなく、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、塩化水素(HCl)などの酸性ガスなどが発生します。特に塩化水素には、廃棄物中の塩ビ製品に限られるものではなく、台所から出る生ごみや紙類も塩化水素を発生させる素として知られています。現在、酸性ガスを除去する技術は進展しつつあり、それに伴い、測定する装置も高性能かつ、既存プラントにも導入し易い製品を求められるようになりました。
このような背景から、従来に比べ、容易に設置ができ、ランニングコストを抑えた導入し易い製品をコンセプトに、直挿式レーザー塩化水素計「TX-100」を開発しました。
また、国内50%のシェアを持つ当社の煙道排ガス分析装置(*2)と組み合わせることにより、全ての排ガス成分(7成分:HCl、H2O + NOX、SO2、CO、CO2、O2)の計測が可能であり、計測データも一括で管理できます。
今後、新興国でのごみ焼却場市場において、これまで国内で培ってきたノウハウと経験を生かし、ビジネスの拡大を図ります。
(*2)煙道排ガス分析装置:燃焼したガスを煙突まで導くダクト内で計測する装置

 

「TX-100」の特長 / 従来との比較

  1. ランニングコストの削減
    湿式法と比較し、レーザー分析は、年間約1/10のランニングコストに抑えることができます。湿式法は、定期的な電極の交換と、溶解用の水を交換するコストが発生します。一方レーザー分析は、定期交換部品はなく、現在はレーザー分析計が主流となりつつあります。
     
  2. 設置が容易
    国内初のプローブ方式(*3)を採用し、投光部と受光部が同一側にあることで、据え付けが煙突の片側から容易に設置ができます。このため、投光部と受光部が対になるクロススタック方式(*4)を使用しているプラントからも片側(投光部)のみ交換で対応できます。
    (*3)プローブ方式:投光部と受光部を同一面にもち、プローブ内にレーザー光を通して計測する方式
    (*4)クロスタック方式:投光部と受光部が対となり、煙突の2ヶ所に取付けが必要


     
  3. メンテナンスコストの削減
    校正の際、従来は煙突から外す作業が必要でしたが、独自の特許技術により、据え付けた状態で校正が可能です。これにより、メンテナンスコストが年間約半分に削減できます。
    (米国で特許取得 日本・欧州・中国で特許出願中)

 

主な仕様 

名称直挿式レーザー塩化水素計
形式TX-100
寸法/質量

分析計部   358(W)×517(D)×453(H) mm / 約19kg
プローブ部    フランジ部外径(最大)Φ253mm、長さ1500mm
プローブ管外形 Φ 89mm / 約20kg

測定成分

HCl、H2O