仏子会社に新たな試薬工場完成

|   ニュースリリース

フランス子会社の臨床検査(*1)用試薬工場、9月19日稼動
欧米市場向け生産能力を2倍に
臨床検査用機器(*2)拡販で、2010年で売上高330億円を狙う

当社のフランス子会社「HORIBA ABX社」が、フランス モンペリエ市の本社隣接の新規工業用地(*3)を取得し新しい検査試薬工場を完成させました。9月19日式典を行い正式に稼動開始します。
医用事業売上の約60%を占める検査試薬は、今後、年間成長率15%の試薬需要と新たな製品投入による検査試薬の需要増により売り上げの増加を見込んでいます。
そこで生産能力を現在の2倍の1万3,300トンまで増強し需要拡大に即応する体制をつくります。また、品質管理や研究開発機能も併せて集約化することで、主力の血球計数検査(*4)市場に加えて生化学検査(*5)市場における競争力強化に注力します。

当社の医用事業は、1996年にフランスのABX社を買収し、血球計数装置(*6)を柱に本格的に参入。当社との共同開発製品を全世界に投入するなど、同社は同分野事業の中心的役割を担っています。
臨床検査機器における検査試薬というものは補用品ビジネスで、同分野売上の約6割を占める収益の柱です。HORIBAグループとして積極的な新製品投入を推進していくことに加えて、市場の検査試薬需要の年間成長率を15%と想定し、今後ますます検査試薬の需要を見込んでいます。

このような市場拡大とグループ戦略から、2007年9月から同社において新たな試薬工場建設を着工し、このほど完成しました。この本格稼動により、現在主力の血球計数装置に新たな柱に育てている生化学検査用装置も合わせた臨床検査関連の試薬生産能力を、現在の7,000トンから約2倍の13,300トンへと増強します。試薬供給体制はフランス工場、ブラジル工場、阿蘇工場の3ヶ所で計約17,000トン/年で世界をカバーしていきます。
また、HORIBA ABX社では今回の新試薬工場建設を機に、近郊にある同社の子会社で生化学検査試薬メーカー「バイオペップ社」(*7)の隣接地への移転を含め、試薬に関する生産機能、研究開発機能、品質管理機能の集約を行い、競争力強化をはかっていきます。
なお、現在の中長期経営計画においては、最終年の2010年、売上高を現在の25%増となる330億円を目指しており、今回の新試薬工場稼動は、計画の根幹となる設備です。

 

参考資料

●新試薬工場の概要
敷地面積: 30,780平方メートル
建屋面積: 3,200平方メートル
延床面積: 4,400平方メートル
地下1階、地上2階建て


●HORIBA ABX 社
1983年設立の血球計数装置メーカー(本社:フランス、モンペリエ市)。1987年当社との国内販売・製造ライセンス契約により血球計数装置の小型中型機種の技術リソースを提供。1996年に当社の子会社となり、現在では当社医用事業の海外市場において検査機器の製造販売に加え、試薬販売、サービスなど中心的な役割を担っている。2003年にはパイオペップ社を買収。同社の生化学検査分野の技術を活用することで、生化学検査装置の新製品開発を行っている。なお、2007年12月現在で、売上高218億1,600万円、従業員850名、住所:フランス エロー県モンペリエ市、責任者は中峯 敦(当社 常務執行役員)。

*1 臨床検査
健康状態や病気の診断に必要な生体情報を得るための検査を臨床検査。

*2 臨床検査用機器
当社は血球計数装置と生化学検査装置、血液凝固検査装置を製造販売。

*3 新規工場用地
現工業用地に加えて、ABX社本社工場に隣接する土地30,780 m2を追加取得。

*4 血球計数検査
血液中の赤血球、白血球、血小板の数や種類を測定し、赤血球からは貧血、白血球からは感染の有無を診断する検査。

*5 生化学検査
血液中の結成・血しょう中に含まれる酸素・糖・たんぱく質を科学的に調べ、体の栄養状態や肝臓・腎臓、高脂血症や動脈硬化症などを調べる検査。

*6 小型血球計数装置
血球計数を測る全自動の検査機器で、小型装置では開業医や動物病院向けに販売されており、小型の市場では当社が特に強みを持っている。

*7 バイオペップ (BioPep) 社
2000年に設立した臨床検査試薬の開発・製造を得意とするフランス ヒールート県ムギオにあるベンチャー企業で、2003年10月にABX社が生化学事業の強化を目的に買収し、同社の完全子会社。買収により、ABX社は血液凝固検査試薬の自社開発・生産能力を獲得し、生化学検査装置事業を強化。