ローム株式会社の微量血液検査システム事業を承継

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当社は、ローム株式会社(本社:京都市右京区西院溝崎町21、代表取締役社長 藤原忠信、以下、ローム)の微量血液検査システム事業の承継手続きを完了したことをお知らせします。今後は、微量血液検査システムのコア技術を活かし、新製品の開発を行うことで製品ラインアップを拡充します。
 

背景と狙い

当社は、以前より開業医市場向けに、血液の成分を測定する血球計数や炎症の指標となるCRP(*1)濃度、血糖値やHbA1c(*2)など糖尿病に関連する検査項目において、即時に検査を行い、その場で検査結果を提供する血液検査機器を展開してきました。今後、より一層お客様のニーズに応えるために製品ポートフォリオの拡充が求められています。
このたび、ロームより本事業を引き継ぐこととなり、測定項目にCRP、HbA1cを持つ微量血液検査システムで、広く一般内科や小児科、循環器科のクリニックなどにより小型で低コストの製品を提案できるようになりました。当社の既存製品とのラインアップ提案により院内検査市場の拡大を目指します。さらに、今後測定項目を増やした新製品を開発、2022年には売上高5億円をめざし、医用向けビジネスを拡大していきます。
 

(*1)CRP(C-Reactive Protein/C反応性たんぱく):
体内に急性の炎症や組織の損傷があるときに、血清中に増えるたんぱく質の一種で代表的な炎症マーカー。組織や細胞の炎症を早く鋭敏に反応し、その度合いを知ることができる。また、病態の改善の際には速やかに減少するので、病態の診断、予後の診断、治療効果の観察に役立つ。
 

(*2)HbA1c(ヘモグロビンA1c)について:
HbA1cは、ヘモグロビンに血液中のグルコースが結合したもので、過去1〜2ヶ月間の平均的な血糖値を表わします。医学的な臨床研究のデータが豊富であり、糖尿病の検査において診断の指標として一般化しています。特に、2010年に施行された新しい糖尿病診断基準では判断基準値に加えられ、血糖値とともに同日検査が推奨されたことから、急速に普及し活用されています。
 

 
承継について

今回ロームより引き継ぐ資産は、製造・開発設備、消耗品関連、知的財産権、人員となります。同社は、LSI(*3)開発で培った微細加工を応用したμTAS(マイクロタス)(*4)技術を保有しており、当社にとって新たな技術導入となります。本事業は、これらのコア技術で開発した測定用チップを用いて、微量検体で測定が可能な微量血液検査システムの開発・生産を行っています。今後、同社の技術力と、当社の技術力を融合させシナジー効果を図り、京都企業同士のビジネスモデルの展開として新たな価値を創造していきます。
 

(*3)LSI(large-scale integrated circuit):
ICに比べてより集積度の高い複雑な回路をおさめた集積回路

(*4)μTAS(マイクロタス)技術:
Micro Total Analysis Systemの略。数mmから数cm角のチップ上に、さまざまな流体デバイスを集積することによって、化学反応や生化学分析など一連の化学操作を、短時間で効率的に行うシステムです。

 

微量血液検査システムの概要

測定項目HbA1c /CRP /高感度CRP /シスタチンC
設置寸法(本体)240(W)x388(D)×212(H)
重さ8.3kg