米社の血球分析装置事業を買収

|   ニュースリリース

当社は、医薬品総合メーカーのバイオケム・ファーマ社(カナダ)の米国子会社で、米国を中心に臨床検査機器の製造販売を行う、バイオケム・イミュノシステムズ社(以下、バ社)の事業の内、血球計数装置の製造販売権(試薬など補用品の販売およびサービスメンテナンスを含む)の事業を買収しました。
今後は、当社子会社のABX社が、本事業を引き継いで運営し、ABX社製品の拡販をはかり、3年後に米国内シェア20%を目指します。


−買収の背景と狙い−
当社グループとしての医用分野製品の海外展開は、ABX社(本社:フランス)を主軸に行っており、米国市場においては、ABXダイアグノスティック社(カリフォルニア州)(以下、米国ABX社)を、1997年に設立し本分野へ参入しました。医用分野製品はその性格上、サービスメンテナンスと補用品供給がいかに迅速にできるかが重要です。本年5月に、サービスメンテナンス機能を拡充した自社事務所ならびに工場を建設し、拡販体制の布石を打ちました。今後は、ユーザーの絶対数を早期に拡大し、世界シェア5位で欧州では確固たる地位にあるABXブランドを、同製品の世界市場の3割を占める米国内にも浸透させるかが課題です。

−買収の内容−
バ社は、同社グループの血液分析装置部門として、米国を中心にデスクトップタイプ(小型機種)を販売し、第4位のシェアを持っています。海外拠点を含め全体で
約130名の規模で、約3000カ所のユーザーを持っています。
今回の買収は株式取得による企業買収ではなく、同社事業の内、血球計数装置のサービスメンテナンス事業および、試薬などの補用品販売を含む製造販売権ならびに知的所有権に絞ったもので、米国ABX社がバイオケム・ファーマ社から、バ社の前出の事業を買収するという内容です。買収金額を含む総投資額は約15億円です。契約締結は7月6日付けとし、9月から本格的な事業活動を開始することを目指し、現在準備を進めています。


−今後の計画−
バ社のサービスエンジニアを中心とした35名が、米国ABX社に転属して、引き続き既納品のサービスメンテナンスを行います。一方、血液分析装置に不可欠となる試薬は、米国ABX社の自社工場にバ社の設備を移管して製造販売します。さらに、東海岸地域においても試薬供給の拠点を設ける方針です。医用分野製品の拡販において必須条件である、この2つの事業(迅速なサービスメンテナンスと補用品供給)をベースに顧客満足度を向上し、順次ABX社製への買い替えを推進します。世界3大市場の内、欧州.日本を含むアジアの2つの市場で販売実績を持つ当社グループとして、残る米国でも信頼度・知名度を一気に高め、米国ABX社ルートと合わせて、3年後に米国市場で20%のシェア確保を目指します。



参考資料

  • バイオケム・ファーマ社について
    バイオケム・ファーマ社は、1986年に現社長であるFrancesco Belliniらによって創業された。1988年に、世界で初めてHIV感染を検出する正確な診断キットを製造した。現在は、国際的な生物製薬会社として、主にがんや感染症(B型肝炎、エイズ)といった病気の予防、治療に寄与する革新的な製品の研究開発に貢献する企業。
    資本金:4,084万カナダ$
    グループ売上高:3億4,737万カナダ$('98年実績)
  • バイオケム・イミュノシステム社 概要
    バイオケム・イミュノシステム社は、バイオケム・ファーマ社の子会社であり、2つの事業の柱として、血液計測事業と免疫測定事業を展開している。今回、同社の血液計測事業を買収。
     社  長:Gleg Arnsdorff(グレッグ アルンスドルフ)
     社 員 数:約130名
     住  所:100 Cascade Drive Allentown,Pennsylvania U.S.A
     売上規模:2,019万$
  • ABX グループについて
    1983年に現会長のMr.J.E.Robertによって設立された、フランスの医用機器製造販売会社で8カ国に拠点を持つ。全自動血球計数装置の製造・販売からスタート。1987年、当社と本製品に関する販売・ライセンス契約を締結し、日本市場に参入。また、同社技術を応用し当社独自製品を開発するなど、両者の連携体制を築く。1990年、ロシュグループ傘下となり、世界展開の活動に入る。1996年6月に当社が買収し、当社グループの一員となり、より密接な連携のもと、医用分野の中心的位置付にある。現在は、ヨーロッパ各国に支店を設立して、直販網整備を積極推進している他、北アメリカを管轄するABX D-iagnostics,Inc.を1997年、南アメリカ諸国を対象に試薬を製造するABX,Ltd.をブラジルに1998年に設立するなど、世界展開を積極的に推進している。
    • グループ売上高:3.2億フランスフラン('98年実績)
  • ABX Diagnostics,Inc.
    1999年5月にカリフォルニア州に自社事務所ならびに工場を設置。本格的な米国参入の布石を打つ。今回の事業買収を機に、サービスに加え試薬生産を開始する。
     社  長:Mr. Richard A. Sullivan
     社 員 数:50名
     住  所:34 Bunsen Drive,Irvine,California 92618 U.S.A
  • 血球計数装置
     血液中の赤血球や白血球の数を計測する装置で、貧血など各種疾病の診断に使用される。必須項目を迅速に測定できる小型・中型機種は医院や小規模病院で、多項目・多検体処理の大型機種は、総合診断機能の省力化面から大病院で使われる。ABX社は、全てラインアップしているが、米国へは小型・中型からの拡販を狙う。