(株)堀場製作所は、血液中の赤血球や白血球などの数を測定する血球計数と、細菌やウイルス感染経過の指標となるCRP(C反応性蛋白)濃度の2つの測定を一体化。さらに、感染時に増加する白血球を3つの細胞種別に測定する"白血球3分類"を付加した、自動血球計数CRP測定装置「LC-170CRP」を開発。9月8日発売します。
1つの検体で血球計数とCRP測定の2つの検査が同時に行え、加えて感染の種類によって構成比率が変わる白血球3分類により、感染症の病原体の特定につながります。小型で4分程度の短時間測定と、診察しているその場で診断にデータが反映できる利点から、小規模病院を中心に販売していきます。
なお、本装置は国内市場と併せて、中国,韓国,東南アジアへ輸出します。
血液学の観点からみると、血液中の白血球の数は、病気や感染などの疾患があれば短時間に増加します。一方免疫学からみれば、疾患の際にCRP(蛋白の一種)濃度が白血球の増加から遅れて増えます。つまり、血球、特に白血球の数とCRP濃度を同時に観察すれば、感染の重さや進行度の判断データが得られます。さらに、白血球を構成している3つの細胞種(顆粒球、リンパ球、単球)は、感染の種類によって構成比率が異なるため、白血球を3分類ごとに増減を調べれば、感染の種類の特定につながります。
今回開発した装置は、白血球3分類を含む血球計数(演算項目も含めた18項目)と、CRP濃度を1台で同時測定します。白血球数とCRP濃度を経時的に同時に測定することで、症状がさらに悪化するのか、反対に沈静化に向かっているのかといった、現在の病期を判断が可能となり、効果的で的確な治療方針が立てられます。
さらに、白血球を3つの細胞種ごとに分けて測定できる(白血球3分類)ので、その増減や比率から、感染症の病原体の特定にも寄与します。
このように、本装置を使って白血球3分類を含む血球計数とCRPの2つを同時にまた数回検査することにより、病原体の特定や疾患の過渡時期の判定につながり、別々の検査や時間差検査では得られないデータが求められます。
また、小型なうえに測定は4分程度と短時間なので、設置場所を取らないだけでなく患者にとっても、診療したその場で測定結果に基づく的確な診断を受けることができ、検査結果のために数日後改めて来院する必要がありません。1回の測定に必要な検体量は18μlと微量です。耳たぶや指先からの採血で測定できるので、あかちゃんや幼児でも安心して検査が受けられます。
なお、国内市場における販売体制としては、主力の小型の血球計数装置を、販売提携先のフクダ電子(株)ブランドで開業医を中心に販売していますが、今回の製品は当社独自ブランドとし、フクダ電子通じも含め中・小規模病院をターゲットに販売していきます。加えて、白血球3分類を含む血算18項目とCRPの同時測定ができる本装置は、今後医療市場の成長が見込める中国をはじめとして韓国、東南アジアなどアジア圏に輸出します。
〈 主 な 特 長 〉
- 白血球3分類を含む血算18項目とCRP濃度を同時測定
感染症の病原体の特定、病期判定を臨床現場に提供します。 - 1つの検体で2つの検査が可能。しかも前処理不要の全血直接測定
遠心分離などの前処理なしの全血で行なうことができるので、一本の全血検体で血液学的検査(血算)と免疫学的検査(CRP)を可能にしました。 - 18μlと微量で測定可能
全血18μlと微量で測定可能なので、耳たぶや指先からの採血でも検査できます。
小児に対しても安心して検査が行なえます。
〈 標 準 価 格 〉 530万円
〈 販 売 目 標 台 数 〉 初年度 200台(内輸出20%)
〈 主 な 仕 様 〉
測定項目:19項目(白血球3分類を含む血算18項目+CRP濃度)赤血球数,白血球数,血小板数,ヘモグロビン濃度,ヘマトクリット,平均赤血球容積,平均赤血球ヘモグロビン量,平均赤血球ヘモグロビン濃度,リンパ球数,リンパ球比率,単球数,単球比率,顆粒球数,顆粒球比率,赤血球粒度分布幅,血小板粒度分布幅,血小板クリット,平均血小板容積,CRP
測定時間:260秒 (注記:血算のみの場合は75秒)
外形寸法:300(W)×410(H)×400(D)mm ,約18Kg
参考資料
〈ご参考〉
(測定原理)
- 電気抵抗法(赤血球数、白血球数、ヘマトクリット、血小板数)
血球が電気の流れている小孔(アパーチャー)を通過する際の電気抵抗変化から数を計る。
また、抵抗値から血球の大きさを求め、血液球の種類ごとに分類し積算する。 - 免疫比濁法(CRP)
血液に含まれるCRPを凝集試薬でかたまりにして(抗原抗体反応)光をあて、透過の度合から濃度を求める。
(用語説明) - 血球計数装置=血液中の血球成分として、赤血球、白血球、血小板がある。一般に 血液検査は、これらの血球成分を計測することが基本となっている。白血球計測に関して、白血球の分類を行なわず白血球総数として計測する場合を血算基本8項目と呼ばれている。また、白血球3分類の計測機能がついた装置では、血算18項目を測定できるものが一般的である。
- 白血球3分類=白血球はいくつかの細胞種によって構成され、大きく分けて顆粒球、リンパ球、単球の3つに分類することができる。感染症により白血球の増加が見られる場合、この3つのうちどの細胞種がどの程度増加あるいは減少しているかを知ることが、感染症の種類を特定するのに有用な手段となる。本製品では、白血球3分類を知ることができるので、前述の効果が得られる。
例:「顆粒球」→殺菌能,アレルギー関連/「リンパ球」→免疫制御機能/「単球」→貪食能 - CRP=C反応性蛋白といい体内に急性の炎症や組織の損傷がある時に、血清中に増える蛋白の一種で代表的な炎症マーカー。
- 感染の種類=一般に感染症は、大きく分けて感染原因の違いから、細菌性感染症とウイルス性感染症の2種類に分けられることが知られている。
- 疾患=健康状態が病的な状態にあること。
- 免疫学での検査=感染症やアレルギーなどの診断のために抗原抗体反応を利用した検査が行なわれている。CRP検査はその代表的なものである。
- フクダ電子 株式会社
本 社:東京都文京区本郷3-39-4
社 長:福田 孝太郎
事業内容:生体検査装置,医用監視装置,治療装置等各種の医用電子機器の
製造・販売及び輸出入
売 上 高:約420億円
(お問い合わせ先)
(株)堀場製作所 〒601-8510 京都市南区吉祥院宮の東町2
TEL.075-313-8121
本製品に関するお客様からのお問い合わせ先→医用システム営業部(内線3734)
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