二次救急病院における血球計数スクリーニング検査の重要性

導入施設の紹介

千葉県

公益財団法人柏市医療公社 柏市立柏病院

診療協力部 検査科
松本 理 副技師長
大和田 峻 技師

使用機器:自動血球計数装置 Yumizen H2500
測定項目:CBC+白血球5分類+網赤血球

二次救急病院におけるスクリーニング検査の重要性

夜間は血液像を確認する時間が限られていたり、普段検体検査を担当していない検査技師も従事するので、装置である程度のスクリーニングを行い、異常値や異常細胞を見逃さないことが重要です。効率よく正確な検査結果の報告ができるよう、適切な再検基準を設定する取り組みを行いました。

病院の特徴、日頃の検査業務で注意されている点を教えてください。


検査技師は、検体検査・生理検査の計26名で、血液検査は1日平均150件程度です。当院では夜間2次応需待機において週1回、夜間30件程度の検査を実施します。日頃の検査業務で一番注意していることは、血液検査において正しい検査値を報告すること、異常値や異常細胞を見逃すことなく迅速に報告することの2点を常に意識して検査を行っています。

弊社装置の導入前は、検査業務や装置運用面でお困りごとはございましたか?


これまでは異常値・異常細胞の見逃しを避けるため、サスペクトフラグが出た場合に、目視検査を実施しており、目視再検率が高いと感じていました。特に夜間は、血液像を確認する時間が限られていたり、普段検体検査を担当していない検査技師も従事するので、装置である程度のスクリーニングを実施し、効率よく目視再検を行うためのサスペクトフラグの条件を見直したいと考えていました。

装置を導入される際、どのような点を重要視されましたか?


これまで使用していた機能が失われず、さらに付加価値として正確な検査結果を出せるような機能があることを重視して選びました。YH-2500は、生理検査担当の技師でも直感的に操作ができるところが魅力的でした。

また、装置に異常が起きた際、検査が止まることのないように、サービスの方が到着するまで病院側で一時的な応急処置ができるので大変助かっています。

以前と比べて、日々の業務はどのように改善されましたか?


以前は、異型リンパ球(反応性リンパ球)を示すサスペクトフラグの偽陽性率が小児において非常に高いと考えていました。そこで、YH-2500でフラグの発生条件について検討を重ね、異型リンパ球の適切なフラグ閾値を決定してからは、異型リンパ球に関 する目視件数が小児では1/3程度減りました。

第55回日本医学検査学会では、ALY(異型リンパ球)フラグの閾値設定について発表いただきましたが、その他検討していることはございますか。


顆粒球系の幼若細胞に対しては、偽陽性を減らすというより、より広くスクリーニングをできるようにフラグ閾値の調整をしたいと考えています。一般的に装置のみでは異常細胞を断定することができないので、疑わしい細胞を見逃さないようにしたいと考えています。

最後に今後の取り組みをお聞かせてください。


当院のような地域の中核病院では、血球計数装置での検査は、血液疾患の特定よりスクリーニング目的が中心です。そのため、臨床側に適切な情報を迅速に提供し、血算の結果に加え、その他の検査項目を含めた多角的な検討ができるように心がけています。医師との協働を行えるように、検査室全体を育てていきたいです。

 

編集後記
柏市立柏病院様は、千葉県北西部の中核都市である柏市の急性期医療を担う地域の基幹病院です。
装置選定から学会発表まで若手の検査技師に積極的に機会を与え、育成に力を入れていると強く感じました。
医療への貢献に対する真摯な姿勢とともに人財育成の取り組みについても学ばせていただきました。
この度は、インタビューにご協力いただき本当にありがとうございました。

施設インフォメーション

施設名  : 公益財団法人柏市医療公社 柏市立柏病院
住所   : 〒277-0825 千葉県柏市布施1-3
診療科目 : 一般内科・外科・整形外科・呼吸器内科 他
WEBサイト: http://www.kashiwacity-hp.or.jp/index.html

(2024年7月掲載)
※掲載している情報は取材時点のもので、現在とは異なる場合がございます。

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