業界のタブーに挑戦!

|   ニュースリリース

(株)堀場製作所(本社・京都市 社長・堀場 厚)は、従来の球状をした電極と同じ性能の、ガラスチューブ(管)状のpHセンサを、世界で初めて、開発に成功しました。研究室で使う卓上型pHメータの電極に採用するのはもとより、管状の特徴を活かして各種プロセス経路に直接接続した、インライン測定にも応用できます。研究室向けに限らずプロセス対応の連続測定でも、従来から、ガラス電極式pHメータの心臓部であるpH電極の応答(センサ)部分は、その原理上薄膜の球状をしていますが、今回開発に成功したpHガラスチューブは、応答部分の形状を管状にしたものです。管を長くすればサンプルとの接液面積を増大できるため、従来の球状のガラス膜に比べ3〜5倍の肉厚でも同性能が得られます。


なお、国内と併せて、欧米・アジアを中心に海外にも販売します
標準価格:7万〜14万円(本体+pH電極セット)
販売開始:2月6日
販売目標台数:6千台(シリーズ合計)

「壊れにくい」の挑戦
国産では初めて、本体・電極共に完全防水構造(水深1メートルに30分間放置しても浸水しない)を採用。水中に落としても壊れません。

  • 故障による買い替え需要は減りますがユーザにとっては永く使っていただけます。


「割れにくい」の挑戦
心臓部のpH電極に、従来の薄膜球状ガラスに比べて5倍の強度を持つ、独自開発の管状pH応答ガラスを応用した堅牢型電極をオプションで用意。
 

  • 割れ易く消耗品扱いの電極の買い替え需要が減りますが、ユーザにとっては維持費が安くすみます。また、電極を撹拌棒としても使え便利です。


「儲かりにくい」の挑戦
電極からの信号を演算処理する電子回路に小型ICを組み込み高集積化をはかったことにより、携帯型では業界で初めて、pHと併せて導電率や溶存酸素など他の電極が接続可能。本体1台で2項目を同時に測定できます。
 

  • pH以外の測定器の販売数が減りますが、ユーザにとっては1台ですみ持ち運びも便利です。


国内シェアNO.1の当社が、業界の常識を破ってユーザに代わって開発した新製品です。

〈 主 な特 長 〉

  1. 本体・電極共に完全防水。現場測定に最適JIS C 0920保護等級7(IEC 529:IP67)準拠。
  2. 堅牢型のpH電極をオプションで用意従来比5倍の強度で扱いやすさが向上。
  3. pHに加えて導電率、溶存酸素、イオン濃度の同時2項目測定可能機種など全5機種。
  4. 標準pH電極は応答時間1/6の高速応答有機溶媒や低導電率の試料も迅速測定。


〈 主な仕様 〉
測定範囲:(pH)0〜14pH
再現性:(pH)±0.01pH
外形寸法:180×79×40mm(本体)
質 量:約350g(本体,電池含む)

(お問い合わせ先)
(株)堀場製作所カスタマーサポートセンター
TEL0120-37-6045(フリーダイヤル)

本新製品の開発理念
単に他社より安くといった価格競争ではなく、高機能,高付加価値,使いやすさと真のユーザニーズに応える製品の提供を、当社の製品開発のスタンスとしている。今回の新製品は、一見メーカとして利潤の少ない製品のようだが、「真のユーザニーズに新技術で対応」を開発テーマとし、今までのユーザからの意見・要望を取り入れた、ユーザが望んでいる製品を目指した。その結果、今までのpHメータの常識とは反対の、「壊れにくい」,「割れにくい」,「儲かりにくい」製品に仕上がった。

シリーズ内訳と測定項目,標準価格

型 式 測 定 項 目 標準価格
D21-S形 pH 7.0万円
D-22S形 pH/ORP 9.0万円
D-23S形 pH/ORP/イオン 14.0万円
D-24S形 pH/ORP/導電率 10.0万円
D-25S形 pH/ORP/溶存酸素 12.0万円注)

  • 上記5機種とも、標準セットの電極はpHのみ。各種イオン(10万〜13万円)、導電率(3〜7万円)、溶存酸素(6.5〜9万円)のpH以外の各電極は別売。
  • D−24には、pH電極に加えて導電率電極も標準セットした、D−24SE形有り(12.8万円)
  • オプション設定の堅牢型pH電極は、2.8万円・本体単体でも販売(5.9万円〜12.9万円)



参考資料

pHメータ
水溶液の酸性・アルカリ性の度合いを数値で表すガラス電極式pHメータは、化学工業・製薬業・食品・繊維等、製造業の研究・品質管理から工場排水、また大学・高校等の教育機関、官庁・環境関連の水質検査、土壌や熱帯魚の水等、我々の生活に深く関わる測定器として広く使用されている(pHセンサ内蔵で好みのpHに調整できる家庭用整水器も発売され、pHがより身近になっている)。本方式(ガラス電極式)以外にも、pHを測定する方法はいくつかあり、例えば、リトマス試験紙が有名だが、比色法のため着色しているサンプルには使用できず、正確な数値を得られないといった欠点がある。本方式は、唯一JIS化された測定法であり、現在pHメータの主流。なお、pHメータの当社国内シェアは約40%とトップ,世界では約7%。

防水構造(JIS C 0920保護等級7(IEC 529:IP67)に準拠)
電極で検出した電気信号を本体に伝える電極接続部分は、構造上防水にするにはコストがかかるため、携帯タイプでは防滴がほとんど。接続部分の防水技術を開発、特にコネクタの中でも防水性が難しいBNCコネクタ(世界で主流の電送コネクタ)での防水構造(JIS C 0920保護等級7(IEC 529:IP67)に準拠)に、国産で初めて成功。本体・電極ともに完全防水構造が実現したことにより、誤って水中に落としたり雨に濡れても故障の心配がなく、現場測定ニーズに対応した製品となっている。

複合項目測定の需要
近年、pH以外に導電率や溶存酸素の値も水質管理項目として重要性が増してきている。当社の独自調査からも、pHメータ購入時に導電率計および溶存酸素計を同時購入しているユーザが、最近では半分以上を占めている。これは、最もポピュラーで基本となるpHで水質情報を得た上で、各ユーザ毎に必要な指標を測定するという利用方法を裏付けている。本体1台に2種類の電極を接続して同時測定できる今回の新製品は、市場の半分を占める、複合項目を測定されるユーザにとって、価格面,操作性でメリットがある。従来、本体1台で2種類の電極を同時に測定することは、電極間の干渉影響があり、製品化にはコスト,大きさなどで問題が多く、各社実現しなかった。当社としては、上記のようなユーザーニーズに対応するため、独自の回路技術により、低価格・小型の複合項目対応の本製品の開発に成功した。

用途例
《携帯型の用途例》

  • 化学・製薬・食品・繊維等の一般製造メーカー−工場現場での排水管理(工場内をあちこち移動)、工業用水(冷却水等)の管理
  • 大学/高校等の教育機関−酸性雨測定,河川や池・湖での水質調査実習
  • 官庁−各事業所(工場)の抜打ち水質調査,各下水・上水場の放流水(川に流す水)の測定
  • その他民間分析業者等−井戸水/飲料水の調査(保健所も行っている),池・湖・海(魚が住めるかなど)

《防水構造ならではの用途例》

  • 船上での測定に−のりの養殖や遠洋漁業の魚群探査のめやす,現場での丸洗いもOK

《堅牢電極ならではの用途例》

  • どの研究室にも必ずあるガラス棒(攪拌棒)のかわりに(ガラス棒と同等以上の強度有り)
  • 特に学生実験ではビーカーの底に電極をぶつけて割るケースが多い
  • ボディはガラスなので有機溶剤にも強い。また、スポンジでの洗浄も可能(今までこすり洗いはダメ)

    導電率
    導体(電気を良く導く物質,ここでは水溶液をさす)の中での電流の流れやすさを示す指標。一般に水が汚染しているほど導電率は高い。(水道水の導電率は約100〜200μS/cm)

    溶存酸素(DO)
    水中に溶け込んでいる酸素濃度のこと。河川や海域の自浄作用や魚類などの水棲生物にとって適性な濃度が不可欠。また、廃水処理および水質管理などにとっても、濃度測定は重要な項目。

    イオン測定
    各種イオンの内、塩化物,フッ化物,アンモニア,硝酸,カリウム,カルシウムの、6種類のイオン電極の接続が可

    ORP
    酸化還元電位(Oxidation-Reduction-Potential)。溶液の酸化力(または還元力)の強さを表す指標。主に、滴定に使用される。数値が大きいほど殺菌力があると言われている。アルカリイオン整水器における強酸性水の殺菌力のモニターとしても活用されている。
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