ガラス電極生産技術が平成23年度全国発明表彰「発明賞」を受賞

|   ニュースリリース

当社の微量サンプル測定用ガラス電極製造技術に関する発明が、このほど社団法人発明協会が主催する平成23年度全国発明表彰において、「発明賞」を受賞しました。受賞対象は、2002年に株式会社堀場製作所が出願し、2007年に特許として登録された「二重ガラス管の製造方法およびイオン測定用複合電極の発明(特許第4054245号)」です。

本発明は、より微少領域における水質測定(pH、イオン)を実現する電極を安定的に量産するための生産技術です。外管と内管を用いた二重管構造を特徴とするイオン測定用複合電極を小型化するにあたり、狭間での細工精度により生産の歩留まりが大きく影響するのを、糸状体を活用した本発明により生産性が飛躍的に向上し、且つ安定的な製品性能が確保されます。
6月1日より発売している「LAQUA」と同時発売の「マイクロToupH(タフ)電極」では、本発明により直径3mmのガラス二重管を実現し、温度補償センサ付pH電極としては世界初の50μLの試料測定を可能としました。
測定サンプル量に制限のある、バイオ・生体試料を扱われる製薬、食品の研究開発や、医療・ライフサイエンスの基礎研究に活用いただく事により、人類・社会の発展につながればと願っています。

 

  • 全国発明表彰について
    社団法人発明協会が主催する全国発明表彰は、大正8年、わが国科学技術の向上と産業の発展に寄与することを目的に始まり、以来、わが国を代表する幾多の研究者・科学者の功績を顕彰することにより、今日の科学技術の発展に大きな足跡を残しています。

 

  • 受賞者
    馬場 利行
    堀場製作所 生産本部 生産2部 電極・小型製品チームジョブリーダー
  • 受賞技術名
    二重ガラス管の製造方法およびイオン測定用複合電極の発明
  • 登録番号
    特許第4054245号

 

受賞技術の要約

本発明は,二重ガラス管の製造方法およびイオン測定用複合電極に関する。
二重管構造を特徴とするイオン測定用複合電極の小型化を達成しようとすると,外管と内管を用いて二重管構造を形成するときの溶接の際に,外管と内管との中心がその先端部において十分に一致していないと,内管が外管の内部で偏りが生じ,溶接不良が生じるという問題があり、その製造が極めて困難になる。
本発明は,イオン測定用複合電極を構成する二重構造のガラス管の製造を容易として,その歩留りを向上すると共に,形成された二重構造のガラス管の外管と内管の間の空間にたとえ気泡が存在しても,この空間内を電気的に連通させることができる二重ガラス管の製造方法およびイオン測定用複合電極を提供することを目的とする。
この発明考案に係る二重ガラス管の製造方法では,二重ガラス管の製造時に,内管の周囲に糸状体を螺旋状に巻き付けて内管と外管との間の間隔を一定に保った状態で内管を外管内に挿入する。この際、内管の周囲に巻き付けられた糸状体が弾性変形しながら内管の外周面と外管の内周面に接触して,その間隔を広げようとする幾らかの力を全方向から均等にかけるので,糸状体によって内管と外管との間隔を一定に保った状態で、ガタツキ無く接合作業ができる(図1参照)。
本発明を実施することにより,外管と内管の中心は同一位置となり偏心がなくなるため,二重ガラス管の溶接目的以外の場所での外管と内管の付着がなくなり、作業の歩留りが良くなることにより生産性が飛躍的に向上する。加えて,内管と外管との間に吸水性のある糸状体があるので,内部液が隙間に行き渡りやすくなり,内極と液絡部との間に気泡が発生した場合にも,電気的に繋がった状態となりイオン濃度の測定が可能となる(図2参照)。

図1

図2
 

製品情報 卓上型pH・水質分析計「F-70/DS-70シリーズ」 LAQUA

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