サービス > 受託分析・試験サービス > バイオ・ライフサイエンス > エクソソーム蛍光ラベルによる判別
細胞から分泌される細胞外小胞の一つにエクソソームがあります。エクソソームは分泌した細胞由来の 膜たんぱく質や miRNA といった機能因子を含んでおり、細胞の挙動を知ることができるので、バイオマ ーカーや薬効研究など、再生医療や予防医療で注目を集めています。エクソソームに含まれる機能因子を 解析する研究が進められており、その一つに特定の機能因子を蛍光ラベルして判別する技術があります。 正常細胞と比較してガン細胞は多くのエクソソームを分泌するという予想もあり、エクソソームを判別 して個数濃度を測定する手法が求められています。
Particle Tracking Analysis(PTA)は蛍光特性を持つ 粒子を判別し、個数濃度と粒子径分布を求めることができます。既知の膜たんぱく質 CD9 を蛍光ラベル したヒト血清由来エクソソームについて、PTA を用いた個数濃度と粒子径分布評価を紹介致します。
図1に PTA 装置の概略図を示します。
キュベットセルに注入したサンプルにレーザ光を照射し、ブラウン運動している粒子の散乱光や蛍光をビデオカメラ(カラーCCD カメラ)上で可視化します。ビデオ画像から個数濃度を、ビデオフレーム間の移動距離から拡散係数を求め Stokes-Einstein 式より粒子径を計算します。
この際、セルとビデオカメラの間にロングパスフィルタ(LPF)を設置することで蛍光粒子のみを 測定することができます。レーザは 3 波長搭載されてい るので、様々な蛍光粒子に対応できます。
ヒト血清由来のエクソソーム膜たんぱく質 CD9 を蛍光ラベルし、PTA を用いて観察した結果、得られたカメラ画像を図 2 に示します。また、カメラ画像から求めた粒子径分布を図 3 に示します。参考まで にロングパスフィルタ(LPF)を設置しないで測定を行った結果も示します。粒子径分布から計算した 個数濃度は LPF 有り:5.5×107 counts / mL、LPF 無し:2.3×108 counts / mL でした。
この結果より、約 24%のエクソソームが CD9 を含んでいると予想されます。
PTA を用いることで、特定の機能因子を含んでいるエクソソームの測定ができます。今回用いた PTA 装置 ViewSizer 3000 は 3 種類のレーザ光源(青色、緑色、 赤色)を有しており、さまざまな蛍光マーカーに対して有効です。