令和4年度近畿地方発明表彰「京都発明協会会長賞」を受賞(半導体製造プロセス用薬液濃度モニターの校正機構に関する発明)

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当社の半導体製造プロセス用薬液濃度モニターの校正機構に関する発明「光学分析装置(特許第5937956号)」が、公益社団法人発明協会の主催する令和4年度近畿地方発明表彰において「京都発明協会会長賞」を受賞しました。この発明により、半導体製造プロセス用薬液濃度モニターにおいて校正周期の短い校正と、校正液を必要とする校正周期の長い校正を別々で行うことが可能となり、装置のダウンタイム削減とユーザビリティ向上につながりました。


受賞内容

半導体製造プロセス用薬液濃度モニターでは、光ファイバ及び光源の経時変化、測定セルの汚れなどによって、検出器で観測されるリファレンス光量(基準となる光量)が変化するため、定期的に光量変動分を校正する必要があります。従来の装置では、反射ミラーを用いて、「光ファイバと測定セルを含めた光学系全体に起因する光量変動分の校正【光路A】」と、「光源に起因する光量変動分の校正【光路B】」を行う構成でした(図1)。光路Aの校正を行う際は、校正液を測定セルに流さなければならないため、校正の度にダウンタイムが生じていました。また、セルの汚れによる光量変化は比較的ゆっくり起こる一方で、光ファイバに起因する光量変化は一日で大きく変動するため、光ファイバの校正周期に合わせて光路Aの校正を行う必要がありました。そこで、本発明では、比較的短周期で校正が必要な「光源と光ファイバに起因する光量変動分の校正【光路➀】」と、比較的長周期での校正で良い「測定セルに起因する光量変動分の校正【光路➁】」を別々に行うことのできる光学系としました(図2)。光路①においては「光源側の光ファイバから出た光が測定セルを通過せずに検出器側の光ファイバに入る測定セル非通過状態(図3)」に、光路➁においては「光源側の光ファイバから出た光が測定セルを通過して検出器側の光ファイバに入る測定セル通過状態(図4)」とし、2つの状態を自在に切り替えられる構成としました。この構成によって、比較的短周期で行う必要がある光路①の校正を測定セルに校正液を流すことなく行えるようになりました。さらに比較的長周期で起こる測定セルに起因する光量変動が測定に影響を与えるようになった段階で初めて、光路②の状態で測定セルに校正液を流して測定セルに起因する光量変動を校正すればよくなりました。このようにダウンタイムの削減およびユーザビリティ向上を実現しました。
 

図1 従来の光学分光装置の構成を示す模式図

図2 本発明の光学分析装置の構成を示す模式図

図3 光源及び光ファイバに起因する光量変動を校正するための光路
(光路➀、測定セル非通過状態)を示す模式図

図4 測定セルに起因する光量変動を校正するための光路
(光路➁、測定セル通過状態)を示す模式図


近畿地方発明表彰について

公益社団法人発明協会が主催する地方発明表彰は、各地方における発明の奨励および育成、科学技術の向上と地域産業の振興を目的として大正10年に始まりました。以来、優れた発明、考案又は意匠を生み出した技術者・研究開発者の功績を称え顕彰することにより、今日の科学技術の発展に寄与しています。
 

受賞概要

◆京都発明協会会長賞
受賞者:株式会社堀場アドバンスドテクノ 有本公彦、高木想
受賞技術名:光学分析装置
登録番号:特許第5937956号


令和4年度近畿地方発明表彰 その他受賞一覧

◆発明奨励賞
受賞者:株式会社堀場製作所 谷口平八朗、黒住拓司、株式会社堀場テクノサービス 山田雄大、堀場(中国)貿易有限公司 平田泰士
受賞技術名:元素分析装置の清掃機構 
登録番号:特許第6605807号

◆発明奨励賞
受賞者:株式会社堀場製作所 大槻喜則
受賞技術名:排ガス計測装置及び排ガス計測方法
登録番号:特許第6646476号

◆発明奨励賞
受賞者:株式会社堀場エステック 安田忠弘、高倉洋
受賞技術名:流量測定装置及び流量制御装置
登録番号:特許第6106773号
 

受賞した技術を用いた製品「光ファイバ式 薬液濃度モニター CS-600F」