船舶排ガス浄化装置用水質モニターを5月23日より販売 

|   ニュースリリース

 

 
船舶で使用する燃料油中の硫黄濃度規制の強化に対応
~堀場アドバンスドテクノの新製品を国際海事展「バリシップ2019」に出展~


株式会社堀場製作所のグループ会社である株式会社堀場アドバンスドテクノ(以下、当社)は、船舶に関する環境規制の強化に対応し、2019年5月23日より船舶排ガス浄化装置用水質モニター「EG-100」(以下、EG-100)の販売を開始します。

国際海事機関(以下、IMO※1)によりSOx※2削減の規制が強化され、船舶における排ガスや排水管理の計測ニーズが増えています。EG-100は、船舶の燃料油から発生する排ガスに含まれるSOxの排出量を削減する排ガス浄化装置の洗浄水や排水をモニタリングする装置です。本製品は、当社独自の連続脱泡装置を採用することで、SOxの削減規制の対象項目であるpH、多環芳香族炭化水素(以下、PAH)、濁度と、温度を高精度で安定した連続測定を実現しました。さらに、センサーの自動洗浄機能を搭載することで、安定性とメンテナンス性の向上をはかりました。
HORIBAグループは、舶用業界において、船舶用NOx分析計や燃料中の硫黄分析計などの環境分析技術も展開しています。今後も分析・計測技術で環境保全に貢献していきます。

なお、本製品は、5月23日から5月25日まで日本最大の海事都市「今治」で開催される国際海事展バリシップ2019(テクスポート今治)に出展します。

※1 IMO(International Maritime Organization):国際海事機関。船舶の安全および船舶からの海洋汚染防止など、海事問題に関する国際協力を促進するための国連の専門機関。
※2 SOx:一酸化硫黄・二酸化硫黄など硫黄酸化物の総称。

 

開発の背景

環境規制は年々厳しくなっており、海運業界においても、2020年1月1日より船舶で使用する燃料油中の硫黄濃度規制が強化されます。本規制の対応として、全船舶は、規制の基準を満たした適合油や代替燃料への切り替え、または、排ガス浄化装置を使用する必要があります。排ガス浄化装置を導入する場合、排ガス浄化装置から船外に排出される排水も、IMOで求められた規制値内にする必要があります。海の環境を守ることは、水質計測機器メーカーの責務の一つと捉え、排水を高精度で安定的に監視するEG-100を開発しました。
 

製品の特長

  1. HORIBA独自の連続脱泡装置を搭載(特許出願済み)
    排ガス浄化装置の排水は気泡を多く含んでおり、気泡が濁度やPAHなどの測定値に影響を与えます。今回、気泡を超音波で連続的に除去する技術を新たに開発しました。脱泡槽下部に設けた超音波発振部より超音波をサンプル水に照射し、強制的に脱泡を行います。この連続脱泡装置を搭載することで、高精度な安定測定を実現しています。
  2. センサーの自動洗浄装置を搭載
    排ガス浄化装置の排水によるセンサーへの汚れの付着が懸念されます。センサーの汚れは測定速度や測定値に影響を与えます。そこで、各種センサーに対し、当社が長年培ってきた自動洗浄技術を採用。メンテナンス性の向上と長期に渡る安定測定を実現しました。
    ・pH/温度:超音波洗浄
    ・PAH:清水による洗浄や超音波洗浄
    ・濁度:ワイパー洗浄

 

主な仕様

名称船舶排ガス浄化装置用水質モニター「EG-100」
寸法/質量(分析計部)600(W)×400(D)×1150(H) mm/約150 kg
測定項目pH、PAH、濁度、温度

製品情報:船舶排ガス浄化装置用水質モニタ EG-100
 

ご参考

規制海域と硫黄濃度
SOxの規制は、ECA海域(ECA海域:Emission Control Area 米国沿岸・北海・バルト海など)では2016年1月1日、一般海域では2020年1月1日より施行されることにより、航行しているすべての船舶が規制の対象となります。
また、硫黄濃度の規制値はECA海域では0.5%から0.1%、一般海域では3.5%から0.5%へ強化されます。この規制に対応するために、「規制を満たした低硫黄燃料及び硫黄を含まない代替燃料を使用する」または、「基準を満たさない燃料を使用する場合は排ガス浄化装置を使用する」必要があります。
  
船舶排ガス浄化装置用水質モニター「EG-100」
船舶排ガス浄化装置用水質モニター「EG-100」
[システムフロー例]EG-100は排ガス浄化装置の取水と船外への排水側に設置します。
[システムフロー例]EG-100は排ガス浄化装置の取水と船外への排水側に設置します。