pH測定は絶対値測定ではなく、基準値に対する相対値測定です。複数のpH標準液を用いて計器を校正(ゼロ点およびスパン点を、標準液のpH値にあわせて計器の目盛りを調整すること)し、サンプルを測定します。
一般に、ゼロ点の校正には中性リン酸塩標準液(pH 6.86 at 25℃)を、スパン点の校正には、サンプルの液性(酸性もしくはアルカリ性)に合わせて対応する標準液を選択し使用します。
少なくとも一日一回の校正をおすすめしております。
測定される試料の性状や求められる精度にあわせて、お客様にて校正周期の設定を行い運用ください。
校正はサンプルの予想されるpH値を挟む2種類のpH標準液を用いて行うのが原則です。たとえば、サンプルのpH値が5前後と予想される場合は、pH7(中性リン酸塩)標準液とpH4(フタル酸塩)標準液を用いて2点校正してください。サンプルのpH値が予想できない場合は、pH7(中性リン酸塩)標準液と酸性側の標準液(pH4(フタル酸塩)標準液またはpH2(シュウ酸液)標準液、およびアルカリ性側の標準液pH9(ホウ酸塩)標準液またはpH10(炭酸塩)標準液を用いて、3点校正を行なってください。1種類の標準液のみを用いる1点校正は、計器の1pH当たりの感度を固定して、ゼロ点のみを校正する方法で野外での簡易な測定に用いられる場合がありますが、通常実験室でのpH測定ではほとんど使用されない方法です。
標準液自動判別機能を有するpH計の場合、特に標準液の順番にはこだわりません。ただし、ゼロ-スパン校正という計器の使用前点検を兼ねる場合は、ゼロ点に相当するpH7(中性リン酸塩)標準液での校正を最初に行なってください。
温度補償電極が接続されている場合、校正時に本体の感度は温度に対応した値に補正されます。サンプルの温度によるpH変化は補正されません。したがって、標準液およびサンプルは同一温度で測定してください。サンプルのpH測定値には、測定時の温度を併記してください。
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