10秒間で1mV以下の変化率のとき、自動的に値をホールドする機能がオートホールドであるため、電極の応答が遅いときにはマニュアル測定とは少し値が変わることがあります。ホールドのタイミングを切り替えることができる機種もあります。
たとえばpH10.00の場合。まず、±0.01pHにより9.99〜10.01。さらに±1digitにより9.98〜10.02。よって無条件で±0.02の可能性があります。
マニュアルで校正(充分安定した時点での校正)をして指示誤差が生じた場合、電極間の性能差によると考えられます。つまり①どちらかの電極の汚れ、あるいは劣化、②比較電極における液間電位(内部液KClとサンプルの組成が異なる場合、その間で生じる電位のこと)の差、③標準液の変質、と考えられます。対策としては、汚れに応じた洗浄および標準液の確認を行なってください。それでも指示誤差がでる場合は、電極交換をお勧めします。
拠点間の測定環境の違いによるサンプルの測定温度差が要因として考えられます。サンプルの温度が違うとpH値も変わります。pH計にはサンプルの温度によりpH値を補正する機能(温度換算機能)がついているものがありますが、より正確に測定するためには、温度換算機能を使用せずに恒温水槽などを使用し、サンプル・容器・電極・温度計を同時に同じ温度へ調節して測定する必要があります。サンプルをゆっくり撹拌すると温度が均一になります。恒温水槽をお持ちで無い場合、または恒温水槽の温度変動が許容範囲外である場合は、サンプル・容器・電極・温度計を同時に加熱または冷却した後に室温でゆっくり温度変化させて、所定の温度で測定してください。
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