電気伝導率電極の洗浄・メンテナンスについて

電気伝導率の電極は汚れによって通常より高い数値を示したり、応答が悪くなったりすることがあります。

この場合、電極の洗浄を実施することで改善する可能性があります。

サンプルの種類によって洗浄の方法が異なるため、本日は洗浄方法などメンテナンスについてご紹介します。

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1. フル動画(7:01)

電気伝導率電極もpH電極と同様に適切なメンテナンスや保管をしていただくことで、電極を長くご使用いただけます。

2. 0:38 電気伝導率電極の取り扱い注意点

電気伝導率電極のメンテナンスのポイントは浸漬洗浄です。

pH電極と異なり、スポンジのこすり洗いは行わないでください。

こすり洗いをしてしまうと、測定に必要な電極の先端の黒い部分の白金黒が剝がれてしまい、電極が使えなくなる恐れがあります。

同じ理由で超音波洗浄も行わないでください。

白金黒は直接手で触らないこと、測定時に白金黒を溶液にすべて浸漬することが注意点となります。

3. 1:53 一般的な汚れの洗浄

電気伝導率電極の洗浄方法は、身近にある中性洗剤を100倍程度に希釈したものを洗浄液としてご使用ください。

汚れの程度にもよりますが30分程度浸漬洗浄することがおすすめです。

4. 2:14 油分などの洗浄

中性洗剤では落ちにくい油分のような汚れが付着している場合、エタノール洗浄がおすすめです。

エタノールは70%程度の濃度でご使用ください。

5. 2:29 金属など無機系汚れの洗浄

金属のような無機系の汚れの場合、1mol/L程度の塩酸や5%の硝酸を使用いただけます。

中性洗剤と同様30分程度浸漬してください。

洗浄後は、ビーカーなどを用いて純水(またはイオン交換水)でゆすいで、30分程度純水(またはイオン交換水)に浸漬してから使用してください。

水の中に浸漬することで電極の水への馴染みが良くなります。

洗浄後は標準液に電極を浸けて値を確認してください。

測定値に問題がなければご使用いただけます。

汚れの種類洗浄方法
一般的な汚れ100倍程度に薄めた中性洗剤に30分浸漬
油分エタノール(70%程度)に30分浸漬
金属など無機成分1mol/L程度の塩酸や5%の硝酸中に30分浸漬

※プラスチック部分は、エタノールや塩酸、硝酸には浸けないようにご注意ください。

6. 3:29 HORIBA製 電気伝導率標準液について

電気伝導率の標準液は塩化カリウム溶液です。

弊社では、84 μS/cm、1413 μS/cm、12.88 mS/cm、111.8 mS/cmの4種類の標準液のご用意があります。

お客様のサンプルの電気伝導率値に近い標準液を選んでご使用ください。

7. 3:59 電気伝導率電極の校正について

標準液を測定して、測定値が理論値から5%以上ずれている場合、セル定数の校正を実施してください。

電気伝導率電極には電極固有のセル定数があります。電極の持ち手部分にセル定数が記載されたラベルが貼られています。

電気伝導率電極は長期間使用すると汚れや劣化によりセル定数が徐々に変化し、測定値がずれてしまうことがあります。

電気伝導率は温度により変化するため、恒温槽で標準液の温度を一定にすることで、より正確な校正と測定が可能です。

測定値が理論値に対して5%以内であれば、校正せずそのまま使用できます。

校正は、3ヶ月に1回程度の頻度で実施することをおすすめします。

校正ができなくなった場合、電極の交換を行ってください。

8. 5:25 電気伝導率電極の保管方法

電気伝導率電極は乾燥が大敵ですので、純水(またはイオン交換水)に浸漬して保管してください。

pH電極と異なり、保管キャップに純水(またはイオン交換水)を入れて浸漬保管していただいて問題ありません。

3551-10Dのように保管キャップがない電極の場合、純水(またはイオン交換水)を入れたビーカーに浸漬保管するか、純水(またはイオン交換水)が入った遠沈管に入れ、プラスチックパラフィンフィルムなどで固定して保管してください。

9371-10Dは乾燥状態で保管してください。

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