人々の関心を集める事故米の不正転売

SmartColumn AFLAKING(アフラキング)本年8月に発覚した事故米の不正転売の問題が話題になっています。それらの報道の中で、中国製ギョーザ問題で有名になったメタミドホスのほかにアフラトキシンという名前が繰り返し使われています。これらの名前は私たちの健康を損なう可能性のある農薬やカビが作る有害物質の名前です。私たちはこれまで食の安全を守るため、病気や感染症、食中毒などの原因を追究し、それらとうまく付き合う工夫をしてきています。危険な食品は法律により、私たちの食卓から排除する努力がなされてきました。しかし、今回の不正転売の問題は、公式な輸入検査により危険な食品を見つけたのにもかかわらず、不正に流通し消費されたことに対してたくさんの人々が憤慨しています。

アフラトキシンはカビ毒の一種です

カビは食品に付着し、増殖する過程でいろいろな代謝産物を作り出します。この中で、病原菌の増殖を抑えるものは抗生物質と呼ばれ、人や動物の治療等に役立っています。一方、カビの種類によっては、人や動物に健康被害をもたらす有害な物質を作り出すものがあり、カビが作る代謝産物で人や動物に毒性を示すものは、カビ毒(マイコトキシン)と呼ばれています。
アフラトキシンはそのカビ毒の一種であり、ピーナッツ、トウモロコシ、ピスタチオ、香辛料、干しイチジクなど多くの種類の食品や飼料から汚染事例が報告されており、現在までに多数のアフラトキシン関連化合物が発見されています。特に食品衛生上の問題となっているのは「アフラトキシンB1、B2、G1、G2、M1」の5種類で、なかでもアフラトキシンB1は天然物質中で最も高い発ガン性を持つとされています。わが国では全食品を対象としてアフラトキシンB1の基準値を10μg/kg(0.01ppm)に設定、基準値を超えた食品は流通できません。(食品衛生法第6条第2項)

さらに詳しくアフラトキシン

アフラトキシンを作る代表的なカビは、コウジカビの一種でアフラトキシンの名前の由来ともなったアスペルギルス・フラバスです。アスペルギルス・フラバスは熱帯および亜熱帯地域に分布するもので、温帯地域の日本ではほとんど発生しません。アスペルギルス・フラバスが活性する高温多湿の環境下では、穀物などに付着・増殖する過程でアフラトキシンの産生が進みます。逆から見れば、アスペルギルス・フラバスが生きられない場所では、アフラトキシンが作られることはありません。
実際のところ、熱帯や亜熱帯地域においてはアスペルギルス・フラバスなどのカビ毒を作る可能性のあるカビの仲間は、普通に土壌や空気中に存在しています。収穫前に高温、干ばつ、病害虫などによるストレスがあるとカビに感染しやすくなり、収穫時期の長雨はカビを活性化します。収穫後の貯蔵や流通の過程においても、カビが好む環境に放置すれば汚染が進行します。これまで、生産者や流通に係わる人々によりカビが好む環境を作らないよう努力し成果を上げていますが、人が作り出した農薬とは違い不確定な天候や自然を相手にしているため、カビ毒の発生を完全に防止することは不可能と考えなければなりません。そのうえ、一旦作られてしまったアフラトキシンは非常に熱に強く、通常の料理では分解されず毒性が残ることが分かっているので、アフラトキシンに汚染した食品を流通させないことが非常に大切になっています。
輸入検疫では水際検査が行われており、アフラトキシンなど特に危険性の高いものは、厚生労働省からの検査命令の対象物質に指定され、全輸入ロットについて、輸入元や対象食品を指定し厳しく検査されています。平成19年度の輸入検疫所での検査においてアフラトキシンだけでも144件の基準値を超える法令違反があり、廃棄や積戻しなどの処置がされています。

<アフラトキシン B1の輸入元別 検査対象食品>
平成20年度 食品衛生法第26条第3項に基づく検査命令

輸入元 検査対象
全て 落花生およびその加工品、ピスタチオナッツ、ブラジルナッツ、ジャイアントコーン、アーモンド、クルミ、チリペッパー、レッドペッパー、ナツメグおよびハトムギ、ミックススパイス、乾燥イチジク
アラブ首長国連邦 ひよこ豆
イタリア ピスタチオナッツ加工品
インドネシア ターメリックおよびその加工品
オーストラリア トウモロコシ
カンボジア バジルシード
ギリシャ ピスタチオナッツ加工品
タイ バジルシード
トルコ ヘーゼルナッツ
ナイジェリア ごまの種子およびその加工品
ブラジル トウモロコシ
アメリカ アーモンド加工品、ごまの種子および加工品
ベトナム もろこしおよびその加工品、ごまの種子およびその加工品
ベネズエラ カカオ豆
ミャンマー ひよこ豆