免疫化学に基づく分析法
有機リン系殺虫剤 高感度フェニトロチオン測定キット
概要
フェニトロチオンは有機リン系殺虫剤です。1961年に農薬として登録され、多くの農作物に使用されています。本キットは、農産物に残留するフェニトロチオンを簡便、迅速(2時間以内)、高感度かつ定量的に多検体を分析できるので、生産現場での出荷/加工前検査や一次スクリーニングに最適です。
特長
機器分析との比較
機器分析は高精度な測定法ですが、下記の前処理や装置のオペレーションに高い技術と時間、また有機溶媒として大量のヘキサン、アセトンなどが必要です。本キットは、前処理が簡便で時間も大幅に短縮でき、抽出溶媒も少量のメタノールのみを使用するだけでフェニトロチオンを測定することが可能です。
主な適用例
図は、フェニトロチオンを添加した各農産物のメタノール抽出液(10%メタノール相当に希釈)を用いて反応曲線を描き、10%メタノール標準曲線と比較したものです。両者が一致していると、その農産物抽出液の影響なくフェニトロチオンを測定可能といえます。
参考文献
(1) 天野昭子ら、関西病虫研報 47(2005)167-168
製造会社: HORIBA
仕様
次のデータは基本性能です。詳しい仕様はお問い合わせください。
標準曲線
交差反応性
農薬 | 交差反応性(%) |
---|---|
フェニトロチオン(MEP) | 100 |
EPN | 34 |
パラチオン | 12 |
パラチオンメチル | 6.9 |
フェニトロ(MEP)オクソン | 1.0 |
シアノホス(CYAP) | 0.9 |
EPNオクソン | < 0.1 |
フェンチオン(MPP) | < 0.1 |
ジクロフェンチオン(ECP) | < 0.1 |
ダイアジノン | < 0.1 |
イソキサチオン | < 0.1 |
クロルピリホス | < 0.1 |
クロルピリホスメチル | < 0.1 |
フェンエート(PAP) | < 0.1 |
クロルフェンビンホス | < 0.1 |
スルプロホス | < 0.1 |
プロチオホス | < 0.1 |
プロパホス | < 0.1 |
プロフェノホス | < 0.1 |
同時再現性(玄米)
試料 | 平均(ppb) | SD | CV(%) |
---|---|---|---|
A | 0.90 | 0.03 | 3.3 |
B | 0.51 | 0.04 | 8.6 |
C | 0.37 | 0.02 | 6.2 |
n=8
分析者間再現性(玄米)
試料 | 平均(ppb) | SD | CV(%) |
---|---|---|---|
A | 0.85 | 0.03 | 4.0 |
B | 0.50 | 0.02 | 4.9 |
C | 0.37 | 0.05 | 12.3 |
n=3
日間再現性(玄米)
試料 | 平均(ppb) | SD | CV(%) |
---|---|---|---|
A | 0.93 | 0.06 | 6.7 |
B | 0.52 | 0.05 | 9.7 |
C | 0.37 | 0.01 | 1.4 |
n=3
添加回収試験(玄米)
添加濃度(ppm) | 回収率(%) |
---|---|
0.030 | 151.0±0.8 |
0.020 | 149.2±14.6 |
0.015 | 138.1±4.5 |
n=3
同時再現性、日間再現性、分析者間再現性、添加回収試験は、本キットが農産物中のフェニトロチオンを若干回収率が高めであるが定量的に測定できることを示しています。
キットの主な構成品・有効期間
内容(剤型) | 容量 | 数量 |
---|---|---|
抗体プレート(乾燥品) | 8行×12列 | 1枚 |
標準試薬L(凍結乾燥品:0.2ppb) | 1mL(溶解後) | 2バイアル |
標準試薬H(凍結乾燥品:2ppb) | 1mL(溶解後) | 2バイアル |
酵素標識物試薬(凍結乾燥品) | 6mL(溶解後) | 2バイアル |
洗浄試薬(溶液:10倍濃縮) | 50mL | 1バイアル |
発色試薬(溶液) | 13mL | 1バイアル |
発色停止試薬(溶液) | 13mL | 1バイアル |
有効期間 | 製造後12ヶ月 | 2~8℃保存 |
---|