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第2回「堀場雅夫賞」募集開始

2005年3月29日


当社は、昨年創設した社外対象の研究奨励賞「堀場雅夫賞」の第2回目となる本年度募集を4月1日から開始します。今回の対象テーマは当社のガス計測におけるコア技術「赤外線計測関連技術」です。創業60周年を迎える本年、第1回のテーマであったpH計測に続く基盤技術で、HORIBAグループ発展の原動力となった「赤外線計測」に焦点を当てることで、学術的・産業的にも価値の高い同技術の可能性を追求していきます。分析・計測技術発展の将来の担い手となる方々の積極的な応募を期待するとともに、画期的でユニークな分析・計測技術に従事されている研究者・技術者を支援することで、計測技術の発展の一助になればと願っています。

<今回の応募対象:赤外線計測関連技術について>
赤外線はリモコン・センサー・データ通信など身近な場面で利用されていますが、実は計測関連でも物質の性質や構造を解析するための重要な情報源です。科学的なアプリケーションと産業的な応用範囲も広く、その可能性は現在も拡大の一途をたどっています。今回は赤外レーザー、赤外LED、検出器に代表される素材技術や光学系技術などのハードウェアから、先端材料・環境・エネルギー・ナノテク・バイオ・ライフサイエンス分野等で必要とされる応用技術まで幅広い視点からの応募が対象になります。

<応募要綱>
【募集対象】
国内外の大学または公的試験研究機関に所属する方
【募集分野】
「赤外線計測関連技術」(基礎から応用まで、計測手法は問いません)
【応募期間】
2005年4月1日(金)から5月31日(火)まで
【応募方法】
所定の申込書・所定の推薦書、技術資料、当該研究に関する論文、
過去10年間の論文リストなどを添えて応募する
応募書類など詳細は、本賞ホームページに掲載:http://www.mh-award.org/

【審査方法】
審査委員会が応募書類に基づき実績と将来性を審議し、決定します
【発 表】
審査結果は、応募者および推薦者に2005年7月末までにお知らせします
受賞者には、賞状及び副賞として
助成金1件あたり150万円を支給します
【表 彰 式】
2005年10月17日(月) 京都大学芝蘭会館
(京都市左京区吉田牛の宮11-1)
受賞者による講演やポスターセッションを通して、
研究内容を広く社会にアピールする予定です。
【応募・問い合わせ先】
郵便番号601−8510 京都市南区吉祥院宮の東町2番地
株式会社堀場製作所内 堀場雅夫賞 事務局
TEL 075−313−8121(代)
E-mail: info@mh-award.org

【審査委員会】(敬称略、順不同)
名誉審査委員長:堀場 雅夫(堀場製作所 取締役会長)
審査委員長:堀場 厚(堀場製作所 代表取締役社長)
副審査委員長:川崎 昌博(京都大学 地球環境学堂 工学研究科
分子工学専攻 教授)
審査委員:
尾崎 幸洋(関西学院大学 理工学部化学科 教授)
斉藤 光徳 (龍谷大学 理工学部電子情報学科 教授)
舟窪 浩(東京工業大学大学院 総合理工学研究科物質科学創造専攻
助教授)
特別審査委員:
南 茂夫 (大阪大学名誉教授)
Ronald K. Hanson(スタンフォード大学教授)

<第2回堀場雅夫賞募集に当たって:堀場 雅夫>
内容、性質、挙動が不明の物質を解明することは、科学者や技術者にとって大変必要なことであります。問題を解くには高度の科学、技術を駆使した分析器が必要となります。
ただ、その重要性と高度の技術を必要とする割には一般社会は勿論のこと、学界においてもその存在は大きなものではありませんでした。当賞が地味ではあるが分析の基本をより確立する学究の徒に少しでも勇気を与えてくれることを願って、皆様からの応募をお待ちしております。

参考資料

【ご参考】
<賞の背景>
創業者の堀場雅夫が学生ベンチャーの草分けとして興した当社の歴史は、国産初のガラス電極式pHメータの開発から始まり、今日までその分析対象を液体・気体・固体分野へと拡大しながら、総合分析機器メーカーとしてグローバルに事業を拡大してきました。その発展を支えてきたものの一つに、創業当初からの大学や研究機関との連携があり、地道に基礎的な研究開発に取り組んできた研究者・技術者の努力が大きな原動力となっています。21世紀を迎え、分析・計測の重要性が社会的にも増してくる中、分析・計測技術の分野で、新たな起業・事業化の源となりうるアカデミックな研究・開発を支援するため、創業者の名前を冠した「堀場雅夫賞」を昨年創設しました。

<賞の趣旨>
本賞は、画期的な分析・計測技術の創生が期待される研究開発に従事する国内外の研究者・技術者を支援し、科学技術における分析・計測技術の価値をより一層高めることを目的とします。賞の対象分野は、当社が育んできた分析・計測の要素技術を中心に、毎年テーマとなる分野を定めることで、その成果や今後の発展性を世界的にアピールするべき研究・開発に焦点を当てていきます。基礎から応用まで、対象分野においてユニークな研究開発に「おもしろおかしく」従事され、将来の分析・計測技術発展の担い手となられる方々の積極的な応募を期待しています。

<赤外線計測と当社の関わり>
赤外線計測は、当社のガス計測におけるコア技術であり、これまでに当社が出荷した赤外線ガス分析計の総数は約28万台に及びます。1950年代に創業者の堀場雅夫が、液体用のpH計測に続き、気体用の計測法に赤外線計測を選んだことから、当社のガス分析の歴史は始まりました。当時のガス分析はガスクロマトグラフ法が主流でしたが、堀場雅夫は赤外線分析法が持つハイスピード測定に注目し、赤外線分析技術の確立に全力を上げました。その後、当社の赤外線分析法の特長である高速応答と高い安定性が、エンジン排ガス測定装置や環境計測装置など幅広い分野の製品を生み、今日まで総合分析機器メーカーとしてグローバルに事業を拡大する原動力となりました。
創業60周年を迎える本年、本賞の応募対象として「赤外線計測関連技術」に焦点を当てることで、学術的・産業的にも価値の高い同技術の可能性を追求していきます。


堀場 雅夫(株式会社堀場製作所 取締役会長/医学博士)
昭和20年(1945年)10月、京都帝国大学(現京都大学)理学部在学中に、当社前身の堀場無線研究所を京都に創業。今で言う学生ベンチャーの草分けとして出発した。
学生時代の専攻は核物理で、大学教授であった父・信吉氏と同じく、卒業後は大学に残って研究者になる道を志していた。しかし、戦争終結と同時に米軍が、日本に原子核関係の研究・実験を禁止する措置を取り大学での研究を続けられなくなった。自ら自由に実験や研究ができる私設の研究所をつくろうと決心したのが創業のきっかけ。

昭和28年(1953年)1月、株式組織に改組し社長に就任。
堀場無線研究所時代に電解質コンデンサーを開発し事業化を試みるが、朝鮮戦争のインフレのため計画は頓挫。代わりに、コンデンサー生産のために開発したpHメーターを商品として売り出し、現在の株式会社 堀場製作所を設立した。設立当時から大学との産学協同体制で、次々と新しいpHメーターを開発。現在までに至る事業の基盤を確立した。

昭和53年(1978年)、53歳で会長に就任。この時、人生哲学でもある「おもしろおかしく」を社是に制定。会長に就任後は、日本の中小企業、ベンチャー企業の支援や京都の活性化に力を尽くしている。現在は、財団法人 京都高度技術研究所 最高顧問やナノテクノロジーを中心として産学連携を推進する知的クラスター計画、京都ナノテク事業創成クラスター事業本部本部長などを務め、後輩起業家育成に注力している。また、最近は将来の社会を担う人材を育成するため、根本的な教育改革のためにも力を尽くしている。

大正13(1924)年 12月1日生まれ(80歳)
昭和20(1945)年 堀場無線研究所設立
昭和21(1946)年 京都帝国大学理学部卒業
昭和28(1953)年 (株)堀場製作所設立 代表取締役に就任
昭和36(1961)年 医学博士号を取得
昭和53(1978)年 同社 代表取締役会長に就任
昭和57(1982)年 藍綬褒章受章
平成7 (1995)年 同社 取締役会長に就任 至現在
他の現職は、京都商工会議所 副会頭、日本新事業支援機関協議会 代表幹事など


<第1回 堀場雅夫賞の応募実績>
第1回は当社創業の礎となった「pH計測」の分野が応募対象でした。
2004年5月10日から7月30日まで公募し、計16件(国内15件/海外1件)の応募がありました。第1回の本賞受賞者は以下の3名です。

<第1回受賞者と受賞研究内容>
(所属・肩書き等は受賞当時のものです)

  • 東北大学大学院 環境科学研究科 環境科学専攻 助手 陶 究氏
    受賞テーマ:「電位差法による超臨界水溶液のpH測定装置の開発」
  • 甲南大学先端生命工学研究所 所長(理工学部機能分子化学科教授)杉本 直己氏
    受賞テーマ:「DNAをセンシング素材として用いた細胞内pH測定法の開発」
  • (財)電力中央研究所 環境科学研究所 主任研究員 下島 公紀氏
    受賞テーマ:「ISFET-pH電極を用いた海洋の現場計測用pHセンサの開発」