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ABX社米法人を移転拡充

1999年5月18日


当社は、米国市場での医用分析装置の拡販に、本年より本格的に乗り出します。拡販体制の布石として、当社子会社のABX社(本社・フランス)の米国現地法人(ABX Diagnostics,Inc.)の自前の建屋をカリフォルニア州アーバイン市に4月に開設しました。医用分析装置という緊急対応が不可欠なため、24時間受付対応やメンテ講習などサービス体制を充実。迅速できめ細かなサービス対応を裏付けに、全世界での血球計数装置市場の3割以上を占める米国におけるシェア拡大をはかり、2002年までに血球計数装置の世界シェアを、現在の7%から15%と倍増を狙います。

当社グループとしての医用分野ビジネスは、当社の"医用システム統括部"が事業責任を包括する形で、京都本社および1996年にグループ化したABX社が、製品企画からサービスに至るまでを担当しており、昨年には両者の技術を融合し、CRP測定を付加した全く新しい製品を開発。微量検体でCRPも測定できる特徴が市場に受け入れられ、販売以来納入実績は500台以上と、日本国内で新たな市場を形成しつつあります。本年度の当社医用分野の売上を1.5倍と見込んでおり、グループを挙げて注力しています。

中でも、医用分析装置の専門メーカーであるABX社の技術力・販売ネットワークは、核となる位置付けです。ABX社は、本拠地のフランスを皮切りに欧州市場で活動を展開し、当社が買収した翌年の1997年に、第2の市場である米国への展開の足掛かりとして現地法人を設立、同時にブラジルに装置の補用品である試薬の生産工場を立ちあげ、迅速な供給体制を整えてきました。

今回の米国拠点の移転・拡充は、建物面積で2.5倍と大幅に設備を拡充しました。中でも特に、医用分野製品の命とも言えるサービス体制の拡充が挙げられます。24時間受付の電話対応(テクニカルサービスホットラインセンター)やメンテナンス作業や軽微故障の修理をユーザー自ら行えるよう研修する、カスタマー、サービストレーニングセンターなどの施設の充実に加えて、製品の補修・修理を行うスペースを従来の2倍設け、短期間納品を目指しています。
自社ビル建設およびサービス体制拡充は、これら顧客満足度の向上という布石により、米国内での高まりつつある認知度を、迅速かつ丁寧なサービスを背景に、一気に知名度・信頼度を高めて、残る米国市場に本格参入します。将来的には、サービス・営業だけでなく、試薬を中心とした現地生産も行う方針です。

今回米国に拠点を整備したことにより、グループ全体としての医用分野ビジネスは、米国・欧州・日本の3極体制を敷くことになり、本分野が21世紀に向け自動車排ガス分野に次ぐ柱になることを期待しています。


参考資料

  • ABX グループについて
    1983年に現会長のMr.J.E.Robertによって設立された、フランスの医用機器製造販売会社ABX S.A. を核とするグループで8カ国に拠点を持つ。全自動血球計数装置(MINOSシリーズ)の製造・販売からスタート。'87年、当社と本製品に関する販売・ライセンス契約を締結し、日本市場に参入。また、同社技術を応用し当社独自製品を開発するなど、両者の連携体制を築く。'90年、ロシュグループ傘下となり、世界展開の活動に入る。'97年6月に当社が買収し、当社グループの一員となり、より密接な連携のもと、医用分野の中心的位置付にある。現在は、ヨーロッパ各国に支店を設立して、直販網整備を積極推進している他、北アメリカを管轄するABX D-iagnostics,Inc.を'97年、南アメリカ諸国を対象に試薬を製造するABX ,Ltda.をブラジルに'98年に設立するなど、世界展開を積極的に推進している。今回の米国拠点拡充は、同製品市場で大きな比率を持つ米国の拡販の足掛かりの一環。

    • グループ売上高:3.2億フランスフラン('98年実績)
    • グループ従業員数:約430名(内ABX S.A.370名,ABX Inc.50名,ABX Ltda7名)

  • ABX Diagnostics,Inc. 概要
    社  長:Mr. Richard A. Sullivan
    社 員 数:50名
    住  所:34 Bunsen Drive,Irvine,California 92618 U.S.A
    敷地面積:7,000m2
    延床面積:3,600m2 (建築面積:2,700m2)
    主な施設:カスタマー、サービストレーニングセンター
    24時間受付のテクニカルサービスホットラインセンター、修理センター