ぶんせきコラム

pH測定、ホントに大丈夫?


簡単なようで、なかなか奥深いpH測定。
今回はもっとも一般的な化学分析のひとつ「pH測定」から、基礎中の基礎をとりあげます。

その電極で大丈夫?

◆内部液は3ヶ月をめやすに交換を。
内部液の組成は塩化カリウム水溶液。蒸発などで濃度が変化すると正確な測定ができません。毎日測定するような場合は、1〜2週間で交換をおすすめします。

◆内部液はたっぷりと。
内部液は内極(ガラス筒内の黒い棒状のもの)が浸かるまで入れます。また、サンプル(被検液)より液面が高くなるように。

◆気泡はとりのぞく。
応答部(先端の部分)の内部に気泡があると応答が遅くなることがあります。米粒より大きな気泡は、電極を体温計のように振って取り除きます。必ずキャップをして、割れないようご注意!

◆いつもキレイに。
応答部はpH電極のいのち。いつもキレイに保ちましょう。詳しい洗浄方法は、つづ く「その洗浄で大丈夫?」に。

◆内部液補充口は開けて。
校正と測定のときには、内部液補充口を開けます。こうすることで液絡(えきらく)部というところから内部液が少しずつ流出して、pH電極が機能します。

その洗浄で大丈夫?

pH電極は、校正・測定の前後に必ずイオン交換水で洗浄し、清浄なろ紙やガーゼなどで水滴をぬぐいます。
でも、水では落ちない成分が付着しているときや、応答性・安定性が悪くなったと感じたら、pH電極の先端にある応答部(多くは球形をしています)を次の方法で洗浄します。

◆一般的な汚れ
応答部だけを中性洗剤を薄めたものに浸しておきます。油脂などの汚れ中性洗剤の ほか、アルコール、アセトンなども効果があります。このときも、浸すのは応答部だけにします。

◆無機質などの汚れ
応答部だけを1規定ぐらいの濃度の塩酸に浸します。時間は10分〜1時間程度、液 絡部に塩酸が触れないよう、とくにご注意!

◆たん白質などの汚れ
たん白質分解酵素が入った食器用中性洗剤を薄めて、応答部だけを浸します。

◆強アルカリ性のサンプル(被検液)を測定したあとには
応答部だけを1規定ぐらいの濃度の塩酸に、数時間浸します。このとき、液絡部に塩酸が触れないよう、とくにご注意ください。


※なぜ「応答部だけ」?
洗浄液が液絡部(内部液の流出する部分)に触れると、内部液と混ざって正確な測定を妨げます。このときは内部液ごと交換してください。また、液絡部が詰まっても応答が遅くなることがあります。このときは、サンプルの種類に応じて上で説明したのと同じ洗浄液に液絡部を浸します。ただし、塩酸を使うときは10分ぐらいまでにしてください。もちろん、洗浄後は内部液の交換をお忘れなく。





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