ぶんせきコラム

液晶ディスプレイ生産の舞台裏


パソコンのディスプレイは少し前までブラウン管をつかったものが主流でしたが、最近では液晶ディスプレイをつかった製品もたくさん目にするようになってきました。これらの生産ラインには最新の生産技術が投じられ、高度な自動化が行われています。しかし、この最先端製品の生産工程にも、つい最近まで人手に頼るしかなかった検査がありました。


自動化が困難だった液晶の「点灯検査」

日本の液晶ディスプレイメーカは、国際的に価格競争の激しいノートPC用デバイスから、携帯電話やPDAなど急成長が見込まれるモバイル機器用デバイスに生産の比重をうつしつつあり、独自技術で低消費電力・反射型・プラスチック液晶といった付加価値を生みだしシェア拡大に挑戦しています。またこのいっぽうで、韓国や台湾のメーカと肩をならべて大型ガラス基板を採用し、大型サイズの液晶モニタやテレビなどの生産に向けて設備投資をおこなうメーカもあります。

このように競争が激しく、高い品質と歩留まりを要求される最先端の液晶ディスプレイ生産現場ですら、最後まで自動化が難しく人海戦術でおこなっていた検査。それは「点灯検査」と呼ばれるものです。

『FPD品位検査装置』で実現した検査の標準化

ご存知のとおり液晶ディスプレイは、画像をあらわす小さな点、「画素」が集まってできています。点灯検査のなかでたとえば「点欠陥」を調べる検査は、それぞれの画素が欠けることなく点灯して、液晶ディスプレイとして機能をはたすことを確かめるために行われます。しかしこの点灯検査はいまでもたいてい目視で行われていて、これでは個人差による検査結果のバラツキや、出荷時に必要な検査データが保管できないという問題が避けられません。

そこで登場したのが『FPD(フラットパネルディスプレイ)品位検査装置』です。この装置ではCCDがすべての画素の点灯状態をきわめて高い分解能でモニターし、その明るさを人間の目ではまず不可能なレベルまで判別します。これにより「点欠陥」や「線欠陥」、「シミ」、「色ムラ」などの位置情報を数値で表示・記録し、ようやく客観的な方法による検査の標準化が可能になったというわけです。