ぶんせきコラム

粒子径分布の「基準」ってナニ?


セラミックス、化学、電子、食品、医薬品…。ありとあらゆる製品の品質を左右する粒子径。粒子径分布測定装置は、品質の高い製品を開発・製造するために多くの分野で活用されています。
今回のぶんせきコラムでは、HORIBA ONLINE「オンライン分析センター」から、粒子径分布測定にまつわる話をお届けしましょう。


粒子径分布測定でしばしば出てくる言葉、「個数基準」「長さ基準」「面積基準」「体積基準」。これら「粒子径基準」と呼ばれるモノの意味は何でしょうか。

「粒子径基準」とは、粒子径分布のそれぞれの粒径の頻度を計算するとき、何を基準に計算しているかを表しています。

具体例をあげてみましょう。仮に粉体が、直径1μmの粒子と直径2μmの粒子、それぞれ50個ずつで構成されているとします。このとき、各々の粒子が含まれる割合(頻度)を「個数」を基準にして表わすと、1μmが50%、2μmが50%ということになりますね。

次にこれを、「体積」を基準にして考えてみましょう。体積Vは直径Dと次の関係になっています

純水ができるまで
つまり、体積は直径の3乗に比例して大きくなりますので、それにともなってそれぞれの粒子の割合も、1μmが約11%、2μmが約89%となります。

このように、「粒子径基準」を何にするかによって、粒子径分布が大きく変わってくることがあります。そのため、粒子径分布を測定するときには「粒子径基準」を同一にして比較することが重要です。

測定結果が変わるというのに、どうしていろいろな「粒子径基準」を用いるのでしょうか。これには粒子径分布の測定にいくつもの方法があることが関係しています。

従来からある粒子径分布の測定法として、数種類の目開きの異ったふるいを用いる、「ふるい分け法」というものがあります。この方法では、ふるい分けた粉体はその重量によって割合を求めます。ご存知のとおり、重量と体積とは相関がありますので、「体積基準」の粒子径分布が求められることになります。

一方、顕微鏡の映像で粒子径分布を求める方法では、粒子の数を計数してその個数から粒子径分布とすることが多く、このときは「個数基準」となります。

HORIBAの粒子径分布測定装置では、これらいずれの「粒子径基準」にも対応できるよう、「個数基準」「長さ基準」「面積基準」「体積基準」の4種類で粒子径分布を表わせるようになっているのです。



HORIBA ONLINE:粒子計測