HORIBAのひとり言

マーケティングとしてのIR活動


「IR活動」、すなわち投資家向けの広報活動は、いまや企業にとって重要な業務のひとつになりました。今回は、広報室でIR活動を担当する伊藤哲氏が個人投資家のみなさまへ語りかけます。

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 投資家向け広報はなぜ必要か?
多くの日本企業にIR(investor relations)が浸透しだしたのは、ここ5年ぐらいのことではないでしょうか。もちろん、それまでにも海外で上場している会社など、積極的な情報開示(ディスクロージャ)で知られる日本企業はありました。

IR活動の目的は、業績内容を積極的に開示して投資家の興味を引きつけ、正当に評価してもらうことにあります。したがって、IR活動はマーケッティング活動だと言うコンサルタントもいるくらい重要なものです。投資家をターゲットとして会社の将来性、強み、他社との差別化、業界におけるポジショニングなどを説明し、注目してもらう必要があるのです。

投資家のためのIR活動とは
現在、日本では3,500社あまりの会社が上場し、株式市場を通じて投資家からの資金を獲得する状況にあります。しかし、総額1,400兆円ともいわれる個人資産はほとんど預金されていて、株式投資にはまわってこないのが実情です。これには、過去にバブルの崩壊や株価の低迷の影響をうけた個人投資家が、株式市場から離れてしまったことも原因しています。

株式投資においては、短期的な株価の値上がりだけを期待するのではなく、その会社を長期的にみたときに、その成長性や社会貢献などの点にも注目することが重要です。しかし企業の多角化が進んでいくなかで、従来の事業内容から大幅に変わっていくケースもあり、これは必ずしも簡単ではありません。

日本でも、学校で模擬投資の体験をとりいれるなど、健全な投資活動の浸透のためにできることはまだまだあると思います。いっぽうの企業では、投資しやすくなるために適切な情報開示を進めていく必要があると考えています。
これからのIR活動
HORIBAの事業内容は従来、エンジン計測部門を中心に環境計測関連の売上が多くを占めていました。しかしここ数年、グループベースで半導体分野や医用分野の売上が増えているというのが事実です。そのような事業ポートフォリオの変化も正しく株式市場に伝えなくてはなりません。

企業に直接問いあわせができたり、つねに情報にアクセスできる専門の機関投資家と、一般の個人投資家とではもともと情報格差があります。そこをどうやってまんべんなく情報開示していくかが、私たちの腕の見せどころでもあるわけです。株式市場の健全化にむける努力を、HORIBAだけでなく個人投資家のみなさまとも一緒に行なっていきたいと考えています。



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