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『2009堀場雅夫賞』受賞者決定/授賞式は10月19日

2009年7月31日


−社外の「分析計測技術」研究者の奨励賞−

当社は、国内外の大学または公的研究機関の研究開発者を対象とした、「分析計測技術」に関する研究奨励賞『堀場雅夫賞』の2009年受賞者をこのほど決定しました。

この賞は2003年に創設され、6回目となる今回の選考テーマは、“半導体材料表面コンタミネーション(*1)の高感度・非破壊計測”です。本年4月から5月にかけて公募し、海外含め19件の応募がありました。その分野で権威の先生など7名で構成する審査委員会が、将来性や独創性、ユニークな計測機器への発展性に重点を置いて評価し、以下の4名に受賞者を決定しました。

受賞記念セミナーならびに授賞式は学究界からの参加者もご招待し、10月19日(月)京都大学 芝蘭会館にて行います。

(*1) 不純物や混入物を指し、性能に悪影響を及ぼすもの(微粒子、金属イオン、無機分子、有機分子など)

受賞者と受賞研究内容

(2009堀場雅夫賞受賞者)

  • スペイン オビエド大学 ホルヘ・ピソネロ氏
    (Dr. Jorge Pisonero, University of Oviedo)
    『半導体表面の無機/有機物計測のための新しいソフトイオン化技術を用いた大気圧グロー放電飛行時間質量分析計の開発および評価』
    (Development and Evaluation of an Innovative “Soft Ionization Technique” based on Atmospheric Pressure Glow Discharges Time-of-flight Mass Spectrometry (AP-GD-TOFMS) for the Determination of Inorganic/organic Contaminants on Semiconductor Surfaces)
     
  • 独立行政法人物質・材料研究機構
    桜井 健次(さくらい けんじ)氏
    『蛍光X線分光法による超微量分析 −新しい高効率波長分散型X線分光器の開発と高輝度シンクロトロン放射光による全反射蛍光X線分光法への応用』
     
  • 横浜国立大学 大学院工学研究院
    大野 真也(おおの しんや)氏
    『表面差分反射分光と反射率差分光によるSi表面上のO2, NO, CO 反応の研究』

(特別賞受賞者)

  • 京都大学 大学院工学研究科
    国村 伸祐(くにむら しんすけ)氏
    『超高感度小型全反射蛍光X線分析装置の開発』

堀場雅夫賞について

本賞は計測技術発展のため、2003年5月に当社創業者の名前を冠して創設した、社外対象の研究奨励賞です。毎回、対象テーマを計測の要素技術から選定し、単なる助成金にとどまらず受賞研究の実用化を支援するのが特徴です。本年は「半導体材料表面コンタミネーションの高感度・非破壊計測」をテーマとし、4月1日から5月29日までの公募で計19件(国内11件/海外8件)の応募がありました。

2009年の受賞者4名(特別賞受賞者を含む)は、その応募の中から、画期的でユニークな分析・計測技術の創生が期待される研究開発に従事し、将来の分析計測技術発展の担い手になるという観点で、実績と将来性を審査委員会で審議し選考されたものです。

授賞式について

本賞の授賞式は、創業者堀場雅夫の母校で、創業当時「産学連携」の礎となった京都大学の施設内(芝蘭会館)で行います。受賞者による講演やポスターセッションを通じて、研究内容を広く社会にアピールする予定です。

日程:

2009年10月19日(月)

場所:

京都大学芝蘭会館
(京都市左京区吉田牛の宮11-1/TEL 075-771-0958)

受賞者ご紹介

  • スペイン オビエド大学 准教授
    ホルヘ・ピソネロ氏 (32歳)
    (Dr. Jorge Pisonero, Researcher (Assistant Professor), University of Oviedo)
    「半導体表面の無機/有機物計測のための新しいソフトイオン化技術を用いた大気圧グロー放電飛行時間質量分析計の開発および評価」
    「Development and Evaluation of an Innovative “Soft Ionization Technique” based on Atmospheric Pressure Glow Discharges Time-of-flight Mass Spectrometry (AP-GD-TOFMS) for the Determination of Inorganic/organic Contaminants on Semiconductor Surfaces」
    固体表面の前処理なしでかつ、大気圧グロー放電を利用してサンプルにダメージを与えないソフトイオン化技術を採用した飛行時間質量分析計を開発した。本分析計のシリコン表面における質量分析の検出限界は非破壊計測でありながら〜10 ng/gに到達しており、破壊法で高感度の二次イオン質量分析計に迫るレベルである。単結晶、あるいは多結晶シリコンなどの表面の非破壊質量分析を高速・高感度で行うことが可能であることから、今後この分析計が半導体デバイス、さらには太陽電池の製造工程における非破壊コンタミネーション計測に大きく貢献することが期待される。
     
  • 独立行政法人物質・材料研究機構 グループリーダー
    桜井 健次氏(49歳)
    「蛍光X線分光法による超微量分析 −新しい高効率波長分散型X線分光器の開発と高輝度シンクロトロン放射光による全反射蛍光X線分光法への応用」
    高輝度放射光(SPring-8)と独自の工夫を導入した超小型・超高効率のX線分光器の技術を組み合わせた新しい全反射蛍光X線分光法の開発により、従来報告されていた最良の検出限界を一桁以上も更新する10-16gレベルの世界一の高感度化を達成した。この研究では、光源の高性能化に見合った分光技術と分光器の開発が超微量分析のブレークスルーをもたらした。単なる元素分析にとどまらず、分光器の高分解能性を生かして微量物質の化学状態分析も可能になった。さらに将来は、短パルスX線による化学変化・反応の研究への発展も期待されている。
     
  • 横浜国立大学 大学院工学研究院 特別研究教員
    大野 真也氏(35歳)
    「表面差分反射分光と反射率差分光によるSi表面上のO2, NO, CO 反応の研究」
    半導体デバイス作製上重要なSiO2の膜形成に関して、可視−近紫外光を用いた表面差分反射分光(SDR)と反射率差分法(RDS)が単原子層での観測感度を有することを実証し、また、SiO2/Si界面に形成されるひずみを定量化できる可能性を見出した。これら手法は、シリコンウェハ表面における薄膜成長過程などをその場観察することが可能であり、高感度な原子レベルの解析やプロセス制御技術への展開が期待される。

特別賞受賞者

  • 京都大学 大学院工学研究科材料工学専攻博士後期課程3回生
    (日本学術振興会特別研究員(DC2))
    国村 伸祐氏(30歳)
    「超高感度小型全反射蛍光X線分析装置の開発」
    全反射蛍光X線分光法では単色X線を用いた方が高感度であるという常識を覆し、数WのX線管を用いた多色X線の場合では放射光を用いた全反射X線分光法に迫る高感度化と小型化が可能であることを見出し、この結果を基にハンディー全反射蛍光X線分光装置を開発した。本装置は、半導体プロセスのインライン分析装置としての可能性を有しており、この分野への展開に向けてさらなる技術開発が期待される。

以上