HORIBAは、73年前の創業以来、本業である“はかる”技術を通じた社会課題の解決に挑戦し続けてきました。
世の中のあらゆる技術が大きな転換期を迎える中、新たな経営体制のもとでお客様・社会のご要望に確実に応え、さらなる企業価値の向上に取り組みます。

 

2018年より新たな経営体制で臨みます

 2018年1月1日より、私が代表取締役会長兼グループCEOに、齊藤壽一が代表取締役副会長兼グループCOOに、足立正之が代表取締役社長に就任し、新しい経営体制が始動しました。新経営体制では、私と齊藤がグループ全体を、足立がヘッドクォーターとしての堀場製作所をリードしていきます。今回の経営体制変更に至ったきっかけは大きく2つあります。
一つは企業規模の拡大です。私が社長に就任した1992年から、およそ26年が経過しました。企業買収なども実施してグローバルにビジネスを成長させることができましたが、グループ全体でのマネジメントの重要性が鮮明になりました。今後私は、現在のHORIBAのビジネスの中心であるグループ会社のマネジメントに加え、これからの成長を支える新興国にHORIBA の企業文化である「おもしろおかしく」の精神を周知・浸透させていくため、グループ全体の統括に軸足を移してまいります。副会長の齊藤は、グローバルレベルでの経営戦略・事業戦略の立案・実行を通じて、HORIBAの経営を実質的に主導します。
もう一つは技術力の強化です。HORIBAはこれまで様々なアプリケーションへの展開により、「多品種少量グローバル」なビジネスモデルを構築してきました。このスタンスは変えないまま、一方で新しく生まれる需要に柔軟に対応していくためには、基礎技術力の強化を忘れてはなりません。技術面で幅広い知識を有し、グループ会社でのマネジメントにおいても実績を積み上げてきた社長の足立はまさに適任であり、事業部門の枠を超えたリソース活用と技術力強化に取り組みます。
好調な業績で推移している今だからこそ、勇気を持って一歩前に踏み込むことが必要です。新しい経営体制のもと、さらなる成長をめざして前進してまいります。

 

自動車産業の潮目の変化に対応し、次世代技術開発に貢献します

百年に一度の変革期といわれる自動車産業においては、電動化や自動運転技術の開発の波が押し寄せる中、車載バッテリーのマネジメントや半導体数の増加だけでなく、効率的な充・発電のシステム構築など、従来の枠組みに収まらない多岐に渡るビジネスの拡がりを見せています。2015年に買収したホリバMIRA社(英)は、自動運転技術や電気自動車用のバッテリー開発などに加え、様々な実証実験サービスを提供するなど、豊富なリソースとスキルを持っています。エンジンとバッテリーの組み合わせによるハイブリッド車やプラグインハイブリッド車に対しては、エンジン排ガス測定装置をはじめとした、確かな実績を持つ各種計測器がフルラインアップされています。さらに、科学システム機器部門の製品を応用し、バッテリー開発における分析・評価にも対応することができます。事業部門の枠を超えた技術の活用により、次世代自動車技術の開発に全方向で貢献してまいります。

 

「タイミング、スピード、継続」をキーワードに事業を加速させます

このような様々な社会の変化に対応していくためには、「タイミング、スピード、継続」のどれか一つでも欠けてはなりません。
まずは「タイミング」です。2017年5月で、びわこ工場「HORIBA BIWAKO E-HARBOR」の本稼働から1年が経ちました。常に高水準での稼働が続いていますが、もし少しでも投資判断や稼働時期が遅れていたならば、お客様のニーズに応えることができなかったかもしれません。また、次世代自動車技術開発に強みを持つホリバMIRA社の買収についても、自動車産業の地殻変動に世の中が気づいた後では実現できなかったかもしれず、投資判断のタイミングの重要性を強く実感しています。
次に「スピード」です。小さな体のゴルファーでも飛距離を出せるのは、力やスピードだけではなく、ゴルフクラブのヘッドの加速度の違いです。私は、経営も同じだと思います。2017年10月にホリバABX社(仏)が新製品発表から間を空けずに、シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス社(米)と長期的なパートナー契約を締結するという、販売面でのダイナミックな変化が生まれました。そのビジネス展開のスピード感はHORIBAグループ全体の良い刺激になると考えています。
そして、「継続」です。現場からの改善活動を称え、共有するHORIBA独自の業務改善活動である「ブラックジャックプロジェクト」は2017年に20周年を迎えました。我々の企業文化として定着しており、現在の好調な業績を支えていると言っても過言ではありません。2014年に発足した「HORIBAステンドグラス・プロジェクト」では、色鮮やかに輝くステンドグラスのように、「多様な個性・才能が輝き、新たな価値を創造し続けることで強いHORIBAを実現すること」をミッションに、働き方改革を含め、経営の土壌としての人財の多様性をさらに豊かにするための活動を進めています。この活動も継続することで、持続成長を牽引すると期待しています。


製品供給力のさらなる強化に取り組みます

2017年12月末、半導体システム機器部門を牽引する株式会社堀場エステック阿蘇工場の過去最大となる拡張工事が完了しました。技術革新のスピードが速まる中で、「必要な時に、必要な量を、高い品質で」届けられるかが競争力を左右する時代が来ていると思います。我々の生産力だけでなく、長年培ってきた生産協力会社や販売会社との関係が益々大切になってきています。まさに、「製作所」の価値が出る時代になってきたのではないでしょうか。今後もさらなる供給力強化に向け、生産ライン自動化の検討などを含め、積極的な投資を続けてまいります。

 

2018年も最高益更新をめざします

2017年12月期の業績は、半導体システム機器部門と自動車計測システム機器部門の好調を原動力に、売上高は1,953億円(前年比15%増)、営業利益は268億円(同45%増)となりました。
2018年12月期は、売上高2,100億円(前年比7%増)、営業利益290億円(同8%増)と、どちらも過去最高を更新する予想です。引き続き半導体システム機器部門と自動車計測システム機器部門が業績を牽引しながらも、環境・プロセスシステム機器、医用システム機器、科学システム機器の3部門においても前年比で増収増益となる見通しです。

※2018年2月13日発表時点の予想

 

「見えない資産」を磨き続け、成長を加速します

HORIBAは、これまで景気の良い時も悪い時も、人財の採用と育成、研究開発、設備に投資を続けてきました。様々な産業において技術の潮流が大きく変わるなか、これらの変化に対応するために必要な投資を継続的に行うことがますます重要である、と私は考えます。景気サイクルの異なる事業や地域においてマトリックス組織でのバランス経営を実践するHORIBAは、長期視点で継続して投資をすることで、世界のビジネスパートナーからの信頼を高め、グローバルにHORIBAブランドを拡大していきます。
またHORIBAは、2011年に「国連グローバル・コンパクト」に署名しています。それぞれの国・地域の多様な文化・習慣・価値観を理解し、現地従業員と共にその地に根ざした事業を展開しています。
コーポレート・ガバナンスの面では、「オープン&フェア」の基本理念の下、多様な経験・スキルと独自の見識を持つ3名の社外取締役を擁しており、取締役会での活発な発言を通じて、企業価値向上に貢献しています。
HORIBAが持つ様々な「見えない資産」を磨き上げていくことにより、経済的価値の創出はもちろんのこと、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の中で、HORIBAが注力する分野の達成にも貢献します。

 

私事ですが、2016年末に足首のけがをして、車いすや松葉杖が手放せない不自由な生活を半年以上送り、けがをした部分以外にまで痛みを感じ、身体の不調を覚えるという体験をしました。現在は完全に回復しましたが、この経験は、小さなことを見逃すとそこから大きなバランスを崩してしまう、という大きな示唆を与えてくれました。HORIBAの経営においても、業績好調な今、大きなチャレンジに挑むと同時に、日々の仕事に細心の注意を払って臨んでまいります。
今後も、チャレンジ精神を持って「おもしろおかしく」という私たちの社是を具現化しながら仕事に取り組み、“はかる” 技術を通じて社会に貢献していきます。豊かな未来に向かって継続的な企業価値向上をめざすHORIBAを、末永くご支援くださいますようお願い申しあげます。


2018年4月
代表取締役会長兼グループCEO 堀場 厚