次期排出ガス規制“Euro 7”とは

Euro 7は、RDEによる認証試験、NH3やSPN10をはじめとする規制成分の追加・強化、ブレーキエミッション・バッテリー耐久などの新たな規制が盛り込まれた欧州の次期排出ガス規制です。Euro 7の概要をご紹介します。本ページに掲載するEuro 7の情報は、2022年11月10日に欧州委員会より公開された案*に基づきます。*Euro 7 standard proposal (europa.eu)

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目次

新たな排出ガス規制“Euro 7” 策定の背景

2019年12月、欧州委員会は、欧州グリーンディールを最優先政策として発表しました。2050年までに、ヨーロッパが世界で最初の気候中立大陸※1になることを目指し、各産業セクターでロードマップを定めました。また、具体策として、2030年までに少なくとも55%のGHG排出削減を実現するための政策パッケージ Fit for 55※2の討議を進めています。

運輸産業においては、Fit for 55 packageの1つ、乗用車/軽商用車 のCO2排ガス規制の改正法が2023年4月に採択されました※3。また、2023年2月に重量車のCO2排ガス規制の改正法案※4が交付され、平均CO2排出量は年々強化される流れにあります。

こうした中、次期欧州排出ガス規制Euro 7の検討が行われています。2022年11月には欧州員会案※5が発表されました。本ドラフトの序文には、Euro 7の概要として、LDV(Light Duty Vehicles ; 乗用車/軽商用車)・HDV(Heavy Duty Vehicles ; 重量車)の規制を一本化すること、燃料・技術によらない規制にすることが掲げられています。

※1 気候中立:温室効果ガスの排出が実質ゼロであること
※2 Fit for 55 - The EU's plan for a green transition - Consilium (europa.eu)
※3 EUR-Lex - 32023R0851 - EN - EUR-Lex (europa.eu)
※4 EUR-Lex - 52023PC0088 - EN - EUR-Lex (europa.eu)
※5 Euro 7 standard proposal (europa.eu)

Euro 7 排出ガス規制の方針と主な変更点

Euro 7では、主な排出ガス認証試験法を、試験室内にて行う試験から実路走行による排出ガス試験(RDE)に変更する※6ことや、新規規制成分の追加・規制値の強化が検討されています。また、実路での温度条件について、下限が-10℃、上限が45℃、標高は1800 mまでが試験対象となる見込みで、従来のEuro 6e/Euro VIと比べて拡張されています。車の走り方を定義するTrip Compositionもなくなり、さまざまな走り方が認証試験で想定されています。さらに、実際の使用期間に合わせ、耐用期間も拡張する提案がされています。

※6 実路で測定できない成分や、燃費(CO2)、PMの認証試験は引き続き試験室内での試験が採用されます。

LDVのEuro 6からの主な変更点

LDVの排出ガス規制は、現行規制であるEuro 6に以下の項目を変更・追加しています。

  • SPN23(粒子径23nm 以上の固体粒子数)からSPN10(粒子径10nm 以上の固体粒子数)に変更
  • NH3(アンモニア)の質量規制を追加

HDVのEuro VIからの主な変更点

HDVの排出ガス規制は、現行規制であるEuro VIに以下の項目を変更・追加しています。

  • SPN23からSPN10に変更
  • CH4(メタン)、N2O(亜酸化窒素)、HCHO(ホルムアルデヒド)、NMOG(非メタン有機ガス)が新たな規制成分として追加
  • NH3が濃度規制から質量規制に変更

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Euro 7 排出ガス以外の新たな規制・主な変更点

Euro 7では、世界で初めてとなるテールパイプ・燃料蒸発ガス以外の規制として、ブレーキエミッション・タイヤ摩耗を規制対象にしています。さらに、消費者の信頼を高めるため、バッテリーの耐久性能も新たに規制対象としています。

ブレーキエミッション(ブレーキ粉塵)・タイヤ摩耗率(タイヤ粉塵)規制

ブレーキエミッションについては、現在の案ではLDVのPM10に対してのみ、規制値が設定されています。この試験法には、UN GTR(Global Technical Regulations)No.24※7が採用される見込みです。本GTRでは、PM10に加え、PM2.5、SPN10、TPN10の計測法が定められています。

※7 Global Technical Regulations (GTRs) | UNECE

PM10  :粒子径が10 μm以下の微粒子の質量
PM2.5 :粒子径が2.5 μm以下の微粒子の質量
SPN10:粒子径が10 nm より大きい揮発性粒子を含まない固体粒子数エミッション
TPN10:粒子径が10 nm より大きい揮発性粒子を含んだ総粒子数エミッション

今後の検討の中で、ブレーキエミッション(ブレーキ粉塵)・タイヤ摩耗率(タイヤ粉塵)の規制成分・規制値・計測手法の詳細が検討されます。

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バッテリー耐久規制

Euro 7では、電気自動車への消費者からの信頼性向上を目的として、バッテリーの耐久性に関する性能要件の規制を検討しています。LDVのバッテリー耐久試験法には、UN GTR No.22※8が採用される見込みです。

※8 Global Technical Regulations (GTRs) | UNECE

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蒸発ガス試験の主な変更点

LDVの燃料蒸発ガスは規制値が強化されます。また、新たに給油時の蒸発ガス規制の検討も進められています

Euro 7の今後の動向

2022年11月に欧州委員会より発表されたEuro 7原案は、欧州議会・理事会での議論・承認を経て最終決定されます。当局は、24年前半の合意を目指しています。また、試験手順や測定条件といった詳細を含む実施規則についても、並行して作成が進められる予定です。

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