株式会社堀場製作所(以下、当社)は、動物病院向けに動物用自動血球計数装置「Microsemi(ミクロスエミ) LC-712」を1月22日に発売します。One Health※1が提唱されるなかで、動物病院が果たすべき役割はますます大きくなっています。犬や猫の血液が測定可能な動物用自動血球計数装置は、言葉を話せない動物の状態を客観的に把握できるため、アニマルウェルフェアの観点からも大変重要です。血液検査の迅速化と効率化に役立つことで、動物だけでなく、ご家族や動物病院に勤める皆様の健康と安心な暮らしにも貢献します。
なお、本製品は2024年2月23日~25日に東京国際フォーラムで開催される「日本獣医内科学アカデミー」に出展します。
昨今、世界では動物の感染症が多く発見されており、関わる人々の安全性も重視されています。また、ペットは大切な家族の一員としてかけがえのない存在となっています。それにともない、動物病院の数も年々増加しており、全国で約12,600施設※2を数えます。より身近な病院ですぐに診察を受け、ペットが安心・安全に暮らすことのできる環境が整えられています。血球計数装置は、病院内で赤血球数や白血球数を測ることで貧血、アレルギー、炎症などの症状を確認でき、その後の迅速な処置に役立ちます。また、その場で獣医師からご家族にペットの健康状態を説明できるため、いち早くご家族の不安を解消することにもつながります。血球計数装置は80%以上※3の動物病院で導入されており、重要な検査方法のひとつとなっています。
【動物用自動血球計数装置 Microsemi LC-712の特長】
①血餅などの詰まりに対する対策強化で安定稼働
・血餅(けっぺい:血液が凝固したもの)などを捕集するフィルタを追加
・バルブの開閉時間最適化などの機構改善で洗浄機能を強化
②ユーザビリティの向上
・装置の横に配置できる専用ホルダーを設置し、試薬置き場所の自由度を向上
・タイマー、カレンダー機能を搭載。装置の自動オンオフをより詳細に設定することができ、稼働効率を向上
・装置本体の設置面積を当社従来製品※4比で約18%削減
<日本獣医生命科学大学付属動物医療センター 吉田佳倫先生のコメント>
状態が芳しくない動物が来院した時、どんな検査を行いますか?
CBC検査(Complete Blood Count:全血球計算)や血液化学検査は、多くの動物病院で即時に実施可能であり、患者が来院した際に行う基本的な検査として普及しています。獣医療では患者と言葉でのコミュニケーションが図れないため、血液検査などで動物の状態を客観的に把握することは極めて重要です。
各社様々な仕様や機能で発売されていますが、使用する頻度が高い機器だからこそ、それぞれの施設のニーズに合った製品を選択できることが望ましいです。動物用自動血球計数装置の発展によって機器の選択が多様化し、より良い獣医療につながることを期待しています。
<主な仕様>
販売名 | 動物用自動血球計数装置 Microsemi LC-712 |
測定項目 | 20項目 |
赤血球数、白血球数、血小板数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット、平均赤血球容積、平均赤血球ヘモグロビン量、平均赤血球ヘモグロビン濃度、赤血球粒度分布幅、血小板粒度分布幅、血小板クリット、平均血小板容積、リンパ球数、リンパ球比率、単核細胞数、単核細胞比率、顆粒球数、顆粒球比率、好酸球数、好酸球比率 | |
測定時間 | 約70秒 |
検体吸引量 | 10マイクロリットル |
測定対象 | イヌ、ネコ全血※5 |
本体寸法 | 装置本体:220×440×430ミリメートル(突起部除く) |
本体質量 | 15キログラム |
測定原理 | 電気抵抗法、比色法 |
※1 ヒトと動物、それを取り巻く環境(生態系)は、相互につながっていると包括的に捉え、ヒトと動物の健康と環境の保全を担う関係者が緊密な協力関係を構築し、分野横断的な課題の解決のために活動していこうという考え方。
※2 2022年12月31日時点、農林水産省「飼育動物診療施設の開設届出状況(診療施設数)」より
※3 当社調べ(2024年1月時点)
※4 動物用自動血球計数装置 Microsemi LC-662
※5 採取した血液が固まらないよう、抗凝固剤を用いて体内にあるときと同じような状態を保ったもの