ぶんせきコラム

ピカピカをたしかな数値ではかる


自動車にワックスをかけたり家具や床をみがくとき、どれくらいツヤが出たかを見て仕上げることがよくあります。生活の中では十分なこの方法も、製品の仕上げや清掃の仕事では、検査する人の個人差や環境に左右され、どうしても基準があいまいになりがちです。ツヤやピカピカをばらつきなく測る方法はあるのでしょうか。


「ピカピカ」とは?
ふだんなにげなく使っている「ツヤ」や「ピカピカ」というのは、いったい何でしょう。ガラスや磨かれた金属などを見たとき、私たちはピカピカだと感じます。反対に和紙やすりガラスのように表面がザラザラしていると、そのようには感じません。

光がモノにあたるとき、その一部が反射して私たちの目に入ります。ガラスや金属表面のようになめらかな面では、あたった光の多くは入ってきたのと同じ角度で反射します。このような面は、そのふるまいが鏡のようであることから「鏡面」と呼ばれます。反対に和紙などザラザラの面では、光はさまざまな方向へ反射し、同じ角度へ反射する光は少なくなります。

この2種類の反射のしかたをそれぞれ「鏡面反射」「拡散反射」 と呼ぶのですが、私たちがピカピカだと感じるのはこの「鏡面反射」する光が多いときなのです。

「光沢度」と「光沢感」
日本工業規格(JIS)では、ピカピカさをあらわす尺度として「光沢度」を定めています。この規格では、可視光を60°で入射したときの鏡面反射率が10%となる、屈折率1.567のガラス面を光沢度100と規定しています。そして実際の光沢度は、この基準面と鏡面反射率を比較して求めることになっています。

これに対して、人間が実際に目で見て感じるピカピカさは「光沢感」という言葉であらわされます。これはモノの材質や色、環境などにより感じ方の個人差が大きく、光沢度のような客観性がありません。


光沢度をはかる
従来、JIS測定法に完全準拠した「光沢度計」は高価で立ち上げに時間がかかり、おおがかりな装置のため携帯できるものではありませんでした。しかし、現場で簡単に使用したいというニーズは大きく、現在では低価格で小型の光沢計が製品化されています。

たとえばHORIBAの光沢計では、光源に起動時間のいらない近赤外線発光ダイオード(LED)を、検出器にはフォトダイオードを採用することで、低価格と小型化を実現しています。また基準面には、湿気などに侵されやすい屈折率1.567のガラスでなく、光沢度90の屈折率1.500のガラスを用いています。

測りたいところで瞬時に光沢を測定できる『ハンディ光沢計』は、塗装やワックスがけといった表面加工にはじまり、製紙、石材、タイル、プラスチックの製造・加工、さらにはビルやコンビニエンスストアの清掃など、さまざまな分野で品質管理や作業効果の確認に活躍しています。



HORIBA:グロスチェッカプラザ