ぶんせきコラム

pH電極っていろいろあるけど?


いろいろなモノの性質をあらわす指標として、pH(ピーエッチ:水素イオン濃度)は研究開発から品質管理まで、ひろく用いられています。e!abiroh創刊号のぶんせきコラムでは、正確な測定に欠かせないpH電極のメンテナンス方法についてお届けしました。
今回はメンテナンスと同じぐらい大切な、pH電極の選び方についてです。


pH測定は最も一般的な化学分析のひとつで、対象となる試料の性質や測定シーンも多岐にわたることから、pH電極もそれにあわせてたくさんの種類が用意されています。つまり、用途にあわせたpH電極選びが、正確な測定のカギをにぎるとも言えるのです。

代表的な用途に適した電極を紹介してみましょう。

とにかく簡単に測りたい
「防水プラスチックボディpH電極9620-10D」は持ち運びに適したプラスチック製のガード付で、デリケートな応答膜を破損から守ります。また、応答膜には低導電率水用電極にも使われる特殊なガラスを採用し、優れた応答性・安定性を示します。

「防水厚膜ガラスpH電極ToupH(タフ)9610-10D」は、実験室で使うのに適した電極です。応答膜として、従来比約3倍もの厚みを持たせたガラス膜を採用し、衝撃に強く破損しにくい特長があります。電極じたいを撹拌に使ったり、直接スポンジで洗浄するといった使い方もOKです。

これらの電極は、一般的な試料を測定するのに適していて、多くのpHメータで標準付属電極として採用されています。


もっと精密に測りたい
「超精密用pH電極 6367-10D」「低導電率水・非水溶媒用pH電極 6377-10D」は、内部液を流出させる液絡部(えきらくぶ)に「スリーブ形」を採用しています。ガラスの合わせめから内部液が流出する「スリーブ形」液絡部は、精密なpH測定に欠かせない安定性と再現性を向上させます。


少ない試料を測りたい
pH電極では、測定のために一定量以上の試料液が必要です。「試験管用pH電極 6378-10D」「極細試験管用pH電極 6069-10C」は、直径がそれぞれ8mm、3mmという細さで試料の必要量が少なく、少ない試料の測定にもいかせます。

ただし、その形状ゆえ取り扱いは慎重に。

導電率の低い試料を測りたい
純水をはじめ、導電率の低い試料はpH測定が難しいものの代表です。「防水プラスチックボディpH電極9620-10D」「低導電率水・非水溶媒用pH電極 6377-10D」など、応答性に優れた特殊ガラスを採用した電極が適しています。

このほか、試料をたっぷり用意したり、大気中のCO2の影響を受けないよう大気を遮断するといった工夫や、流出する内部液の影響を受けない「フロー測定」という手法を用いることもあります。


半固体試料を測りたい
食肉や果実、ジャム状の試料を測るには、先端の尖った「食品用pH電極 6252-10D」が便利です。これに詰まりにくい「スリーブ形」液絡部を採用した「ニードル形pH電極6251-10C」もあります。

また、pH応答膜と液絡部が同一面にある「フラット形pH電極6261-10C」は、皮膚や植物といった水分を含む柔らかい固体の表面を測定するのに適しています。



ぶんせきcafe:「pH測定、ホントに大丈夫?」
ぶんせきコラム(第1回)より、pH電極ご使用でのポイント、
洗浄方法についての説明を掲載しています。