精製水、注射用水など製薬用水の品質管理において微生物検出を迅速化する重要性とは?

「微生物による汚染に対してリスク管理をしたい」
「製造工程や環境におけるメンテナンス後、速やかに製造再開したい」

といった課題をお持ちではありませんか?

製薬用水における微生物汚染のリスク

精製水や注射用水などの製薬用水は、医薬品の原料をはじめ設備の洗浄など幅広い用途で使用されます。水中の微生物の増加は水質劣化につながるため、医薬品の品質を保証するうえで製薬用水の微生物管理は非常に重要です。

製薬用水は基準値以上の微生物が増えることがないよう、製造設備の最適化や滅菌操作を実施するなどの対策を講じて、厳しく管理されています。
しかし、古い設備の場合や気温が上がる夏の時期、膜交換した後などには、定常状態よりも多くの微生物数が検出される場合があり、微生物汚染の発生リスクはゼロではありません。

水に生息する微生物は生育が遅く、R2Aカンテン培地を用いて4-7日(又はそれ以上)の培養が必要であること1)から、微生物検査の結果が出るころには当該製薬用水は既に使用に供されている可能性があります。また、このような微生物は配管壁面やフィルタなどに付着しバイオフィルムを形成しやすく、システム内部で徐々に成長し、一部が脱落して循環ループ内に拡散するなどのリスクがあります。

微生物検出における課題

製薬用水における微生物の検出には、各国薬局方に収載されている培養法(メンブランフィルター法)が用いられ、製薬用水では4~7日の培養期間が必要であるため、結果を得るまでに時間がかかります。つまり、培養法での結果は4~7日前の状態を示しており、現状の把握ができないことが課題です。

仮に定常状態より少し高い値が出た場合、ラボエラー等による一時的な上昇であるか、微生物汚染による恒常的な上昇であるか判断を求められますが、その確認のためにもさらに培養期間が必要となります。

この増加傾向の検出から汚染の判断を行う間にもバイオフィルムはさらに成長し、プロセス全体の汚染リスクが増大してしまいます。

微生物検出を迅速化するには?

医薬品の品質維持や安全性を担保するため、また製造工程や製造環境におけるメンテナンス後の復帰の遅れなどの影響を最小限にするためには、微生物の増加傾向をいち早く検知し対策を打つことが非常に重要です。

そこで、微生物検査の時間を短縮することが課題の解決につながります。

HORIBAの微生物迅速検査装置Rapicaは、培養不要の高感度ATP法※1を採用し、約2.5時間で微生物の検出が可能です。
※1 ATP(Adenosine tri-phosphate):アデノシン三リン酸

●最大24件を2.5時間で同時に測定完了、即日判定
サンプリングしたその日のうちに結果が分かるため、微生物数に異常があった場合には、一時的な上昇であるか恒常的な上昇であるかを翌日には判断でき、リスクが増大する前に対策できます。

●高感度ATP法により、微生物1細胞レベルの検出が可能
微生物量が非常に少なく、高感度な微生物検出が必要な製薬用水の測定にも適用可能です。

●凝集体の大きさに応じた結果を出力
ATP法は、菌体が持つATP量を測定することにより細胞数や細胞のサイズに応じた数値が測定できるため、バイオフィルムや凝集体の存在を把握できます。

●試薬分注から測定までを自動実行
Rapicaは、ろ過後の検体への試薬分注操作が自動化されており、測定者からの微生物汚染リスクや試薬分注作業による測定結果のばらつきを低減します。

参照文献
1)第十八改正日本薬局方 参考情報 製薬用水の品質管理〈GZ-2-172〉

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