HORIBAの役割や使命を再認識できた2011年
東日本大震災という、まさに想像を絶する災害に見舞われた2011年は、はからずも分析・計測機器メーカーであるHORIBAが果たすべき役割と、ステークホルダーの皆様から寄せられている期待の大きさを再認識する年となりました。
東日本大震災が発生した際、自然災害の恐ろしさに戦慄しつつ、HORIBAでは直ちに対策本部を立ち上げ、まず社員とご家族の安全確認、取引先やお客様への連絡に奔走しました。そして電気をはじめとするライフラインの復旧とともに、私たちの製品を安全に再起動していただく方法のご案内などを速やかに開始しました。それぞれの現場で機器の復旧やサプライチェーンの確認を進めていく中で、お客様や協力会社の皆様、そして社会とのつながりをこれまで以上に強く感じることができました。
そして、各所の火力発電所の運転再開に向けては、公害監視などの役割を担う、当社の「煙道排ガス分析装置」の生産体制を増強。電力不足が大きな社会問題となる中で、一日も早い供給に努めました。また一方で、放射線計測への社会の関心が急激に高まる中、全社を挙げて「環境放射線測定器」の増産に力を尽くしました。当初は私たちの機器を必要とされている皆様をお待たせしてしまうもどかしい状況が続きましたが、震災からおよそ半年後には、ご注文いただいてから直ちにお届けできる供給体制を構築しました。
発電所などライフライン施設の稼働支援や目に見えない放射線の計測を可能にする機器の供給─。例えばこうした分野で、社会の安全・安心を支えることは、私たち分析・計測機器メーカーの重要な使命の一つです。これを実現するために、迅速な供給に力を尽くしてくださったサプライヤーの皆様と社員に心より感謝しています。
製品や技術を通して持続可能な社会づくりに貢献
2011年はある面で非常に特別な1年でしたが、平時においても、分析・計測は私たちの生活の基礎となる「エネルギー」「健康」「環境」「安全」を支える欠くことのできない技術です。実際にHORIBAは、自動車計測、環境・プロセス、医用、半導体、科学の5分野に事業を展開し、皆様の日常とも深く関わっています。
例えば、身近な病院やクリニックにおいては、「血球計数測定装置」などが使われています。微量な血液でもその場で検査結果が出せるこの装置は、健康状態や感染症の可能性を迅速に数値化し、医師の的確な初期診療や患者さんへの正しい説明に役立っています。また自動車産業においては、エコカーに搭載する超低排出ガスのクリーンエンジンの開発現場などで、HORIBAの「自動車排ガス測定装置」や「エンジンテストシステム」が活用されています。さらに、近年注目を集めている二次電池や燃料電池などに使われる新素材開発においては、構造解析や組成解析で各種の分析計が不可欠な存在です。そのほか、太陽電池パネルの製造工程、液晶テレビや携帯電話に不可欠な半導体やLED(発光ダイオード)の製造工程においても、製品の品質向上に非常に多くの計測機器やセンサーが使われています。
このように技術や製品を通して、さまざまな現場の安心・安全をサポートできること、持続可能な社会づくりに貢献できることは私たちの誇りであり、HORIBAグループのCSR活動の本質でもあるのです。
社会に私たちの技術や製品をより早く、広く提供するために、研究開発力と生産力をグローバルに強化していきたいと考えています。その取り組みの一つとして、2012年にフランスの研究開発センターを完成させ、主に科学分野の分析・計測機器の研究開発力向上をめざします。
生産力については上海の工場整備が完了し、複数の事業にまたがる生産力と中国市場への供給力を強化しました。加えて、阿蘇工場の増床とブラジル新工場の着工により、医用機器向け試薬のグローバルサプライチェーンの構築を進めています。さらに、2011年から2012年にかけては、アジア各国の拠点整備や米国の複数の子会社の統合を実施し、日本においてもドライブレコーダーやデジタルタコグラフの子会社を統合し、自動車計測事業に新たなビジネスモデルの構築をめざします。
グローバルな視点に立ち、各機能を集約しながら経営効率の向上を図っていく─。そうすることで、皆様から必要とされる分析・計測機器を提供するという責任をより確実に果たしていけるものと考えています。
たゆまぬ努力で実現する品質向上と人財育成
HORIBAの事業活動、そしてCSR活動の根本は、“HORIBA PREMIUM(ホリバ・プレミアム)”の実現─つまり、高品質な価値を創造し、皆様に提供していくことといえます。
その達成に向けHORIBAでは、これまでご説明してきた取り組みに加えて、製品・サービス、業務の品質改善活動“Product Quality Improvement (P.Q.I)”や、生産協力会社と連携した技能オリンピック、製造・加工技術展などを継続しています。また、独自の企業内大学HORIBA COLLEGE(ホリバ・カレッジ)をはじめとする教育投資も維持し、たゆまぬ“人財育成”に注力しています。
さらに、ステークホルダーの皆様とともに豊かな未来をつくりたいとの思いから、2011年4月には国連の「グローバル・コンパクト」に署名しました。署名企業は、人権の保護、不当な労働の排除、環境への対応、そして腐敗の防止に関わる10の原則について、実現の努力を継続することになります。今後はこの活動が、世界基準のCSRを推進していく一助となるに違いありません。
社会情勢、経済状況が刻々と変化する激動の時代ですが、HORIBAは一つひとつの着実な取り組みで社会的責任を全うしていきます。今後ともその活動をご覧いただき、ご理解の上、ご指導ご鞭撻をいただきますよう、よろしくお願い申しあげます。