HORIBAの役割

蛍光X線分析装置で元素の種類や量を「はかる」

HORIBAは、小惑星「リュウグウ」試料の元素の種類や量を蛍光X線分析という手法で分析します。
測定の原理は、X線を物質にあてて、その際に生じる「蛍光X線」とよばれる元素ごとにもつ固有の光を捉えることで、物質に含まれる元素を明らかにするというものです。

岩石や隕石などの試料は、構成する鉱物に含まれる元素の分布に偏りがあり、はかる場所によって分析結果が異なる場合があります。したがって、化学分析チームでは試料の母体である「リュウグウ」の化学組成をより正確に評価するために、①母体全体の化学組成を反映するよう十分な試料量で行う「バルク分析」と、②試料の一部をごく微量に採取し、微小なエリアを分析することで元素の分布の偏りも含めて化学組成を評価する「微量分析」を行います。
HORIBAは、②のような試料量の少ない分析やごく限られた部分の分析に強みを発揮する独自のX線技術をもっており、本プロジェクトに参画することになりました。
「リュウグウ」には有機物由来の炭素が多く含まれていると考えられており、本分析では炭素を含めた元素の存在を探ります。

このような貴重な試料の分析にあたって大切なことは、可能な限り試料を汚染しないということです。通常、化学分析では最適な条件で分析するため、試料を細かく粉末状にしたり、測定用の溶液を加えたりといった試料の前処理を行いますが、HORIBAはこのような試料の前処理を行いません。試料の汚染を極限まで抑え、開発した試料セルを用いて分析に最適な状態を保ち、非破壊・非接触で評価ができます。HORIBAが分析した後には、より詳細な情報を得るため、試料に化学的な処理を施したり試料を燃焼させたりして分析を行い、「リュウグウ」の性質や成因に迫っていきます。

参考: HORIBAウェブサイト「蛍光X線分析」


蛍光X線分析装置


試料を分析する様子