HORIBAの役割

ラマン分光分析装置で成分や構造を「はかる」

蛍光X線分析装置で、構成する元素やその量を分析したのち、「リュウグウ」試料のより詳細な状態をラマン分光分析装置で分析します。具体的には、試料に含まれる元素の結合状態を明らかにします。例えば、蛍光X線分析では、酸素(O)と鉄(Fe)という元素が検出されたとしても、Fe2O3(三酸化二鉄)なのか、もしくはFe3O4(四酸化三鉄)なのか、どのような化合状態であるかを特定できません。この2種類の鉄酸化物は、同じ元素で構成されていますが、それぞれヘマタイト、マグネタイトという全く異なる種類の鉱物です。
ラマン分光分析装置では、このような分子構造の違いを読み解いて、鉱物の種類を特定することができます。
「リュウグウ」は、太陽系誕生初期の情報をいまだ保持し、水や有機物を含むC型小惑星であると考えられています。今まで想定していなかった化合物や生命誕生の鍵となる鉱物が見つかるかもしれません。

ラマン分光とは、光を用いて物質の評価を行う分析手法です。光を物質に当てると、当てた光と異なる波長を持つ「ラマン散乱光」と呼ばれる光が発生します。ラマン散乱光からは、物質ごとに固有の波長や強度が得られるため、成分や分子構造、応力などの物質の性質を調べることができるのです。
なお、「ラマン分光」は1928年にラマン博士(インド)がラマン散乱光を発見したことから名づけられました。

参考:HORIBAウェブサイト「ラマン分光」


ラマン分光分析装置


ラマン分光分析装置に試料を置く