「はかる」技術でカーボンニュートラルに貢献する
堀場エステックの事例

CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)は、CO₂の排出削減と有効活用を目指す重要な技術として、さまざまな産業・研究機関で注目されています。
HORIBAは、ガスの計測・制御技術および分析技術を通じて、CCUS研究の加速と信頼性向上に貢献してきました。
本ページでは、特に「流量・圧力制御」に焦点をあて、堀場エステックのソリューションと導入事例をご紹介します。
 

目次

  1. カーボンニュートラル実現に向けた動き
  2. CO₂分離・回収
  3. CO₂貯留・固定化
  4. 堀場エステックの事例とホワイトペーパーのご案内

1.カーボンニュートラル実現に向けた動き

「CO₂を資源として有効活用」する技術である「カーボンリサイクル」は、今後、日本が技術面・産業面で世界をリードしていくことが期待されている分野の一つです。
CO₂回収・有効利用・貯留(CCUS:Carbon dioxide Capture,Utilization and Storage)の技術を確立し、CCUSの技術を活用することで、大幅なCO₂の削減を可能とするカーボンニュートラルな社会の実現が期待されます。

2.CO₂分離・回収

燃焼プロセスで発生する排ガスからCO₂を分離・回収します。これはCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)のCC(Carbon dioxide Capture)の部分にあたります。コストや技術の面から、火力発電所では「化学吸収法」、化学プラントでは「物理吸着法」、セメント・鉄鋼プラントでは「膜分離法」が有利とされています。

化学吸収法(アミン法)

化学吸収法(アミン法)は、アミン水溶液にCO₂を化学的に吸収させ、加熱によってCO₂を脱離・回収する分離技術です。CO₂の分離・回収プロセスでは、排ガスからの吸収、アミン溶液の再生、回収されたCO₂の精製に至るまで、各工程での高度な計測・制御が求められます。

■ 前処理(脱硫)
排ガスに含まれるSO₂などの硫黄系不純物は、アミン溶液の劣化を引き起こすため、処理前に確実な除去が必要です。
・分析機器によるSO₂濃度のリアルタイム計測により、脱硫効果を正確に監視。

■ 分離・回収・精製
CO₂の吸収塔および再生塔では、吸収率・回収率の最適化と安定運転が鍵を握ります。
・ガス分析計により、各塔におけるCO₂濃度を高精度でモニタリング。
・アミン溶液の劣化や濃度変化を把握するため、液体分析機器やTOC計による定量評価が有効。

■ 後処理
再生後のアミン溶液や処理済み排ガスも、環境負荷の軽減や設備保護の観点から継続的な監視が求められます。
・TOC計測によるアミン溶液の品質管理。
・排ガス中の未処理成分を監視することで、排出基準の遵守とプロセスの健全性を確認。

物理吸着法

物理吸着法は、吸着材(活性炭・ゼオライトなどの多孔質固体)にCO₂を吸着させ、減圧または加熱によってCO₂を脱離させる分離技術です。
物質の結合状態を可視化できるラマン顕微鏡を用いることで、ゼオライト表面における吸着状態の変化を観察し、吸着材の性能評価や劣化解析に役立てることが可能です。

膜分離法

膜分離法は、CO₂選択透過性を持つ高分子膜などを用い、圧力差によってCO₂を分離する技術です。膜や触媒表面に残留する炭素成分や硫黄化合物を分析することで、劣化傾向の可視化や、膜交換の最適なタイミングを見極めることができます。

3.CO₂の貯留・固定化

回収されたCO₂は、大気中への再放出を防ぐために、地中への圧入(地層貯留)やコンクリート中への固定化など、さまざまな方法で貯蔵・処理されます。

■ コンクリートによるCO₂固定化(CCU)
セメントは製造時に多量のCO₂を排出するため、カーボンニュートラルの観点から「コンクリートによるCO₂固定化」の取り組みが進められています。
この手法では、以下の2つを組み合わせてCO₂排出量の低減を図ります。
・セメント使用量の削減:石炭灰などの産業副産物や特殊混和材をセメントの一部代替として用います。
・CO₂の吸収・固定化:養生工程中にCO₂を強制供給し、特殊混和材がこれを吸収・炭酸化反応によって固定化します。
これにより、製造段階での排出量削減と、構造物内部へのCO₂固定の両立が期待されており、今後のコンクリート製品における脱炭素化の鍵として注目されています。
CO₂の分離・回収・固定化における各方式は、その原理や適用条件に応じて多様な技術が用いられます。

方式を問わず共通して重要と考えられるのが、流量や圧力といったプロセス変数の高精度な制御と監視です。次章では堀場エステック製品での事例をご紹介いたします。

4.堀場エステックの事例

堀場エステックでは、以下のようなアプリケーションにおいて、高精度な流量および圧力の制御技術を通じて評価・分析を支援しています。

✅ CO₂吸着剤の性能評価・分析
✅ 透過膜のガス分離性能の測定・分析
✅ メタネーション触媒の評価(反応速度・劣化モニタリング)
✅ コンクリートへのCO₂固定化プロセスの評価試験

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