BEV電費試験の自動化・効率化

長時間に及ぶBEV電費試験の連続試験・短縮試験を自動化するソリューションです。
電動車両のカタログに記載される一充電走行距離(航続距離)・交流電力量消費率(電費)はどのように算出され、どんな試験が必要なのか、試験の自動化・効率化ソリューションとともにご紹介します。
外部からの充電ができる電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)においては、内燃機関車・ハイブリッド車(HEV)でエネルギーの消費率として燃料消費率(燃費)を求めるのと同様に、1kmの走行で消費する電力量=電力量消費率(電費)を求めます。
また、1回の充電量で何km走行できるかもEV・PHEVにおいては重要なため、一充電走行距離(航続距離)の算出も求められます。
EVの一充電走行距離試験では、バッテリーを満充電にした後、規制で定められた走行モードを複数回連続で走行させ、走行モードへの追従が継続できなくなるまでの走行距離を測定します。電費は、試験終了後に充電した電力量を航続距離で割ることで算出します。なお、本試験には膨大な時間を要するため、短縮試験法(STP:GTR No.15で定められた短時間で充電量を多く消費できる短縮モード)も使用できます。
しかし、短縮試験の場合でも航続距離500kmの車で7時間と試験時間が非常に長いため身体負荷が大きいこと、またベンチの占有時間も伸びることから、失敗のない確実な試験が求められます。加えて、EV試験特有の事前/事後処理や演算など複雑な作業が求められます。
PHEVの走行状態は、外部電源から充電された電力のみで走行するCDモードと、内燃機関と電力を併用して走行するCSモードからなります。
PHEVの試験においては、プレコンディショニング・ソーク後、CD試験を実施、ソークを挟みCS試験を実施したのち、再充電を実施します。その結果から、CDモード試験・CSモード試験それぞれの排出物質量・燃費を算出し、Utility Factor(国ごとに定められた、走行距離に対してCDモードが占める割合)で重み付けして排出物質量・燃費が算出されます。また、航続距離や電費はCD試験結果から算出されます。
PHEV試験においても膨大な試験時間が必要となり身体負荷が大きいほか、PHEV特有のEAER(等価EV走行距離:外部供給の電気エネルギーで走行できる距離 内燃機関による仕事分を除いたもの)の演算やBreak-off判定、充電量の手動記録といった複雑な処理が求められます。
HORIBAは、長時間試験による身体負荷の低減、演算自動化による工数削減、充電結果の入力ミスを防止できるソリューションで、航続距離・電費試験の自動化・効率化を実現します。
さらにEV試験において、走行時の電力消費量から自動でCSSM走行時間を演算することで、事前試験をせずに短縮試験を実施できる機能も提供しています。