MFCが設定流量まで流れないときの原因と確認ポイント

MFC(マスフローコントローラ)を使用していると、「設定した流量まで流れない」「設定値を上げても流量が途中で頭打ちになる」といったトラブルが発生することがあります。
このような場合、MFC本体の故障だけでなく、設定条件や供給圧力、配管の圧力損失、使用ガスなど、さまざまな要因が考えられます。
本記事では、MFCが設定流量まで流れないときに考えられる主な原因と、確認するポイントを順番に解説します。
※確認作業を行う際は、使用するガスや装置の安全手順に従い、必要な安全措置を講じたうえで実施してください。

目次

まず「流れない」状態を確認する

MFCが「設定流量まで流れない」と感じた場合は、まずどのような状態になっているかを確認します。
大きく分けると、「MFCの指示流量そのものが設定値まで上がらない場合」と、「MFCの指示流量は設定値に達しているものの、他の流量計との比較やプロセス結果などから、実際の流量にずれがあると考えられる場合」があります。この2つでは、考えられる原因や確認するポイントが異なります。また、「設置直後から発生している」「使用しているうちに徐々に流れなくなった」「突然流れなくなった」といった発生時期も、原因を切り分けるための手掛かりになります。
まずは現在の症状を確認したうえで、該当する原因を順番に切り分けていきましょう。

状態主に確認するポイント
MFCの指示流量が設定値まで上がらない設定信号、供給圧力、
MFC前後の差圧、配管、MFC本体
指示流量は設定値に達しているが、
他の流量計やプロセス結果と一致しない
使用ガス・ガス換算、配管の漏れなど

MFCが設定流量まで流れない主な原因

MFCが設定流量まで流れない場合は、MFC本体の異常だけでなく、設定や供給条件、配管などさまざまな要因が考えられます。まずは、確認しやすい項目から順番に切り分けていきます。

設定値や設定信号が正しく入力されていない

MFCに設定している流量値や、上位装置から入力される設定信号が正しくない場合、意図した流量まで流れないことがあります。
アナログ信号で制御している場合は、設定電圧とMFCのフルスケール流量との対応を確認します。例えば、0~5Vの設定信号に対応するフルスケール100SCCMのMFCでは、5Vが100SCCM、2.5Vが50SCCMに相当します。上位装置側の流量レンジ設定と、実際に接続されているMFCのフルスケールが一致しているか確認してください。
また、配線や接続状態などによって、上位装置から出力された設定信号とMFC側で受け取る信号に差が生じる場合があります。必要に応じてMFC入力側の信号を確認します。
デジタル通信を使用している場合も、設定値や制御モードなどが正しいか確認してください。また、バルブの強制開閉など、通常の流量制御とは異なる状態になっていないかも確認が必要です。

MFC前後に必要な差圧が確保できていない

MFCが設定流量を流すには、入口側と出口側に一定以上の圧力差(差圧)が必要です。必要な差圧が確保できていない場合、バルブを開いても設定流量まで流れないことがあります。
差圧が不足する原因としては、供給圧力が低い場合だけでなく、下流側の圧力上昇や、配管・バルブ・フィルターなどによる圧力損失も考えられます。特に高流量時は圧力損失が大きくなりやすいため、低流量では問題なくても、設定流量を上げると途中で頭打ちになる場合があります。
設置当初は問題なく流れていたのに、徐々に設定流量まで流れなくなった場合は、フィルターや配管内部への付着物の堆積などによって圧力損失が増加している可能性があります。
入口圧力と出口圧力を確認し、使用しているMFCに必要な差圧が確保されているかを確認してください。
※必要な圧力条件は製品によって異なるため、製品仕様や取扱説明書をご確認ください。

使用ガスや流量レンジなどの条件が合っていない

MFCの仕様と実際の使用条件が合っていない場合、設定値どおりの流量にならないことがあります。
MFCでは、使用するガス種に応じて流量特性が異なるため、ガス種の設定やガス換算係数などが適切かを確認してください。使用するガスとMFC側の設定が一致していない場合、表示される流量と実際の流量にずれが生じることがあります。
また、使用しているMFCのフルスケール流量や制御範囲に対して、設定流量が適切かどうかも確認が必要です。あわせて、使用圧力や温度などが製品の仕様範囲内であることを確認してください。

配管の漏れやMFC本体に異常がある

設定や供給条件に問題がない場合は、配管の漏れやMFC本体の異常も考えられます。
MFCより下流側の配管や継手に漏れがあると、MFCの指示流量が設定値に達していても、必要な場所まで十分なガスが供給されない場合があります。配管や継手の接続状態に異常がないか確認してください。
一方、指示流量そのものが設定値まで上がらない場合は、MFC本体の異常も考えられます。制御バルブの動作不良やセンサの異常、内部への汚れの付着、電子部品・機械部品の経年変化などにより、正常に流量を制御できなくなる場合があります。設定や配管、圧力条件を確認しても改善しない場合は、MFC本体の点検を検討してください。

MFCが設定流量まで流れないときの確認手順

MFCが設定流量まで流れない場合は、次の順番で確認すると原因を切り分けやすくなります。

  1. 設定流量やフルスケール、設定信号が正しいか確認する
  2. MFC入口側・出口側の圧力を確認し、必要な差圧が確保されているか確認する
  3. 使用ガスや流量レンジなどの使用条件が適切か確認する
  4. 配管や継手に漏れや異常がないか確認する
  5. 改善しない場合は、MFC本体の点検を検討する

設定や供給条件、配管に問題がないにもかかわらず症状が改善しない場合は、MFC本体に異常が発生している可能性があります。
お問い合わせの際は、以下の情報をご用意いただくと、原因の確認がスムーズになります。

  • MFCの型式・製造番号(HGS No.またはMFG No.)
  • 使用ガス 
  • 設定流量・フルスケール 
  • 入口圧力・出口圧力 
  • 症状が発生した時期 
  • MFCの指示流量の状態
     

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