半導体検査装置とは?

検査工程の種類・手法と装置選定のポイント

半導体は、ウェハ上に微細な回路や構造を形成し、複数の工程を経て製造されます。製造途中に異物や傷、パターン不良、結晶欠陥、電気特性のばらつきなどが生じると、製品の性能や信頼性、歩留まりに影響する可能性があります。
半導体検査装置は、ウェハやチップ、パッケージなどを対象に、欠陥の有無や形状、材料特性、電気特性などを確認するために使用されます。ただし、検査する工程や対象、確認したい項目によって、用いられる装置や検査手法は異なります。
本記事では、半導体製造における検査装置の役割をはじめ、検査が行われる工程、主な検査手法の種類、装置を選定する際の確認ポイントを解説します。また、化合物半導体ウェハの検査や、フォトルミネッセンスを用いた評価についても取り上げます。

目次

半導体検査が行われる工程

半導体製造プロセスはウェハ上への成膜や回路パターンを形成するプロセスが繰り返されます。
途中で異常が発生したまま工程が進むと、不良品が増えるだけでなく、それまでの工数や使用された材料の損失に繋がります。
その為完成後だけでなく、材料やウェハの形成、回路パターンの形成、チップの電気特性確認、組み立て後の動作確認など、プロセスの各段階で行われます。

工程主な検査内容主な目的
材料・ウェハ工程表面状態、クラック、空乏(欠陥)材料の品質確認
前工程結晶品質、面内均一性、異物、傷、膜加工異常の早期発見
エピ層の品質確認
後工程接合状態、外観、実装状態組み立て不良の確認
完成品検査電気特性、動作、回路パターン
最終動作、性能、信頼性
不良チップの判別
出荷前の良否判定

主な検査手法の種類

半導体の検査では、確認したい欠陥や特性に応じて、光、電子線、X線、電気信号などを利用したさまざまな手法が用いられます。代表的な検査手法は、次のように整理できます。

検査手法主な確認対象特徴
電子線検査微細な回路パターン
微小欠陥、電気的な異常など
電子線を利用して高い分解能で観察できる一方、
検査範囲や処理時間との両立が求められる
X線検査サンプル内部、配線
接合部、ボイドなど
外部から見えない内部構造を、対象を破壊せずに確認できる
→X線をあてて跳ね返る光や飛び出てくる電子を検出し分析出来る。
電気検査導通、電圧・電流特性
回路の動作など
ウェハ上のチップや完成品に電気信号を与え、
設計どおりに動作するかを確認する
光学カメラ検査回路パターンズレ、欠陥など高解像度カメラやAI画像処理技術を組み合わせ、ウェハやチップの微細な傷、異物、を高速かつ高精度に検出する
分光評価材料特性、結晶品質、組成
欠陥、発光特性など
材料から得られる光の波長や強度を解析し、
外観だけでは判断しにくい材料内部の状態を評価する

化合物半導体でウェハ検査が重要になる理由

化合物半導体は、InP、GaAs、GaN、SiCなど、複数の元素から構成される半導体材料です。シリコンと比較して、高速・高周波での動作、発光・受光、高耐圧などに適した特性を持つため、光通信、発光デバイス、高周波デバイス、パワーデバイスなどに利用されています。化合物半導体デバイスの製造では、基板上に用途に応じた結晶層を成長させます。この結晶層をエピタキシャル層(エピ層)、エピ層を形成したウェハをエピウェハと呼びます。エピ層の結晶品質や膜厚、組成、面内均一性に問題があると、その後の工程で作られるデバイスの性能や歩留まりに影響する可能性があります。
そのため、化合物半導体では、デバイスを形成する前のウェハ段階で、結晶品質や欠陥、面内の均一性を確認することが重要です。早い段階で異常を把握できれば、品質に問題のあるウェハが次の工程へ進むことを防ぎ、結晶成長条件や製造条件の見直しにもつなげられます。
結晶内部の欠陥や組成、発光特性のばらつきは、表面の外観だけでは確認できない場合があります。そのため、外観だけではなく、材料や結晶の特性を確認できる検査・評価手法が用いられます。その一つが、フォトルミネッセンスを利用した評価です。

フォトルミネッセンスによるウェハ検査

フォトルミネッセンス(Photoluminescence:PL)は、材料に光を照射した際に生じる発光を測定し、材料や結晶の状態を評価する手法です。発光の強度や波長は、材料の組成や結晶品質、欠陥などの影響を受けるため、その違いを調べることで、表面の外観だけでは確認しにくい状態を把握できます。
ウェハ検査では、ウェハ上の測定位置を移動させながら発光を測定し、その結果をマッピングします。これにより、発光強度や発光波長の面内分布を可視化し、エピ層の均一性や局所的な異常を確認できます。
PLを利用した評価には、非破壊、非接触で測定出来る特徴があります。そのため、デバイスを形成する前のエピウェハを評価し、品質に問題のある部分やウェハを早期に把握する方法として活用されています。
一方、PLで確認できる内容や適切な測定条件は、対象となる材料やエピ構造、励起光、検出波長範囲などによって異なります。

卓上型検査装置と自動ウェハ検査装置の違い

ウェハの検査・評価に使用する装置には、作業者がウェハを設置して測定する卓上型・手動型の装置と、ウェハの搬送から測定、データ保存までを自動化した自動ウェハ検査装置があります。
卓上型・手動型は、測定条件を柔軟に変更しやすく、研究開発や試作、少数のウェハを対象とした詳細評価に適しています。一方、自動ウェハ検査装置は、あらかじめ設定した条件で複数のウェハを連続して測定できるため、量産工程や品質管理に適しています。
主な違いは、次の通りです。

比較項目卓上型・手動型自動ウェハ検査装置
主な用途研究開発、試作、詳細評価量産工程、受入検査、品質管理
ウェハの取り扱いマニュアル自動(搬送・アライメント)
目的少量多品種解析大量多品種解析
 

どちらが適しているかは、装置の性能だけでなく、検査するウェハの枚数、測定条件を変更する頻度、必要な処理能力、データ管理の方法などによって異なります。研究開発から量産へ移行する場合には、検査条件の標準化や自動搬送の必要性も含めて検討することが重要です。

HORIBAの化合物半導体ウェハ検査ソリューション

HORIBAでは、フォトルミネッセンスを利用した化合物半導体ウェハの検査・評価ソリューションを提供しています。ウェハに光を照射して得られる発光を測定し、その強度や波長をマッピングすることで、エピ層の面内均一性や局所的な異常を可視化します。
自動ウェハ検査装置では、ウェハの搬送や位置合わせ、測定、データ保存などを自動化できます。あらかじめ設定した条件で複数のウェハを連続して測定できるため、研究開発だけでなく、受入検査や製造工程における品質管理にも活用できます。
また、検査対象となる材料やウェハサイズ、エピ構造、確認したい特性によって、必要な測定条件や装置構成は異なります。HORIBAでは、対象となるウェハや検査目的、必要な処理能力などを確認したうえで、用途に応じた検査・評価方法を提案します。
化合物半導体ウェハの結晶品質や面内分布の評価、手動検査から自動検査への移行などを検討している場合は、対象試料や現在の検査方法とあわせてご相談ください。

▢ 化合物半導体向け自動ウェハ検査装置の詳細を見る
▢ 検査対象に適した装置・測定方法を相談する

まとめ

半導体検査装置は、製造途中の異常や完成品の不良を検出し、品質の確保や歩留まりの改善を支える装置です。各工程で異常を早期に把握することで、不良の拡大や材料・加工時間の損失を抑えられます。
検査する対象や目的によって、適した検査・評価手法は異なります。特に化合物半導体では、エピ層の結晶品質や面内のばらつきがデバイス性能に影響するため、ウェハ段階での評価が重要です。フォトルミネッセンスは、発光の強度や波長を測定し、表面の外観だけでは確認しにくい材料・結晶の状態を評価する手法の一つです。
装置を選定する際は、検査対象や評価目的、必要な処理能力、運用方法などを整理する必要があります。研究開発や少数試料の評価には卓上型・手動型、複数ウェハの継続的な検査や品質管理には自動ウェハ検査装置が適しています。

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