隔膜真空計は、ダイアフラム(薄膜)の微小なたわみを電気的に検出し、圧力(全圧)を測定する真空計です。一般に「キャパシタンスマノメータ(Capacitance Manometer)」とも呼ばれています。
熱伝導率に依存する方式と異なり、原理的にガス種による感度補正が不要なため、ガス組成が変化するプロセスでも圧力を同一の尺度で管理できます。
主に低〜中真空域の圧力管理で広く用いられ、用途に応じて1/10/100/1000 Torrなどのレンジから選定します。
また、温度ドリフトを抑えて再現性を高めるために、センサを一定温度に保つ温調(加熱)タイプが多く用いられます(用途により温調なしタイプや高温タイプもあります)。
隔膜真空計は、ダイアフラムによって「基準室」と「測定室」に分けられた構造を持ちます。基準室は真空(または既知の基準圧)に維持され、測定室には測定対象のガスが導入されます。
測定室の圧力が変化すると、基準室との間に圧力差が生じ、ダイアフラムがわずかにたわみます。このとき、ダイアフラムと電極との距離が変化し、それに伴って静電容量が変化します。
この静電容量の変化を電気信号として検出し、圧力値に換算することで、測定室内の圧力を求めます。
このように圧力差を直接検出する方式であるため、ガス種(熱伝導率など)による感度差が生じにくいことが大きな特長です。一方で、温度変化や付着・汚れなどはゼロ点/感度の変化要因になり得るため、用途に応じた運用設計が重要になります。
隔膜真空計は圧力差を直接測定する方式のため、熱伝導率を利用する真空計のようなガス種依存が小さく、混合ガスや組成変化があるプロセスでも圧力管理を行いやすい特長があります。
同一条件での繰り返し測定(再現性)に優れることが多く、設定した圧力範囲を安定して維持しながら運用する場面やレシピの再現に適しています。
隔膜真空計には、センサ温度を一定に保つ温調(加熱)タイプがあります。周囲温度変化の影響を受けにくくすることで、ゼロ点や感度のドリフトを抑え、安定した運用につなげやすくなります。
また、高温に設定できるタイプは、付着・凝縮(プロセス堆積物)の影響を抑える目的で選定されることもあります。
高真空域の測定には一般にイオンゲージ等が用いられ、隔膜真空計は低〜中真空域の圧力管理で多用されます。必要な下限圧力はレンジ・仕様により異なるため、目的圧力域に合わせた選定が必要です。
付着性の高いガスや反応生成物、腐食性ガスなどが存在する条件では、ゼロ点ずれや応答変化の原因となる場合があります。必要に応じて温調条件の最適化、パージ、保守計画を含めて検討します。
隔膜真空計の実効的な応答は、機種仕様だけでなく信号フィルタ設定、配管の容積やコンダクタンスなどの影響も受けます。急峻な圧力変化を追従させたい場合は、計器単体ではなく設置条件も含めて確認することが重要です。
真空計には複数の測定方式があり、それぞれ適した用途が異なります。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| ピラニ真空計 | 熱伝導率を利用するためガス種の影響を受ける |
| イオンゲージ | 高真空領域の測定に適する |
| 隔膜真空計 | ガス種に依存せず安定した測定が可能 |
このように、測定対象や目的に応じて適切な方式を選定することが重要です。
隔膜真空計は以下のような用途で使用されます。
特に「ガス種による換算誤差を避けたい」「安定した圧力管理を行いたい」といった場面で有効です。
隔膜真空計を選定する際には、以下の点を確認することが重要です。
用途や条件によって最適仕様は異なるため、実際のプロセス条件(圧力域・ガス・温度・汚れ)に基づいて検討することが重要です。
Q1. 「ガス種に依存しない」とは本当に補正は不要ですか?
A. 原理的には熱伝導率に依存しないため、ピラニ真空計のようなガス種補正は不要です。ただし、温度変化や付着・汚れ、経時変化はゼロ点/感度ドリフトの要因になり得ます。運用条件に応じた温調・パージ・保守が重要です。
Q2. 温調(加熱)タイプは何がメリットですか?
A. センサ温度を一定に保つことで、周囲温度の変動によるドリフトを抑え、再現性の高い圧力管理につなげやすくなります。用途によっては、付着・凝縮の抑制を狙って高温タイプを選ぶこともあります。
Q3. レンジ(1/10/100/1000 Torrなど)はどう選べばよいですか?
A. 「普段管理したい圧力がどこか」を起点に、余裕を見ながらフルスケールを選ぶのが基本です。分解能や管理のしやすさに影響するため、目的圧力域に対してレンジが大きすぎないようにします(最適値は要求精度・運用条件で変わります)。
Q4. ピラニ真空計と併用することはありますか?
A.プロセスや装置構成によっては、測定領域や目的に応じて複数の真空計を使い分けることがあります。例えば、低真空域は隔膜真空計、高真空域はピラニ真空計などを併用するケースがあります。
隔膜真空計は、ダイアフラムの変形を静電容量として検出し、圧力(全圧)を測定する真空計です。ガス種ごとの補正が不要で、繰り返し測定の再現性に優れるため、低〜中真空域の圧力管理で広く活用されています。
一方で、高真空域では別方式が用いられることが多く、付着・汚れ・温度変動などの影響も考慮が必要です。目的の圧力域やプロセス条件に合わせて、レンジや温調条件を含めた仕様選定を行うことが重要です。当社では、隔膜真空計(VGシリーズ)をラインアップしています。仕様や用途に関するご不明点があれば、個別にご確認ください。
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