マスフローコントローラ(MFC)は、ガスの流量を高精度に制御できる機器です。
一方で、適した製品はガス種、流量範囲、圧力条件、接続方法、制御方法などによって変わります。
そのため、初めて導入を検討する際は、あらかじめ条件を整理しておくことが大切です。
本記事では、初めてガス用MFCを検討される方に向けて、選定前に確認しておきたいポイントをわかりやすく整理しています。
すべての条件が決まっていなくても問題ありません。分かる範囲の情報をまとめておくことで、選定や相談をスムーズに進めることができます。
マスフローコントローラの選定では、主に以下の条件を確認します。
なお、上記の条件がすべて決まっていない場合でも、使用目的や分かっている条件をもとに仕様を整理できる場合があります。
まずは分かる範囲で情報をまとめておくことが大切です。
新規導入では、用途、ガス種、流量範囲、圧力条件、制御方法などを確認します。
どの製品が適しているか分からない場合でも、使用目的や装置構成から整理していくことができます。
既存製品の置き換えでは、現在使用している製品のメーカー名、型式、ガス種、流量、継手、面間寸法、電気接続などを確認します。
銘板や仕様書の情報があると、置き換え可否の確認がスムーズです。
まず、マスフローコントローラをどのような目的で使用するかを整理します。
たとえば、以下のような用途があります。
用途によって、必要な流量範囲や制御方法が変わるため、最初に整理しておくと選定がしやすくなります。
また、流量を制御したい場合はマスフローコントローラ(MFC)、流量を測定・監視したい場合はマスフローメータ(MFM) が候補になります。
どちらが適しているか分からない場合は、使用目的から確認することができます。
ガス種は、マスフローコントローラの選定で重要な条件です。
ガス種によって流量換算の条件や、接ガス部の材質、シール材の適合性が変わる場合があります。また、混合ガスを使用する場合は、成分や混合比率の確認が必要です。
さらに、腐食性ガス、反応性ガス、可燃性ガスなどを使用する場合は、材質の適合性だけでなく、安全面の確認も重要になります。
高純度ガスを扱う場合や、清浄度が求められる用途では、MFC本体だけでなく、配管や接続部の仕様確認も重要になります。
流量を確認する際は、最大流量だけでなく、普段よく使用する流量範囲も整理しておくことが重要です。
マスフローコントローラは、指定したフルスケール流量に対して一定の範囲で制御を行います。そのためフルスケール流量を大きくしすぎると、低流量域での制御がしにくくなる場合があります。特に、通常は少ない流量で使うことが多い場合は、常用流量に合ったレンジを選ぶことが大切です。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 最大流量 | 使用する可能性がある最大の流量 |
| 常用流量 | 通常よく使用する流量 |
| 最小流量 | 制御したい最も小さい流量 |
| 流量単位 | SCCM、SLM、mL/min、L/minなど |
※SCCMやSLMは、標準状態を基準とした流量単位として使われることが多い単位です。
※実際の選定では、流量の単位だけでなく、どの条件で換算されているかも確認が必要です。
マスフローコントローラ(MFC)には、流量を調整するためのバルブが内蔵されています。そのため、入口側と出口側の圧力条件を確認することが重要です。
入口側の圧力が低すぎる場合や、出口側の圧力が高い場合、設定した流量まで流せないことがあります。
また、出口側が大気開放なのか、真空引きなのか、加圧雰囲気なのかによっても選定条件が変わります。
| 項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 入口側圧力 | MFCに供給される圧力 |
| 出口側圧力 | MFCの下流側の圧力 |
| 差圧 | 入口側と出口側の圧力差 |
| 圧力変動 | 供給圧や下流圧が変動するか |
設定した流量を安定して制御するためには、使用時の圧力条件をできるだけ具体的に把握しておくことが大切です。
マスフローコントローラは、使用温度や設置環境によって適した仕様が変わる場合があります。通常は常温で使用されることが多いですが、加熱したガスや蒸気を扱う場合、周囲温度が高い場所で使用する場合は、耐熱性や温度条件の確認が必要です。また、装置内部に組み込む場合は、周囲の熱のこもり方や冷却条件も含めて確認しておくと安心です。
さらに、特殊な設置環境で使用する場合は、粉じん、湿度、振動などの影響も考慮が必要になることがあります。必要に応じて、配管の清浄度やフィルタの有無も確認しておくとよいでしょう。
マスフローコントローラ(MFC)は配管に組み込んで使用するため、接続する配管のサイズや継手の種類を確認します。配管サイズは1/8インチ、1/4インチ、3/8インチなどが代表的で、継手にはVCR相当、Swagelok相当、Rcなどがあります。
新規導入の場合は、装置や配管設計に合わせて選定します。
既設品の置き換えの場合は、既存配管との接続や面間寸法が合うかを確認する必要があります。
※面間寸法とは
MFCの入口側接続部から出口側接続部までの長さを指します。
既設品を置き換える場合、面間寸法が異なると配管の改造が必要になる場合があります。
マスフローコントローラ(MFC)を使用するには、本体だけでなく、電源、設定信号、出力信号、ケーブル、表示設定器、PLC、PCなどの周辺機器が必要になる場合があります。
研究開発用途では、表示設定器やPCを使って手動で流量を設定するケースがあります。一方装置組み込みの場合では、PLCや上位装置からアナログ信号または通信で制御するケースが一般的です。
| 使用方法 | 例 |
|---|---|
| 手動で設定したい | 表示設定器、専用電源ユニット |
| PCで操作したい | PC接続、専用ソフト、通信 |
| 装置に組み込みたい | PLC、アナログ信号、デジタル通信 |
| 複数台をまとめて使いたい | 多チャンネル制御、ガス混合など |
また、制御方法によって必要な配線や周辺機器が変わるため、本体以外に何が必要か、もあわせて確認しておくとスムーズです。
MFCを使うために必要な機器と構成については以下のページで詳しく解説しております。
マスフローコントローラ(MFC)の使い方と接続方法 必要な機器と基本構成を初心者向けに解説
選定前には、次の内容を整理しておくと相談がしやすくなります。
例:成膜装置へのガス供給、触媒評価試験、ガス混合、リーク試験など
例:流量を制御したい(MFC)、流量を測定したい(MFM)、どちらがよいか相談したい
例:N2、O2、Ar、H2、CO2、混合ガスなど
例:常用10〜50 SCCM、最大100 SCCMなど
例:入口側300 kPa(G)、出口側大気開放、出口側真空など
例:常温、加熱ガス、周囲温度40℃など
例:1/4インチ Swagelok相当、VCR相当、Rcなど
例:表示設定器で手動操作、PC接続、PLC制御、アナログ通信など
例:1台、複数台、ガス混合用に複数ラインなど
例:メーカー名、型式、ガス種、流量、シリアルNo.など
※すべての項目が決まっていない場合でも問題ありません。
分かる範囲の情報をもとに、必要な仕様の整理からご相談いただけます
マスフローコントローラは、ガス種、流量範囲、圧力条件、接続方法、制御方法によって適した仕様が異なります。そのため、初めての導入では「何を確認すればよいのか分からない」というケースも少なくありません。
すべての条件が決まっていない場合でも、使用目的や現在分かっている条件をもとに、必要な仕様を整理しながらご提案することが可能です。
新規導入や既設品の置き換えをご検討中の方は、下記フォームよりお気軽にご相談ください。
マスフローコントローラ/メータ 選定フォーム - HORIBA