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プラズマとは? 仕組み・種類・身近な例と産業での活用

プラズマは、固体・液体・気体に続く「物質の第4の状態」と呼ばれています。自然界から身近な機器、産業分野まで幅広く存在・利用されています。本ページでは、プラズマとは何かを起点に、発生の仕組み、主な種類や特徴、身近な例、産業での活用を順に解説します。

気体とプラズマの違い

プラズマは、気体を構成する原子や分子の一部が電離し、中性の原子・分子に加えて、自由電子やイオン、ラジカルなどが混在した状態です。
通常の気体は主に電気的に中性な原子や分子で構成されていますが、一方、プラズマには電荷を持つ粒子が含まれるため、条件により電気を通しやすく、電場や磁場の影響を受けやすいという特徴があります。

 気体プラズマ
主な構成主に中性の原子・分子中性の原子・分子に加え、自由電子、イオン、ラジカルなど
電気的性質通常は電気を通しにくい電気を通しやすい
電場・磁場の影響通常は影響を受けにくい影響を受けやすい
発光通常は発光しない条件によって発光する

プラズマはどのように発生するのか

プラズマは、気体に熱や電気などのエネルギーを与え、原子や分子の一部を電離させることで発生します。電離とは、原子や分子から電子が離れ、自由電子と正イオンが生じる現象です。
気体に電圧を加えると、電子が加速されて原子や分子に衝突します。この衝突によって新たな電子やイオンが生まれ、反応が連続することでプラズマの状態になります。
産業用途では、放電、高周波、マイクロ波などの電気エネルギーを利用してプラズマを発生させる方法が広く用いられています。

▼電離・励起・解離の違い
・電離:原子や分子から電子が離れ、イオンになること
・励起:原子や分子がエネルギーを受け取り、高いエネルギー状態になること
・解離:分子が原子や別の分子に分かれること

プラズマの種類

プラズマにはいくつかの分類方法がありますが、代表的なものに「熱プラズマ」と「低温プラズマ」があります。
熱プラズマは、電子、イオン、中性粒子の温度が比較的近く、気体全体が高温になるプラズマです。高い熱エネルギーを利用し、溶接、切断、溶射などに活用されています。
一方、低温プラズマは、電子が高いエネルギーを持つ一方で、イオンや中性粒子の温度は比較的低いプラズマです。処理対象への熱の影響を抑えながら反応を起こしやすいため、半導体製造、表面処理、洗浄などに活用されています。
このほか、発生する圧力によって、低圧プラズマや大気圧プラズマと分類されることもあります。

プラズマの特徴

プラズマは、自由電子やイオンなどを含むため、通常の気体にはないさまざまな性質を示します。

 電気を通しやすい

自由電子やイオンが電場に応じて移動するため、通常の気体より高い電気伝導性を示します。この性質は、放電によるプラズマの発生や制御に関係します。

 電場や磁場の影響を受ける

プラズマ中の自由電子やイオンは電荷を持つため、電場や磁場によって移動方向や速度が変化します。この性質を利用して、プラズマの発生位置や粒子の動き、状態などを制御できます。

 光を発する

原子や分子が電子との衝突などによって励起され、元のエネルギー状態に戻る際に光を放出します。発光する波長や強度を調べることで、プラズマ中の成分や状態の変化を把握できます。

 化学反応を促進しやすい

プラズマ中では、イオンやラジカル、励起種などの反応性が高い粒子が生成されます。これらが材料表面と反応することで、通常の気体では起こりにくいエッチング、成膜、洗浄などの処理を進めることができます。

自然界や身近なところに存在するプラズマ

プラズマは、宇宙や大気中で起こる自然現象だけでなく、蛍光灯やネオンサインなど、身近な機器の中にも存在します。

自然界で見られるプラズマ身近な機器で利用されるプラズマ
太陽や恒星蛍光灯
ネオンサイン
オーロラプラズマボール
太陽風放電灯

太陽や恒星では、高温によって物質の多くがプラズマの状態になっています。宇宙空間に存在する通常の物質は、その大部分がプラズマの状態にあるといわれています。雷は、強い電場によって空気が電離し、一時的にプラズマが発生する現象です。
蛍光灯やネオンサインでは、管内の気体に電圧を加えて放電を起こし、原子や分子が発する光を利用しています。

プラズマは何に使われているのか

プラズマは、高い熱エネルギーや化学反応を促進する性質、光を発する性質などを利用して、製造、加工、照明、医療など幅広い分野で活用されています。

 半導体・電子部品の製造

プラズマ中のイオンやラジカルを利用して、材料表面を削るエッチングや、薄膜を形成する成膜、装置内部のクリーニングなどを行います。反応性の高い粒子を利用するため、ナノメートル単位の微細な穴や溝の加工にも対応でき、半導体集積回路の製造工程で広く使われています。

 表面処理・洗浄

材料表面の汚れを除去したり、濡れ性や接着性を向上させたりするために利用されます。樹脂、フィルム、金属など幅広い材料が対象です。

 溶接・切断・溶射

熱プラズマの高い温度を利用して、金属を溶かし、溶接や切断、表面へのコーティングを行います。

 排ガス処理(除害)

製造プロセスから排出されるガスをプラズマによって分解し、無害化する用途にも利用されています。反応性の高い粒子によって、通常の条件では分解しにくい成分を処理できる点が特徴です。

 照明・表示

蛍光灯やネオンサインでは、気体をプラズマ化した際に生じる発光を利用しています。

 医療・衛生分野

低温プラズマによって生じる活性種を利用し、殺菌、滅菌、表面処理などへの応用が研究・実用化されています。

産業用プラズマでは状態の管理が重要

産業用プラズマの状態は、使用するガスの種類や流量、圧力、投入電力、装置内部の状態などによって変化します。プラズマの状態が変わると、加工結果や処理時間、品質のばらつきにつながるため、状態を継続的に把握し、安定して管理することが重要です。

 処理結果のばらつきを抑える

プラズマの状態が変化すると、エッチング速度や膜質、表面処理の効果などが変わることがあります。状態を把握することで、処理結果の再現性を高めやすくなります。

 処理の終点を判断する

エッチングやクリーニングでは、設定時間だけで処理を管理すると、装置内部の状態によって過不足が生じることがあります。プラズマの変化を監視することで、処理の終点を判断できます。

 装置内部の変化を把握する

チャンバー内の堆積物や部品の劣化、汚染などによって、同じ条件でもプラズマの状態が変化することがあります。経時変化を確認することで、装置状態の管理に役立ちます。

 異常の兆候を捉える

ガス供給の変動、異常放電、外部からの不純物混入などが起こると、プラズマの状態にも変化が現れる場合があります。通常時との違いを監視することで、異常の早期発見につながります。

プラズマの発光から状態を確認する方法

プラズマから放出される光を分光器で測定すると、波長ごとの光の強さを示す「発光スペクトル」が得られます。プラズマ発光モニタリングでは、このスペクトルや特定波長の発光強度を監視することで、プラズマ中で起きている反応やプロセス状態の変化を捉えます。

 発光波長から成分を推定する

原子や分子によって、強く発光する波長は異なります。そのため、発光スペクトルに現れるピークの位置から、プラズマ中に存在する原子や分子、反応生成物などを推定できます。

 発光強度の変化からプロセス状態を捉える

特定波長の発光強度を時間とともに監視することで、反応の進行や処理対象の変化を確認できます。エッチングやチャンバークリーニングでは、発光パターンの変化を処理終了の判断に利用できます。

 非接触でリアルタイムに監視する

プラズマ発光は、観察窓や光ファイバーを通して測定できます。プラズマへ直接測定器を挿入せず、プロセス中の状態変化をリアルタイムに監視できることが特徴です。
※発光強度は、対象成分の量だけでなく、圧力、投入電力、電子のエネルギー状態、測定条件などによっても変化します。そのため、発光強度をそのまま絶対的な濃度として扱うのではなく、プロセス状態の変化や再現性を確認する目的で利用されます。

 測定結果をプロセス制御に利用する

発光の測定結果は、状態の確認だけでなく、プロセス制御の入力としても利用できます。
例えば反応性スパッタリングでは、プラズマを利用してSiO₂、TiO₂、TiNなどの化合物膜を形成しますが、チャンバー内部やターゲット表面の状態が時間とともに変化すると、同じ設定条件でも成膜状態が変動し、化合物膜の組成比を長時間一定に保つことが難しくなる場合があります。
そこで、プラズマ中の酸素や窒素などの反応性ガス成分に由来する発光と、金属種に由来する発光の強度をモニターし、その結果に応じて反応性ガスの流量を制御することで、化合物膜の組成比を成膜中一定に保ち、長時間にわたって安定した成膜を行うことができます。
このようにプラズマ発光モニタリングを活用することで、処理の終点や装置状態、異常の兆候などを把握し、プロセスの安定化や品質管理に役立てることができます。

まとめ

プラズマは、気体にエネルギーを与えることで、自由電子やイオン、ラジカルなどが生じた「物質の第4の状態」です。自然界だけでなく、半導体製造、表面処理、照明、金属加工など、幅広い分野で活用されています。
産業用途では、プラズマの状態が処理結果や品質に影響するため、継続的な状態管理が重要です。プラズマ発光モニタリングを活用することで、発光波長や強度の変化から、処理の終点やプロセス状態、異常の兆候などを確認できます。また、測定結果をガス流量などの制御に利用し、成膜中の組成比やプロセス状態の安定化に役立てることもできます。

プラズマ発光モニタリングの原理や活用例について、詳しくは以下の資料をご覧ください。
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