さいとう動物病院富岡総合医療センター

導入施設の紹介

群馬県

さいとう動物病院富岡総合医療センター

院長 齊藤 高行先生

使用機器:動物用自動血球計数装置  LC-662
測定項目:CBC

測定が速いのでまず感染症かどうかのスクリーニングや、リンパ球・顆粒球の数値を見て、塗抹を引くかどうかの判断にもしています。装置導入時にしっかり説明を受けたことで、HORIBA装置の分類には大変信頼をおいています。

まずは、病院運営についてお伺いいたします。

病院を継承され、国内外の獣医師と連携して専門外来を導入されたきっかけは?


大学卒業後、勤務医を経て父の病院に戻り一緒に働いていたのですが、父が亡くなったことをきっかけに病院を継承することになりました。すでに地元に根付いている病院であったため、地元の患者様のカルテが存在していたこと、当時は小さな規模で診療していたので、自由にやらせてもらっていたことで父とよい関係を保ちながら仕事が楽しくできたことが病院を受け継ぐきっかけとなりました。

地元に戻ってきた当初は、自分ではそんなに多くの診療はできていませんでした。しかし、患者さんが増えてきて、難しい症例も出てきたことで、ちゃんとした診断・診察が出来ないという地方ならではの問題・悩みも増えました。都内であれば簡単に大学や専門病院を紹介できますが、地方ではそれが簡単にできない現状を考えると、専門性の高い先生に地方に来ていただいて診察してもらうことで様々な症状をかかえた患者さんを受け入れることができます。また、なんといってもその診察を近くで見ることで、自分自身も診断が出来るようになり、レベルアップにつながるよい機会なのではないかと思いました。そこで、まずは循環器を専門にしている友人に来てもらい、次に画像専門の先生、外科専門の先生・・・と専門の先生を増やしていきました。今では、8名の先生が専門外来として登録いただいています。

病院を移転され、規模も大きくなったと思います。他ではあまりない東洋医療外来や行動診療科外来を設けるなど、先生の精力的な病院運営が見受けられます。どのような病院を目指していらっしゃるのでしょうか?


専門分野を増やし、そのための設備を増やしていくうちに当時の病院では手狭になったこと、同じ人数でも効率的に動けるようにするためにも移転が必要でした。診療室は3つから7つに増やし、それに合わせて最新の検査機器を導入することで検査も早くなり、回転率が上がりました。効率が上がり、他の病院からの紹介も増えるようにもなったという意味で移転は大変メリットがありました。その一方で、他の病院からの紹介が増え急に大きくなったので、以前の病院とのギャップが大きくなり不安も生じました。そのギャップを埋めていく時期にきていると感じています。

当院の目標は、何か動物で困ったことがあったら第一に診てもらおうと思える場所を目指す!ということです。そのためにも色々な選択肢の一つとして、行動診療・東洋医療の導入だけでなく、しつけ方教室(パピー教室)・ドッグラン・トリミングなども導入しました。二次病院というよりは、なんでもできる、地域(富岡)で完結できる総合病院を目指したいという気持ちでやっています。毎月都内から来ていただいている先生もいらっしゃり本当にありがたいです。

院長の掲げるチーム医療とは何だと思われますか?


外科チーム、内科チーム、腫瘍チームなどの各チームの先生方が全員連携して話ができる病院でありたいと思っていて、症例について共有しどうしていこうかを話し合える環境作りを看護師も含めて全員で取り組んでいます。
各チームによって当然見方や意見は違うのですが、それぞれの意見を確認し合い、各専門の先生にも相談しながらどれが最善の治療なのか多角的にみることは、困っている動物によりよい医療を提供できると思います。
例えば、行動診療と皮膚科はとても密接な関係があると思っています。問題行動があると気持ちの要素もあり、そのせいで皮膚病も治らないケースがあります。股関節が痛くてその場所をなめ続けているのか、それとも皮膚病が原因でなめ続けているのか、画像を撮り、その判断をそれぞれの専門家が集まってディスカッションしながら治療方針を決定しています。今はあまりにも高度医療になりすぎているので、一つの科・開業医一人ですべての治療をカバーするのは不可能と思っています。そういう意味で、様々な専門の先生が集まって皆で治療にあたる体制は強みになっています。
私自身は、全てを視覚的に俯瞰できる立場でありたいと思っています。全ての治療を理解し、次に何をしなければならないのか、振り方をわかっていることが大事だと思っているからです。10-15年経ってもそういう立場にい続けたいですし、そのために専門の先生と常に触れる環境作りや知識を持ち続ける必要があると思います。
今は、海外にも多くの専門医が控えていただいています。データをメールなどで送れば簡単に確認でき、アドバイスをいただける時代ですから困った時に相談できるのは大変心強いです。

ホームページ内に「誠実に動物の命と人との暮らしに寄り添う」という理念を掲げていらっしゃいますね?


地方を代表する総合病院であること、動物・飼い主様に寄り添う気持ちを第一に考えています。そのためにちゃんとした診療を目指しています。つまり、こちら側の治療を押し付けず、飼い主様の考え方に合った治療をしていくことを優先に考え、できないからお断りではなく、出来るだけどんな治療も受入れたいと思っています。治療の選択肢を増やすためにも必要以上の器具を揃えていくことも大事ではないかと思います。 その理念が地域の安心感にもつながるし、最終的には動物を飼いやすい環境作りにもつながると思っています。

それでは、診察状況についてお伺いいたします。


通常の病院よりも猫の来院数は多い方だと思います。 犬6:猫4くらいですね。 ただ、コロナになってから新規診療が100件近くも増え、特に犬の来院件数も増えている気がします。月の診療件数でいうと2000件で、一次診療7:夜間救急1:専門外来2の割合になります。特に専門外来数が増えてきており、毎月予約で埋まってしまうほど人気です。皮膚科に限っては、2-3ヶ月先の予約を入れられない状況が続いているため、さらに診療回数を増やす予定にしています。

CBC検査ついてはいかがでしょうか?


CBC検査は一日30-40検体実施しています。検体数が多いので、HORIBA装置に搭載されているタイマ機能を使って早めに装置を立上げ、いつでもスタンバイできている状態にしています。来院数が増え、朝の処置で動物看護師も大変忙しくなってきているので、その中でタイマ機能や廃液センサ等で業務を減らして頂いている事はありがたいです。測定も速いので、まず感染症かどうかをスクリーニングするのに有用です。「分類が怪しかったら塗抹を引く」と内科の先生に指導いただいているので、リンパ球・顆粒球の数値を見て、塗抹を引くかどうかの判断にもしています。装置導入時にしっかり説明を受けたことで、HORIBA装置の分類には大変信頼をおいています。

先生のこれからの活動や今後の病院のあり方についてお聞かせください。

今後どのような活動に力を入れていきたいと考えていらっしゃいますか?


病院が移転し、規模も大きくなったので、病院としての実力・サービス・ホスピタリティを上げていきたいです。特に動物病院のホワイト化(働き方改革)に取り組んでいければと思っています。まずは、時間を見える化し、管理することで、医療現場でホワイト化がどこまで成り立つかどうか挑戦し、難しければ諦めるのではなく、改善を重ね、全員が負担なく長く続けていける体制を目指したいです。他にも、獣医師が専門医に相談できるシステムを確立し運用できないかと思っています。それにより、地方の先生の苦労を緩和できるのではないかと思います。地方での診療のハードルを下げ、利便性を上げられる仕組みができたらいいです。そのためにも遠隔診療を目指し、海外の先生とも連携し診察を行っていきたいです。

現在、看護師学校と提携し、優秀な看護師を育てる教育プログラムを計画しています。学生が実際に診察・検査・オペを見学でき、アメリカの専門医の先生にも授業を行ってもらえるオンラインカリキュラムを可能にする仕組みづくりも考えています。地方にはなかなか新卒の獣医師が入ってこないので、血液検査は、看護師の時代!だと思っていますので、これからは優秀な看護師を育てることが大事だと考えています。

また実際にこの病院では、5-6年目の獣医師や海外に行きたい獣医師を採用しています。留学できるまでは、勤務医として働いてもらって経験や収入の手助けをしています。今後は、留学を目指している獣医師に夜11時~朝5時まで夜間病院として場所だけを貸し、その間の運営を任せ収入源と出来るようなことも考えています。その背景には、アメリカの専門医になりたい先生を最初から支援している中で、なかなか受からない苦労や厳しい現実を隣で見てきたことがあります。その経験から少しでも手助けができればと思っていました。また日本では、専門医になっても働く場所が少ないので、専門医が評価される・戻って来られる場所を作りたいとも思っていました。日本に戻って獣医療のレベルを上げてもらいたいと思います。そのためにも、一般の方にも専門医の重要性をもっと広め知ってもらうことが重要と感じています。一般の方が知れば知るほど、獣医療のレベルが上がっていくと思うので、そのためにもさらに究極の総合病院を目指していけたらと思います。

施設インフォメーション

病院名さいとう動物病院富岡総合医療センター
住所群馬県富岡市富岡3058-1
電話0274-64-0854
ウェブサイトsaitovet.com

ワンタッチでイヌ・ネコ切り替え。
吸引量10 μL。診断に必要な検査結果を、約70秒で表示します。

製造販売届出番号 :
22動薬第1806号

※本製品は、MICROSEMI Corporationといかなる関係もありません。


『首都圏に行かなくても、地方の動物病院で二次診療までできるような究極の総合病院を作り、地域の人が安心して動物と一緒に暮らせる環境(場所)を作りたい』という齊藤先生のおもいが形となり専門外来診療、夜間救急診療と次々に展開されています。齊藤先生の人間関係と同様に、どんどん診療領域も広くなっていく勢いを感じました。

(2021年12月取材)

※掲載している情報は取材時点のもので、現在とは異なる場合がございます。


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イヌ・ネコの血漿中のグルコースを遠心分離することなく測定できる装置です。

動物用自動血球計数装置
LC-662

イヌ・ネコの血液検査の業務を軽減できる検査装置です。

※本製品は、MICROSEMI Corporationといかなる関係もありません。

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