血液塗抹標本の作製方法と条件

1 血液塗抹標本の作製方法

①約5μLの血液をスライドガラスの端から
 約15mmの位置に滴下し、滴下した血液の
 少し手前まで引きガラスを近づけます。

②そのまま引きガラスを血液に引き寄せ、
 血液に触れたら引きガラスの接触面を
 上下させ、血液を左右均一に広げます。

③引きガラスを約30°の角度に保ち、一定速度 (約0.5秒)で軽く滑らせる。
 引きガラスが途中で止まったり、スライドガラス
 から離れないように注意する。
 塗抹後は、直ちに冷風で約10秒間乾燥する。

2 適切な血液塗抹標本の条件

2-1 チェックリスト

☑適切な塗抹面の長さおよび厚さ
 ➡塗抹の長さはスライドガラスの1/2~2/3になるように引き終わる。
  厚さは塗抹標本の引き終わりから約1/3付近で血球観察部位ができるだけ広くなるように作製する。

☑適切な塗抹面の幅
 ➡スライドガラスの短辺両脇が約10%残るように塗抹する。
  顆粒球・単球や異常細胞は辺縁部に集まりやすい傾向があるため、辺縁部が観察できないことにより、    
  白血球百分率に誤差を生じる。

☑適切な引き終わり
 ➡引き終わりが必ずでき、上下対称で直線になるようにする。
  引き終わりがない・上下対称でない場合、細胞分布が不均一となり、白血球百分率に誤差を生じる。

☑塗抹面にずれがなく、平行
 ➡塗抹の縁がスライドガラスの縁と平行でない場合、辺縁部の細胞観察を行う際に不便となる。

☑塗抹面に模様がないこと。
 ➡縞模様や抜け穴が認められないこと。

2-2 適切な血液塗抹標本を作製するために

貧血、多血症、白血病などの検体においては、適切な血液塗抹標本を作製するために
塗抹速度、引きガラスの角度、血液量を調整して塗抹する必要があります。

●角度は一定で、塗抹速度を変化させた場合

 

塗抹速度が速い ➡ 厚い標本(左)

塗抹速度が遅い ➡ 薄い標本(右)

●塗抹速度は一定で、角度を変化させた場合

 

角度が大きい ➡ 厚い標本(左)

角度が小さい ➡ 薄い標本(右)

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