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CBCの測定値に影響を与える要因には、貧血などによってRBC数やHgb値が低下するなどの病態を反映した変動だけでなく、性別や年齢などの生理的な要因による変動や、食事や喫煙などの生活習慣による変動もあります。また、採血をする際の体位や採血部位によっても、測定値が変動します。測定値だけで「病的な変動」と判断する前に、これらの変動要因を考慮する必要があります。
*妊娠時は血漿量が増加し、RBC、Hgbは15%程度相対的に減少します。
WBC、RBC、Hgb、Hct、PLTにおいて、臥位では立位に比べて5~9%程度低値を示します。これは、立位の時には血液中の水分が血管外に出て、臥位の時では逆に血管外の水分が血流中に戻るためとされています。外来患者が入院してから血算値が低値となり、一見貧血が進行したように見えることもあり、体位による血算値の変動には注意する必要があります。
RBC (×104/μL) | Hgb (g/dL) | Hct (%) | MCV (μm3) | MCH (pg) | MCHC (g/dL) | WBC (μL) | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
静脈 | 428.3 | 14.0 | 40.2 | 93.9 | 32.8 | 35.0 | 5653 |
耳朶 | 457.8 | 15.8 | 46.1 | 101.0 | 34.7 | 34.4 | 6518 |
指頭 | 411.9 | 13.9 | 40.7 | 99.9 | 34.0 | 34.3 | 5657 |
参照①~②:自動血球計数の基礎知識 巽 典之 監修・著、厚生社 飲酒および喫煙の臨床検査値に及ぼす影響 宇津典彦、牛島 久、他:健康医学3巻
1号(1988年):109~113 日本人間ドック学会
③:血液形態学最近の進歩 三輪史郎 臨床病理 第19巻 第2号(1970年):103 日本臨床検査医学会
④:採血部位(静脈・耳朶・指頭)による血算値の差異 三輪史郎、山口信子ほか 臨床病理 第15巻 第5号(1967年):367-370
日本臨床検査医学会 (単位表記を一部改変)