CRPは「C-反応性蛋白(C-Reactive Protein)」の略で、急性の炎症や組織損傷があると血液中に増加する急性期蛋白質の一種です。肺炎球菌によって起こる肺炎の患者に多くみられ、肺炎球菌体のC-多糖体と沈降反応を起こすことからこの名がつけられました。現在では、CRPは肺炎以外の疾患でも体内に炎症があると増加することが判明しています。
炎症とは組織破壊に対する一連の生体防御反応であり、臨床的に最も多い病態です。また、炎症の有無や程度の判断、経過観察に役立つ検査項目を一般的に「炎症マーカー」と呼びます。炎症マーカーの代表例にはCRP、白血球数、赤血球沈降速度(赤沈)があり、スクリーニングの項目として広く用いられています。なかでもCRPは他の炎症マーカーよりも炎症に対する特異性が高く、炎症の進行・回復具合を鋭敏に反映でき、比較的短時間で検査できる特徴があります。CRPは基準範囲が狭く、その時の炎症度合いを的確に把握できることから非常に広く普及しています。
●CRP高値を示す主な原因
細菌感染症 | 肺炎など |
膠原病および類似疾患 | リウマチ熱、慢性関節リウマチ |
悪性腫瘍 | 癌腫、肉腫、悪性リンパ腫 |
梗塞 | 心筋梗塞、肺梗塞、脳梗塞 |
大きな外傷、骨折 | 熱傷、外科手術 |
●一般的なCRPの基準範囲
0.2 mg/dL以下 |
参考資料:中村治雄他、日本人の基準範囲と動脈硬化のリスク度評価、臨床検査 46(9):951-958, 2002