網赤血球の中のRNAを蛍光染色し、レーザー光を当てることで発せられる蛍光強度を測定することで測定を行います。
網赤血球は脱核後のRNAが残存している未熟な赤血球であり、成熟赤血球になるにつれてRNAは消失します。HORIBAでは、RNAの蛍光染色にThiazole Orange(TO)*1を含んだ蛍光試薬を使用します(図1)。
TOで染色した細胞はレーザー光を当てることで、細胞内のRNA量に比例した蛍光を発します(図2)。
*1:Thiazole Orange … Thiazole Orangeは、λ=488nmで励起されるシアニン色素で、細胞内に透過して核酸を特異的に染色し、 RNAと結合することで蛍光を3000倍に増加させる特徴を持っている蛍光色素です。これらの特徴からCLSIガイドライン(H44-A2)で網赤血球計数に推奨されている色素の1つであり、測定精度や実用性から臨床検査室のフローサイトメータなどで最も一般的に採用されています。
網赤血球の二次元グラフ(図3)は、フローセルから得られた以下の2種類の情報から作成されます。
●横軸:電気抵抗法 ➡ アパーチャを通過する血球の数および容積情報
●縦軸:蛍光強度 ➡ 光軸を通過する血球のRNA含有量の情報※
※染色した細胞に488nmの波長のレーザー光を当て、90゜位置(OFL:Orthogonal Fluorescence Light)から専用フィルターを用いて細胞からの蛍光のみを検出します。
RNAが消失した成熟赤血球は、ほとんど蛍光を示さないため網赤血球マトリックスの下方に描画されます。
一方で、網赤血球はその未熟度に伴ったRNA含有量に比例した蛍光を示すため成熟赤血球より上方に描画されます。この蛍光強度の差異により成熟赤血球と網赤血球を区別しています。また、網赤血球領域は蛍光強度の強弱により、さらに以下の3つに区別されます。
これらの指標により網赤血球の中でも、より未熟な網赤血球の比率を確認できるため、化学療法後や骨髄移植後の骨髄中における赤血球産生を早期に把握することが可能です。