当社は、この度、血液の成分を測定する血球計数と、炎症の指標となるCRP(*1)濃度を同時に測定する「自動血球計数CRP測定装置 Yumizen H630 CRP」(以下、Yumizen H630 CRP)を11月1日より販売を開始します。本製品は、医療施設で即時に検査を行い、その場で炎症などの症状に関する検査結果を提供する血液検査機器です。白血球を5分類する機能を付加し、より幅広い疾患の診断に役立ちます。
主な特徴
1. 設置面積の省スペース化
装置内部構造の見直しや部品点数の削減により、血球(白血球5分類)とCRPの同時測定が可能な一体型の装置として、当社従来装置(モデル名:Pentra MS CRP)と設置面積比で35%縮小、質量33kgと従来比13%の軽量化を行いました。物理的な制約が多い、診察室・検査室に対応し、省スペース化を実現しました。測定時間も約3分(+CRPモード)と即時検査にお役立ていただけます。
2. 白血球5分類
白血球はいくつかの細胞種によって構成され、大きく分けて好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球の5つに分類することができます。感染症により白血球の増加が見られる場合、この5つのうちどの細胞種がどの程度増加、あるいは減少しているかを知ることが、感染症の種類を判別するのに有用な手段となります。
白血球の機能例:「好中球」→殺菌能、「好酸球、好塩基球」→アレルギー関連、「リンパ球」→免疫制御機能
3.電子カルテ対応のソフトウェアや総合保守サービス支援システムとも連携
地域の診療所でも普及が進む電子カルテシステムに自動的に検査結果を入力できるソフトウェア「GATELINK」と接続が可能です。入力作業の軽減や転記ミス防止に役立ち、情報共有の効率化に貢献します。地方創生の取り組みとして、大学病院などを中核とした病診連携の動きが活発化しており、診療所での適切・迅速な診断に貢献するとともに、包括的な地域医療の促進の一助となります。
その他、微量の検体吸引量(42μL)で受診者の負荷が少なく、タッチスクリーンでの操作など、既存の自動血球計数CRP測定装置 Microsemi LC-767CRPの性能・機能を引き継いでいます。
外形寸法 | 350(W)mm×479(D)mm×535(H)mm |
質量 | 33kg |
測定項目 | 30項目(白血球5分類を含む血算29項目+CRP濃度) 赤血球:赤血球数/ヘモグロビン濃度/ヘマトクリット値/平均赤血球容積/平均赤血球ヘモグロビン量/平均赤血球ヘモグロビン濃度/赤血球粒度分布幅/赤血球粒度分布幅平均偏差 白血球:白血球数/リンパ球数/リンパ球比率/単球数/単球比率/好中球数/好中球比率/好酸球数/好酸球比率/好塩基球数/好塩基球比率,異型リンパ球数/異型リンパ球比率/大型幼若細胞数/大型幼若細胞比率 血小板:血小板数/血小板粒度分布幅/血小板クリット/平均血小板容積/大型血小板数/大型血小板比率 血清:CRP濃度 |
参考データ
当社は、株式会社ベネッセコーポレーションのコミュニティサイト「ウィメンズパーク」を通じ、1,000人の保護者から子供の受診時に関するアンケート調査を行いました。
- 検査を受けることで安心感は高くなる
経過観察の指示を受ける前に検査を受けた保護者の90%が「検査によって安心感があった」と答えました。 - 検査結果を待っていられる時間
90%の保護者は「その日のうちに知りたい」と答えました。その中で58%の方が「その場で知りたい」と回答しています。
当社の取組みについて
当社は、先端医療現場でニーズが高まる血球計数とCRP濃度の同時測定装置において、その場で結果を患者様にご提供できる、コンパクト設計のYumizen H630 CRPを開発しました。 本製品は、子供をもつ保護者の期待に応え、医療施設で即時に検査を行い、その場で炎症などの症状に関する検査結果を提供する血液検査機器です。
今後の展開
当社は、1998年に世界初の白血球などの血液成分を測定する血球計数と、炎症の指標となるCRP濃度を同時測定する製品を、感染症の判別をサポートする装置として医療機関向けに発売しました。乳幼児など症状を伝えられない患者の診察や、高齢者が重症化する可能性がある病状の診断補助などに活用されています。2015年には測定時間を短縮した自動血球計数CRP測定装置 Microsemi LC-767CRPの販売を開始し、国内外でMicrosemiシリーズを累計約15,000台販売しました。
Yumizen H630 CRPの市場投入を機に、医療機関での血液検査の更なる質の向上を図ることで、検査の高度化・迅速化に貢献し、当社医用ビジネスの成長を加速させます。
用語解説
(*1)CRP(C-Reactive Protein/C反応性たんぱく):
体内に急性の炎症や組織の損傷があるときに、血清中に増えるたんぱく質の一種で代表的な炎症マーカー。組織や細胞の炎症を早く鋭敏に反応し、その度合いを知ることができる。また、病態の改善の際には速やかに減少するので、病態の診断、予後の診断、治療効果の観察に役立つ。
アンケートの調査概要
調査票タイトル | お子さまの急な発熱で受診された時のご不安な点に関するアンケート |
調査方法 | インターネットリサーチ |
実施機関 | 株式会社マクロミル(株式会社ベネッセコーポレーションの委託) |
実施期間 | 2017年9月4日(月)~2017年9月19日(火) |
有効サンプル数 | 1,000 |
*本医療機器は、医療機関向けの製品であり、一般にはお売りできません。