白血球5分類+CRP測定装置の耳鼻咽喉科における運用事例

千葉県

イルカ耳鼻咽喉科

院長 小島 好雅先生

使用機器:自動血球計数装置CRP測定装置 (以下、YH-630CRPと記載)
測定項目:CBC、DIFF、CRP

細菌感染とウイルス感染を鑑別して、抗菌薬を適正に使用することは、抗菌薬の適正使用の観点からとても重要なテーマだと考えています。不必要な抗菌薬投与は行わない。一方で、もし抗菌薬を投与するならば起因菌を完全に死滅させるまで、所定の期間しっかり服用していただくよう、お話しすることを心がけています。

1日に何人くらい診察されますか?大人と子供の比率もご教示ください。


2月から3月が最も多い時期ですが、コロナウイルスの影響もあり、昨年、今年は1日あたり160~180人です。子供と大人の割合は、6対4で子供が多いです。感染症患者さんに限ってみれば、子供は3歳~6歳、大人は20代、30代が多いです。当院は来院患者の約80%が予約を取り受診されるため、コロナウイルス流行下でも待合室がそれほど密にならずに効率よく診療できています。

どのようなときに、白血球5分類とCRPの検査をしますか?


当院は耳鼻咽喉科クリニックですので、鼻と喉の炎症の程度を視診で確認します。炎症所見が重篤な場合には白血球5分類とCRPを測定し、細菌感染とウイルス感染を鑑別して、抗菌薬の有効な症例を見極めています。平均で1日あたり5~6検体、多い日は10検体ほど白血球5分類とCRP測定を行っています。細菌培養検査は外注ですが、最小発育阻止濃度(MIC)も報告されますので、抗菌薬選択が適切であったかどうか、後日確認することができます。

YH-630CRPを導入されてから、何が変わりましたか?


YH-630CRPを導入する前は、血液検査も外注しており、結果がでるまでに1日かかりました。導入後はその場で細菌感染を予測し、治療方針を決めることができるようになったことが大きな変化です。細菌感染とウイルス感染を鑑別して、抗菌薬を適正に使用することは、抗菌薬の適正使用の観点からとても重要なテーマだと考えています。もちろん血液検査を迅速診断で行う症例は重症例に限られます。臨床所見の重症例において、白血球5分類とCRPの結果から細菌感染を疑う場合には、抗菌薬を投与します。私の抗菌薬投与の基準は、①むやみに投与しない②投与するなら症状の 改善だけではなく、確実に患者さんの体内に生息していた起炎菌を完全に死滅させる の2点を重視しています。このことを毎回きちんと実行することで症状の改善、再発を防ぐことになり、加えて耐性菌の発生を抑止できると考えています。


発熱や喉の痛みを主訴に来院される患者さんで伝染性単核球症を疑う場合には、白血球5分類とCRPを検査します。好酸球性副鼻腔炎の診断にも血液検査は役立ちます。


伝染性単核球症、好酸球増多症の際に白血球5分類とCRPの測定をされますか?また、検査結果から投薬を変えたりされますか?


発熱や喉の痛みを主訴に来院される患者さんで伝染性単核球症を疑う場合には、白血球5分類とCRPを検査します。伝染性単核球症に対し抗菌薬を処方するかどうかは、今でも臨床現場で治療方針が分かれるのではないでしょうか。伝染性単核球症でも白苔付着が口蓋扁桃に見られます。伝染 性単核球症でも咽頭培養をとれば高率でα-連鎖球菌が検出されます。白血球5分類の測定は好酸球性副鼻腔炎の診断にも役立ちます。好酸球性副鼻腔炎は、血中好酸球が10%以上あれば診断できるので、診断確定のためすぐ次のステップに進むことができます。6か月で10症例くらい経験しています。

新型コロナウイルス感染の患者さんも来院されますか?来院される場合、どのような判断をされてPCR検査へと進まれますか?


これまでに3例のCOVID-19の患者さんを経験しました。当院に来院したCOVID-19の患者さんの場合、いずれも嗅覚障害が主訴で喉には炎症が無く、鼻粘膜にのみ炎症がありました。COVID-19の代表的な臨床症状に嗅覚障害がありますが、鼻粘膜の炎症が原因だと考えています。手足口病をきたすアデノウイルスが、眼瞼結膜や咽頭粘膜と親和性が高いように、コロナウイルス は鼻粘膜と親和性が高く、鼻粘膜で増殖しやすいのではないでしょうか。発熱患者さんは車内で待ってもらい、車内で鼻腔ぬぐい液を採取して、PCRは外注しています。

施設インフォメーション

施設名イルカ耳鼻咽喉科
診察科目耳鼻咽喉科
住所千葉県市原市更級2丁目5番1
電話0436-20-6070
ウェブサイトhttp://www.iruka-ent.jp/index.html

使用機器

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