歯科医における高感度CRP、HbA1c、シスタチンC測定装置の運用例

東京都

医療法人社団 聡歯会 長谷川歯科医院

長谷川 嘉昭先生

日本歯周病学会専門医
日本臨床歯周病学会指導医
東京医科歯科大学非常勤講師

使用機器: 遠心方式血液分析装置 
測定項目:高感度CRP、HbA1c、シスタチンC
 

医療の見える化を実現したいと思い、歯科医でありながら、病態検査だけでなく、積極的に血液検査を含めた病因検査を実施しています。

1日に何人くらい診察されますか?


自由診療による完全予約制ですので、1日平均7~8人です。手術が多いので、少数の患者さんに専念しています。

1日の高感度CRP、HbA1c、シスタチンCの検体数はどのくらいですか?


1日に数検体程度です。高感度CRP、HbA1c、シスタチンCの順に多いです。

どのような時に、高感度CRP、HbA1c、シスタチンCを測定しますか?


初診の時には、高感度CRP、HbA1c、シスタチンCの3項目を検査します。治療効果の判定時にも高感度CRPとHbA1cを測定します。経時変化のデータを患者さんと共有化しています。CKD患者は、国立循環器病研究センターのホームページによると、日本人成人の8人に1人の割合で存在するので、シスタチンCを測定することで、CKDを見つけるようにしています。

血液検査が役に立った例はありますか?


CRPの平均値(2年7ヵ月)が0.54mg/dLの患者さんで、シスタチンCの異常低値により、甲状腺機能低下症を発見したことがあります。このような患者さんでは、クレアチニンとシスタチンCの値に乖離がおこります。この時は、聖路加国際病院を紹介しました。その後の精密検査で、遺伝性の腎炎(アルポート症候群)であると診断されました。歯科におけるスクリーニング検査の必要性を改めて実感しました。

CRPの異常は、どのくらいの値で判断していますか?


医科領域では0.2mg/dLをCRPの基準範囲にしていると思います。健常者の多くは、0.1 mg/dL以下です。あくまでも個人的な見解ですが、歯科に異常がある人は、0.15 mg/dL以上、歯髄炎では1.0 mg/dL以上、骨髄炎では4.0mg/dL以上を示す場合が多いです。

CRPと歯周病は、どのような関係ですか?


同じ歯周病でも、局所的な場合と全顎的な歯周病の場合では、CRPの値が異なることがあります。個人差・個体差があり相関関係ははっきりしませんが、局所的な場合は、CRPは低値が多く、全顎的な場合は、CRPがやや高値の場合が多いように思います。

採血部位はどこからですか?


当院では、歯科衛生士にも技能習得が容易な指先採血を実施しています。

再生医療、インプラントなどの最先端技術を成功させるために、特に注目されている検査項目はありますか?


いずれの治療も歯肉を切開する手術を伴いますので、血液凝固検査のPT-INR値を術前に調べておく必要があると考えております。PT-INR値が2を超える場合は、健常者の2倍出血を伴い、止血が難しくなるので、手術をしない場合もあります。CRPが平均値0.30mg/dL以上の場合も、身体のどこかに炎症があるので、より慎重な対応が必要になると考えています。

モットーは何ですか?


医療の見える化を実現したいと思い、歯科医でありながら、病態検査だけでなく、積極的に血液検査を含めた病因検査を実施しています。重症歯周病患者では、他院では残せないと言われた歯を確実に残してきました。歯周組織再生療法を成功させるための臨床診断基準(Hasegawa’s classification)を作成して、論文投稿(Clinical classification of tooth position in the alveolar bone housing with periodontal defects)しました。

施設インフォメーション

施設名医療法人社団 聡歯会 長谷川歯科医院
住所東京都中央区日本橋人形町3-12-11 GRANDE人形町3階
電話03-5641-3918

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