イオン選択性電極について

イオン濃度の測定は、イオンメータまたはイオン測定機能を持つ計器に接続したイオン選択性電極と比較電極を、サンプル液に浸漬して、2 本の電極間の電位の差を測定することで行います。各電極の働きは下表のとおりです。
このように、2 本の電極でイオン濃度を測定する方法を、イオン電極法といいます。

電極の種類電極の働き
イオン選択性電極応答膜を介して、内部液のイオン濃度とサンプル液の測定対象イオンの濃度差により、起電力が生じます。
比較電極イオン選択性電極とは異なり、どのようなサンプル液または標準液であっても、安定した電位を維持します。

2 つの電極を一体にした複合形イオン選択性電極の構造を下図に示します。

例:300-NO₃-C

比較電極が安定した電位を維持する仕組み

比較電極の液絡部の状態

比較電極の液絡部の状態

比較電極は、イオン選択性電極で測定した電位との差を測定するための基準となる電位を発生させる電極です。
基準となる電位は、どのようなサンプル液または標準液であっても、変化が小さく安定していることが求められます。
比較電極の電位が安定する仕組みとして、比較電極の内部液がサンプル液または標準液に流出するような構成を採用しています。流出した内部液がサンプル液や標準液に拡散することで内部液とサンプル液の電位差、あるいは、内部液と標準液の電位差がほぼない状態(V ≒ 0)を実現しています。

ヒント

安定した測定を行うには、比較電極の内部液が適度に流出していることが重要です。
比較電極の内部液が不足している場合や、比較電極のゴム栓が開いておらず、大気開放されていない場合に、このような状態になります。

※イオンセンサカートリッジは内部液の補充が不要で、ゴム栓もないタイプの電極となります。

水・液体計測 HORIBAグループ企業情報