液体材料気化システムの気化原理 インジェクション方式とは

液体材料を気化し、ガスとして安定供給するには、液体材料の性質や使用条件に応じて、温度・圧力・供給量などを適切に管理する必要があります。また、発生したガスを再液化させずに供給するためには、気化部や配管の温度管理も重要です。
液体材料の気化方式には、バブリング方式、ベーキング方式、直接気化方式などがあります。本ページでは、その中でも直接気化方式の一つであるインジェクション方式を中心に、加熱や減圧を利用して液体材料を連続的に気化させる原理を解説します。あわせて、インジェクション方式におけるキャリアガスを使用する方式と使用しない方式の違いについても説明します。

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ホワイトペーパー「安定運用のカギは『気化方式』だった」では、各気化方式の特徴や、安定性・応答性・運用性の観点から確認したいポイントを紹介しています。

目次

気化とは

気化とは、液体が気体へ変化する現象です。代表的な例として、液体表面から気体へ変化する蒸発や、液体内部から気泡が発生して気体へ変化する沸騰があります。
液体の気化しやすさは、材料が持つ沸点、蒸気圧、気化潜熱などの性質によって異なります。また、同じ液体であっても、温度や圧力などの条件によって気化のしやすさは変化します。一般に、温度を上げる、または圧力を下げることで液体は気化しやすくなります。

液体材料の気化で重要となるポイント

液体材料を気化ガスとして安定して供給するには、単に液体を気体に変化させるだけでなく、発生量や供給状態を安定させることが重要です。液体材料の性質や使用条件によって、適した気化方式や制御方法は異なります。
特に、液体材料気化システムでは、以下の点を考慮する必要があります。

  • 材料の蒸気圧や沸点など、気化しやすさに関わる性質
  • 必要なガス流量や濃度に応じた供給量の管理
  • 気化部や配管内での再液化を防ぐ温度管理
  • 供給先の圧力条件やキャリアガスの有無
  • 材料の腐食性・反応性・安全性に応じた接液部材や構成
     

インジェクション方式とは

インジェクション方式は、液体材料を計量・制御しながら専用の気化部へ導入し、加熱や減圧を利用して連続的に気化させる方式です。
液体材料の供給量を直接管理しながら気化できるため、必要な発生量に応じた連続供給に適しています。

インジェクション方式におけるキャリアガスの有無

インジェクション方式による液体材料気化システムには、キャリアガスを使用しない方式と、キャリアガスを使用する方式があります。
キャリアガスを使用しない方式では、液体材料を計量・制御し、専用の気化部で気化させて供給します。一方、キャリアガスを使用する方式では、液体材料とキャリアガスを混合し、気化部で加熱・減圧することで気化を促進します。
使用する液体材料、必要な発生流量、供給先の条件などに応じて、適した方式を選定することが重要です。

 キャリアガスを使用しない方式

キャリアガスを使用しない方式では、液体材料を気化部へ導入し、加熱や減圧によって液体材料を気化させます。キャリアガスで希釈・搬送しないため、液体材料由来の気化ガスを直接供給したい場合に用いられます。
流量の管理方法には、気化前の液体流量をマスフローメータなどで計測・制御する構成や、気化後のガス流量を高温対応の流量計で計測・制御する構成があります。いずれの場合も、液体材料を安定して気化させるためには、気化部への熱供給、圧力条件、配管温度の管理が重要です。

 キャリアガスを使用する方式

キャリアガスを使用する方式では、液体材料とキャリアガスを気化部へ導入し、混合・加熱・減圧によって液体材料の気化を促進します。
キャリアガスはマスフローコントローラにより流量制御され、液体材料とともにインジェクタ内部へ導入されます。液体材料と加熱されたキャリアガスは気液混合部で混合され、ノズルを通過する際の圧力低下によって気化が進みます。
キャリアガスを用いることで、発生ガスを搬送しやすくなるほか、液体材料の気化や供給条件に応じた制御が行いやすくなります。

液体材料や供給条件に応じた方式選定が重要

液体材料を気化し、ガスとして安定供給するには、材料の種類や純度、蒸気圧、沸点、必要なガス流量、供給先の圧力条件、キャリアガスの有無などを考慮する必要があります。これらの条件によって、適した気化方式や流量制御方法、温度・圧力条件は異なります。
インジェクション方式では、液体材料を気化部で直接気化させるため、材料に含まれる不揮発成分や、加熱によって生じる分解生成物が気化部・ノズル部・配管内などに残留、堆積することがあります。堆積物が増えると、流路の狭まりや詰まりにより、発生流量の低下や供給量の変動につながる場合があります。
そのため、使用する液体材料の種類や純度、気化温度、圧力条件、パージ条件などを考慮し、材料特性に応じた装置構成や運用条件を検討することが重要です。

まとめ

気化とは、液体が気体へ変化する現象です。代表的な例として、液体表面から気体へ変化する蒸発や、液体内部から気泡が発生して気体へ変化する沸騰があります。
液体の気化しやすさは、材料が持つ沸点、蒸気圧、気化潜熱などの性質によって異なります。また、同じ液体であっても、温度や圧力などの条件によって気化のしやすさは変化します。一般に、温度を上げる、または圧力を下げることで液体は気化しやすくなります。

インジェクション方式は、液体材料を気化部へ導入し、加熱や減圧を利用して連続的に気化させる方式です。キャリアガスを使用しない方式と、キャリアガスを使用する方式があり、液体材料の性質や供給条件に応じた選定が必要です。
安定したガス供給を行うためには、材料の種類や純度、気化温度、圧力条件、パージ条件などを総合的に検討することが重要です。液体材料の気化方式やシステム構成でお困りの際は、使用条件に応じてご相談ください。
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HORIBA STECでは、インジェクション方式による液体材料気化システムとして、キャリアガスを使用する気化混合方式のMVシリーズと、キャリアガスを使用しないVCシリーズをラインアップしています。

MVシリーズ
液体材料とキャリアガスを混合し、加熱・減圧によって気化させる方式です。キャリアガスを用いて液体材料を気化・供給したい用途に対応します。
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VCシリーズ
キャリアガスを使用せず、液体材料を直接気化して供給する方式です。液体材料由来のガスをキャリアガスで希釈せずに供給したい用途に対応します。
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