近年国内外において、サルタン系医薬品、ニザチジン等の医薬品から、発がん性物質であるニトロソアミン類が検出され、欧州医薬品庁(EMA)やアメリカ食品医薬品局(FDA)は、ニトロソアミン類の発生抑制の取り組みを推奨しています。また厚生労働省も製造販売業者に対しニトロソアミン類の混入リスクに関する自主点検を行うよう通知しています。
現在ニトロソアミン類の生成メカニズムが研究されていますが、アミンと窒素酸化物 (NOx) の反応においても発生することが知られています。原薬や製剤の製造工程においては、大気中のNOxがニトロソアミン類の発生由来の一因として報告されています。
※標準仕様は有線LAN接続です。 無線接続の場合は、別途機器が必要です。
窒素酸化物濃度自動測定装置 APNA-380
医薬品中に含まれるN-ニトロソアミン不純物およびニトロソアミン医薬品関連不純物(NDSRI)は、原薬、製剤、賦形剤の製造業者だけでなく、機械や分析機器メーカーなど関連産業にとっても重大な課題となっています。株式会社パウレック・沢井製薬株式会社および株式会社堀場製作所は流動層乾燥・造粒工程における窒素酸化物の挙動をリアルタイムでモニタリングし、そのNDSRI生成への影響を明らかにする方法を初めて示しました。2種類の空気源(吸入空気と圧縮空気)中の窒素酸化物濃度の影響を調査し、適切な化学フィルターを設置することで濃度を効果的に低減でき、さらに、工程中のNO₂濃度を低減することで、製造性や物性を損なうことなくNDSRIの生成が抑制されることが確認しました。これらの知見は、これまで知られていなかったNDSRI生成経路に関する重要な洞察を提供し、リスク低減戦略の策定に貢献するものです。
本研究に関して、連続的にNOx・NO2・NO濃度をモニタリングする窒素酸化物濃度自動測定装置APNA-380がこの課題解決に貢献しています。
なお本成果は、2025年9月22日にJournal of Pharmaceutical Sciencesに受理されました。
論文情報
著者:兒玉智史、田辺和也、水本一徳、南岡咲希、松澤舜、吉原尚輝、金子司、山本浩之、及川倫徳、長門琢也
論文タイトル:Monitoring the Concentration of Nitrogen Oxides in the Fluidized Bed Drying/Granulation Process and Evaluation of Reduction Methods
掲載誌:Journal of Pharmaceutical Sciences
DOI:https://doi.org/10.1016/j.xphs.2025.104007
窒素酸化物濃度自動測定装置
【粒度分布】レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置 LA-960シリーズ


